【lifestyle】生まれた町
岡山県の西部で広島県に隣接する高梁市というところが私の生まれた町です
両親ともにここ高梁市の出身で生まれた当初は伯備線の備中高梁駅のある中心市街地にある父親の実家で育ちました
伯備線は岡山駅から北は鳥取の米子や島根の出雲大社まで繋がる路線です
寝台特急のムーンライト出雲が通っており東京から出雲まで繋がっています
山間の小さな町ですが、中心を流れる高梁川や小さな水路的な川、田畑などの自然、昔ながらの建物が数多く残っているのどかなところです
映画のロケ地にも使われることがあり、『男はつらいよ』、『八つ墓村』、『バッテリー』、『県庁の星』
最近では大河ドラマの『真田丸』のオープニングで備中松山城という山上の城が使われていました
町には風情ある寺院が数多く点在しておりどこも自然と一体となった美しい建築です
特に私が好きなのが寅さんの舞台にもなった『薬師院』と美しい庭園が有名な『頼久寺』です
武家屋敷という今では市が保存している施設も趣きがあって好きなところです
山と一体化するような寺院で静かな時間が流れています
私の生家は間口2間、奥行き20間くらいのいわゆる『うなぎの寝床』と言われる家です
玄関を開けると奥まで土間が続いています
奥行きが長いので中は薄暗く通り土間があるとは言え風は抜けません
ダイニングに設けられたトップライトからの光がささやかな自然光として内部を柔らかく明るくしている程度です
手前側半分は改築したもので築50年程度、奥側の半分は昔のままで築100年くらいと聞いています
恐らく大地震には耐えられないでしょう
2階に続く階段は急で登りにくいのですが、2階は明るく風も抜けるようになっています
夏は暑く、冬は寒い。おまけに暗い。さらに古く使いにくい家でしたが、私にはどこかその暗さや古さがたまらなく居心地がよかったのです
特に一番奥に設けられた光が差し込む小さな中庭がお気に入りでした
そこには祖父が建てた小さな小屋があって、ノコギリやカンナなど大工道具や木材がたくさんありました
幼い頃の私には、その大工さんの道具がとてもカッコいいものに見えていました
祖父は大工ではありませんでしたが、木を加工するのが得意でノコギリやカンナの使い方を教えてくれました
私も見様見真似で木を自分で削っては小さな椅子や小物を作っていました
恐らく建築家を目指したいと思ったきっかけはこの頃に木と触れ合った経験によるのだと思います
私は祖父が大好きでずっと一緒にいました
祖父の自転車の後ろに座布団を敷いて2人乗りをして畑や公園、夏祭りなど色々なところに連れて行ってもらいました
祖父の背中は温かく、煙草臭かったけれど優しさで溢れていました
祖父は数年前に他界してしまいましたが、そんな昔懐かしい人情が今も残る町です
数年前には備中高梁駅に併設してスターバックスコーヒーと蔦屋、市立図書館が一体となった施設が完成しました
こんな片田舎の過疎の町になぜ?と思いましたが、今では町の活性化に繋がっているようです
アクセスは岡山駅から普通電車で1時間程度で本数も少ないですが道中の景色は最高です!
他にも見どころがある町なのでコロナが落ち着いたら観光客がまた増えるといいなと思っています