【architecture】大山崎山荘美術館|安藤忠雄
京都でも大阪との境に位置する山崎に安藤忠雄氏によって増改築された美術館がある
元々は大正から昭和にかけて建設された英国風の山荘であったが、所有者が亡くなり、転売をされるようになるなか建物が老朽化したこともあり、京都府と大山崎町からの依頼によりアサヒビールが行政と連携をとりながら保存改修を行った。そして1996年に安藤忠雄氏の設計で大山崎山荘美術館として蘇った
今となってはイタリアなど改修を手掛ける安藤忠雄氏であるがこの頃から改修建築が増えてきたように思う
安藤氏の改修は東京上野の国際子ども図書館やイタリアのプンタ・デラ・ドガーナなどが有名である
どれも既存の古い建築を残し改修しながら新しい建築との対比によって未来につながる建築を目指している
大山崎においては古い山荘部分がエントランスになっており、そこから安藤忠雄氏のコンクリートの増築部分に繋がる動線は過去から未来への流れを表現しているように思う
構成としては既存の山荘に直方体の通路が突き刺さっており地下に円形の展示室が埋められている
イギリスのヘルツォーク&ドムーロンが勝利したテートモダンのコンペでも安藤氏が提案した過去と現在が衝突するというコンセプトだ
鉄とガラスとコンクリートという現代の建築材料、工法が古い建物との強い対比によって表現されている
単純な幾何学的な形態が自然の高低差をそのまま活かすように配置されている
自然には無い、幾何学のコンクリートの塊が逆に自然を引き立たせる役割を担っている
今となっては建築はほぼ緑に覆われて自然と俄然一体となっているように感じた
完成から四半世紀が経とうとしている
私も20年ぶりに訪れたが、建築がその土地に根付いているように感じた
地下の展示室にはモネの睡蓮が静かに展示されている
コンクリートの空間は瞑想空間のように深い静けさに包まれている
余談だが安藤忠雄氏は大阪の天保山にサントリーミュージアムという美術館も設計している
ライバルであるビールメーカーから依頼を受けてしまうのも不思議だが、その辺りの自由な経営者の度量も関西ならではと言えるだろう