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今年のトレンドは、『スモビジ × BPaaS』

「SaaSはオワコン」ってよく聞きませんか?

確かに、会計や顧客管理など有名どころではすでに激しい競争が進んでいるし、大資本の物量戦に巻き込まれると中小事業者が勝ち残るのは厳しいかもしれません。

でも「SaaS自体が終わったわけじゃない」と僕は考えています。

むしろ今こそ、SaaSを入り口にBPO(業務代行)やコンサルなど高付加価値なサービスを組み合わせる「BPaaS(Business Process as a Service)」という形が、スモールビジネスでも有力な戦略として注目されているんです。

今回のnoteでは、スモビジがBPaaSでどう新しい可能性を拓けるのかを解説していきます。



一般的なSaaSモデルのデメリット

通常、SaaS(Software as a Service)ビジネスはサブスクリプション型の料金体系が多く、ある程度顧客数が積み上がれば大きな安定収益を生みます。

ただし、成長しきるまでの難易度が高く、開発費やサーバー維持費、マーケティングコストが先行します。

短期で元が取れるわけではなく、ある程度の顧客数が積み上がってはじめて収益が安定する“後払い”型のビジネスです。

加えて、競合が増えれば広告費や営業費用も膨らみやすく、結果としてキャッシュフローが悪化しやすいというリスクがあります。

特に多くの企業が参入してきた領域(会計、人事、CRMなど)では、大手と同じレベルの資金や人材をつぎ込まないとシェア争いで勝ち残るのは至難の業。

これが「SaaSオワコン論」が出てくる背景のひとつと言われています。


それでもSaaSをやる意味はある:Micro SaaSの可能性

とはいえ、実際にはSaaSをうまく活用している個人やスモビジオーナーが海外ではかなり増えています。

その代表例がMicro SaaS。これは、特定のニッチな課題をシンプルな機能で解決する小規模なSaaSを指します。

  • 小回りが利く
    大掛かりな機能を搭載しない分、初期開発期間を短くできる。

  • 投資回収が早い
    シンプルなサービスに絞ることで、少ないユーザー数でも黒字化しやすい。

  • 改善が素早い:顧客の声をすぐに反映できるので、継続率を高めやすい。

月々数百万円の売上でも十分に利益が出るMicro SaaSは、狭い市場でも“深掘り”が可能であり、大手とドンパチの広告合戦をせずに済むのが大きな魅力です。


Micro SaaSを"フック"にしよう

Micro SaaSを“入り口(フック)”にして、そこからBPOやコンサルといったより大きな売上と利益につながるサービスを展開するやり方が流行っています

これがいわゆる「BPaaS(Business Process as a Service)」という考え方。

BPaaSとは

  • SaaSの提供だけでなく、ユーザー企業が日々行っている業務のプロセスを“まるごと請け負う”形。

  • 例えば「情シス業務を全部任せてもらう」「バックオフィスの事務処理を一括代行する」など。

  • SaaSで日常的な作業を効率化しつつ、別料金で業務オペレーションもまとめてやることで、月額数十万〜数百万円の安定収入を得られる。

SaaSだけだと安定顧客を集めるまでに時間がかかりがちですが、BPOやコンサルをセットにすれば売上を一気に伸ばせる可能性があります

「SaaS+業務委託=継続課金」という形で、比較的長期のリピートが見込めるのです。


なぜBPaaSがスモビジ向きなのか

  1. 大規模な広告予算が不要
    BPOやコンサルは、多くの場合「人と信頼」がモノを言います。既存顧客に対して「うちが開発したツールもセットで引き受けますよ」と提案する方が、まったく新規のSaaS利用者を獲得するよりハードルが低い。

  2. 効率化がそのまま利益に直結
    ツールを使って業務を自動化したり、少人数で回せる体制を作り上げられれば、同じ月額料金でも利益率がどんどんアップします。自分たちの社内ノウハウをツール化して、それを顧客に提供する——これを続けるほど、利益が積み上がっていく仕組みです。

  3. 解約されにくい
    一度SaaSを導入してもらい、業務委託の流れが定着すると、顧客企業としては「いまさら内製に戻るのは面倒」という心理が働きやすいもの。スイッチングコスト(乗り換えの手間)が高くなるので、長期契約につながりやすいのも魅力です。



実際にどう始めるか

ここまで読んで「なんだかハードル高そう」と思われる方もいるかもしれません。とはいえ、最初からすべてを完璧に整える必要はありません。むしろ段階的に進めると良いです。

以下の手順で一歩ずつ進めるのがおすすめです。

  1. 既存の労働集約型ビジネスでキャッシュと知見を確保
    まずは受託やコンサルなど、自分が得意な領域で安定収益を作っておく。その過程で顧客がどんな課題を抱えているかをしっかりリサーチ。


  2. 小さくSaaSを立ち上げる(Micro SaaS)
    見つかった課題を解決するシンプルなツールを作り、既存顧客に提案してみる。大きな機能はいらないので、ノーコードBubbleを使えば、比較的低コストで開発が可能。


  3. SaaSを使ったサービス展開(BPaaS)へ
    SaaSを導入した顧客が「もっと深い部分も任せたい」と思うようになったら、業務代行(BPO)やコンサルティングを提案。徐々に包括的なサポートへ移行していく。

これなら最初から巨大マーケットでシェアを争うリスクを抑えられ、スモビジとして無理なくスケールアップを狙うことができます。


まとめ

「SaaSはオワコン」と言われがちな背景には、競合ひしめく領域で大手が莫大な資金を投入している事実があります。

でも、その部分だけを切り取って「SaaS全体が終わり」というのは早計。むしろスモールビジネスだからこそ、“小さなSaaS”から入り、BPOやコンサル、受託開発へ広げる戦略が活きてきます。

  • Micro SaaS:特定のニッチ課題に特化して効率的かつ低リスクで立ち上げる

  • BPaaS:SaaSを入り口に、業務まるごとの代行やコンサルで利益を高める

この2つを組み合わせれば、SaaSだけで戦うよりも売上や顧客満足度を高めやすく、スモビジに合った柔軟な成長が見込めるはず。

2025年はノーコードや生成AIのさらなる進化で「Micro SaaS元年」になると僕は考えてます。

SaaSは終わっていない。むしろ、“入り口”として活用しながら、業務全体を受託できるBPaaSへシフトすることで、スモビジにとって新しいビジネスチャンスがどんどん広がります。

ぜひ一度、自社でBPaaSモデルを採用するならどのようにするか考えてみてください。

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