「リレー」が違うのであれば、バトンだって...
手前の記事では
徒競走であれ、競泳であれ「リレー」のことは、
ブラジルのポルトガル語(伯葡語)では
「revezamento【ヘヴェザメントゥ】」、
ブラジル以外のポルトガル語(欧州葡語)では
「estafeta【エシタフェッタ】」
というのだという話を致しました。
で、
そうなのであれば、
当然のように
「リレー」で繋ぐ「バトン」も
2つのポルトガル語では言い方が異なります。
伯葡語で「バトン」のことは、
「bastão【バスタゥン】」
といいます。
「bastão【バスタゥン】」とは
単純に「棒切れ」といった意味ですが、
その点では英語の「baton」とも一致し、
それが証拠に英語の「baton」同様、
音楽の「指揮棒」のことも
「bastão【バスタゥン】」といいます。
尚、
日本語の「バトン」にも似ていたなと
うっかり
「baton【バトン】」と言ってしまうと、
「口紅」という意味になってしまうので、ご注意下さい。>笑
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一方、
欧州葡語では、「バトン」のことを
「testemunho【テシテムーニュ】」
といいます。
なんだか難しい単語ですね…。
ちなみに「testemunho【テシテムーニュ】」とは
「証(あかし)」
といった意味で、証明書や契約書の文言などにも
よく見掛ける単語です。
つまり、
「リレー」をする中で、次の人に繋いだ「証」となるもの
だということですね。
*****
こうしてみると、
欧州葡語の方は、
「メッセンジャー」という意味の単語が「リレー」だったり、
「証」という意味の単語が「バトン」だったりと、
どこか駅伝チックな「思い入れ」を感じる
表現が揃っていますね♪
一方の伯葡語はというと、
「bastão【バスタゥン】」が「バトン」に似ていて
覚えやすいという利点はありますが、
そもそもの意味は、ただの「棒切れ」だし、
「リレー」を意味する「revezamento」の元々の意味はというと、
フツーに「交代」とか「ロテーション」といった
ものなので、「思い入れ要素」は全くありません。
そんなところにも、文化的特性のようなものが
露わになるのかもしれませんね…。
*****
いずれにせよ、これらをまとめると、
伯葡語話者と欧州葡語話者が
「リレー」の話をしようとすると、
欧州葡語で「リレー」を表す
「estafeta【エシタフェッタ】」が
ブラジル人には
「未知の単語だから通じない」、
その他の
「revezamento【ヘヴェザメントゥ】」、
「bastão【バスタゥン】」、
「testemunho【テシテムーニュ】」
については、
「元々は共通の意味があるからこそ、
お互い何の話だか分からない」
という、
毎度の「ないない尽くしでお話にならない」
という悲しい結果になりました。 >爆!
この度もワカラン語にお付き合い頂き、
誠にありがとうございました!
※ 「選手誘導係はつらいよ」、否、
「ご連絡はこちらまで」はこたつぶとんさんの作品です。