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ポルトガル語で「日本」や「東京」は、何と言うの?
さて、
盛り上がらずとも、
いよいよオリンピック開催が迫ってきましたね。
今回は
非常事態宣言下ということもあり、
通常のオリンピックほどではないでしょうが、
それでも
街を歩いていたら
海外の放送局が中継や収録を行っているのを
見掛けるようなこともあるでしょう。
で、見掛けてしまうと、つい
「どこの国のテレビ局かなぁ~」
とか思っちゃいますよね…。
そんな時、「日本」の「東京」からの中継ということで、
「日本」と「東京」という言葉はきっと何度も出てくる筈ですので、
耳をすましてみて下さい。
日本のことを「Japão【ジャパゥン】」、
東京のことを「Tóquio【トッキウ】」
と言っていれば、それはポルトガル語である可能性が高いです。
なにせ「日本は」、皆さんご存じのとおり
英語なら「ジャパーン」、
フランス語なら「ジャポン」、
それ以外にもメジャーな西洋の言葉だけでも
スペイン語なら「ハポン」
イタリア語なら「ジャポーネ」
ドイツ語で「ヤーパン」
と、いろいろありますが、
「til 【チウ】」と呼ばれる「ニョロッ(~)」のせいで鼻に掛かった
「パゥン」(厳密にいうと「パォゥン」)という
特徴的な発音になるのが
ポルトガル語であるという目印(耳印?)です。
(書いていて「『パォゥン』って象か?」と思ってしまいました。笑
そこへ持ってきて「耳印」と書いたので、「ダンボか?」とも思いました。
なので「『ダンボ』を思い出すのがポルトガル語だ」と覚えて下さい。笑)
*****
さて、次は「東京」です。
メジャーなのは、
英語の 「Tokyo【トーウキョーウ】」や
フランス語の「Tokyo【トキオッ】」
ですよね…。
それがポルトガル語では、
「Tóquio【トッキウ】」! 😲
これには、
フォロワーさんの Ayaさんも非常に驚いたとおっしゃっていました。
「『qui』はないだろう?!」
というのが日本人の持つ印象ですよね…。
ただ、これには誇って良い一面もあるので、
それについてお話ししますね。
・新正書法の導入以前、「K」と「W」と「Y」は
ポルトガル語には存在しませんでした。
・馴染みのない外来語や外国の固有名詞にこれらの文字がある場合は、
あくまでも「外来文字」として表記されていました。
・一方、馴染みのある外来語や外国の固有名詞については
「ポルトガル語化」するべく表記を調整するべしと定められていました。
つまり、
「Tóquio【トッキウ】」には、
「東京」は昔からよく知られたメジャーな固有名詞なので、
ポルトガル語には存在しない「K」と「Y」を外して、
葡語で「キ」と読む「qui」に置き換え、
既に定着した「ト」にアクセントがくる読み方である
「トッキウ」に見合うよう「To」にアクセントを付けて、
「ポルトガル語として確立した外来語」
という地位が得られた
という経緯があるのです。
ですから、
見た目は変かもしれませんが、
許してあげて下さいね。
というか、むしろ
「そんなにメジャーなんだ、東京って!」
と、喜ぶべきことかと思われます、はい。>笑
*****
さて、これで中継または収録しているのが
ポルトガル語圏のテレビ局だということが判りました。
それがブラジルの放送局なのか、
ブラジル以外のポルトガル語圏の放送局なのかは、
リポーターが
「東京からの生放送」
と言う表現を使ってくれれば判ります。
これをポルトガル語で言うと、
ブラジルのポルトガル語(伯葡語)では、
「Transmissão ao vivo de Tóquio」
(トゥランスミサゥン・アオヴィーヴォ・ヂ・トッキウ」
その他のポルトガル語圏のポルトガル語(欧州葡語)では
「Transmissão em direto de Tóquio」
(トゥランスミサゥン・アィンディレットゥ・ドゥ・トッキウ」
と言います。
「放送」を意味する「transmissão」と「東京」を意味する「Tóquio」は
書き方も読み方も一緒ですが、
「生放送」の「生」を表す部分が
伯葡語では「ao vivo」、
欧州葡語では「em direto」
になるのです。
伯葡語の表現に出てくる
「vivo」には「生きている」という意味がありますので、
まさに「生」ですね。
それに、スペイン語でも「en vivo」なので、
ブラジルのポルトガル語はポルトガルのポルトガル語より
スペイン語に似ていることになります。
一方、欧州葡語に出てくる
「direto」は、「直接」という意味で、
英語の「direct」に似ているので覚えやすいですね。
ちなみにこの「direto」、
新正書法の導入以前は「directo」と表記されていました。
新正書法が導入されていないアンゴラやモザンビークでは
今でも「directo」と書きます。
残念ながら
新正書法が導入されたことで
英語を初めとする他の欧米系の言語からの
連想が難しくなったケースは少なくないです…。
なんだか予定より長ったらしい記事になってしまいましたが、
最後までお読み頂き、誠にありがとうございました!
※ 上記はこたつぶとんさんの作品「ゾウ 落書き」を
加工させて頂いたものです。