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「Por favor」と声を掛けただけで外国人と分かるなんてこともある

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日本人にも比較的よく知られているポルトガル語に、

英語の「please」に相当する
「Por favor【ポルファヴォール】

という表現があります。

でも、これが
「日本人にも比較的よく知られている」のは
ポルトガル語だからではなく、
スペイン語と同じだからです。>笑

*****

私や普通のブラジル人でも、日本人や他の外国人に

「ポルトガル語で『お願いします』ってなんていうの?」

と聞かれたら、まず間違いなく

「Por favor【ポルファヴォール】ですよ」

と答えてしまうと思います。

ところが、

実はこの「Por favor【ポルファヴォール】」、
現実社会では思ったほど使われるものではありません。

というのも、

何故かこの表現、
イントネーションをいろいろ変えて、
違う意味で用いることが多いのです。

例1

なにやらしつこい男に言い寄られている女性。

何度も「Não!ゥン !】(英語の "No")」
と断っているのに

とうとう男性が彼女の肩に手を回しました。

すると、彼女はその手を振り払いながら、

「Por favor !【ポルファヴォール !】

と言います。

この場合、「Por favor !」「いいかげんにしてよ!」

という意味になります。


例2

お母さんがお使いに行ってと言っても、
子供がなかなか動こうとしません。

そこで、お母さんが

「Por favor !【ポルファヴォール !】

と言います。

この場合、「Por favor !」「お願いだから!」

という意味になります。

ま、これは意味合いとしては「いい加減にしてよ」と大差ありませんね…。


例3

このパンフを貰っていいかと訊ねる夫人に

係員が

「Por favor !【ポルファヴォール !】

と言います。

この場合、「Por favor !」「もちろんですとも!」

という意味になります。

これは、英語の「Why not ?」みたいなニュアンスですね。

*****

そんなこんなで、

ポルトガル語の
「Por favor【ポルファヴォール】」は、

イントネーションやジェスチャーなどと組み合わせて
「プラスアルファ」のニュアンスを表現するのに
使われる傾向があるようで、

そういった「プラスアルファ」の要素がないまま、
唐突に

「すみませーん!」や「おねがいしまーす」
といったノリで

「Por favor【ポルファヴォール】

と、人にアプローチすると、

「あ、外国人だ!」


と、思われる傾向があるというわけです。

*****

さて、それでは

道を聞こうと人を呼び止めるときや、
レストランでボーイさんを呼ぶとき、
また、
ボーイさんが来てくれたので
「○○をお願いします」と注文するときなど、

どんな表現を使うかというと、

伯葡語圏、つまりブラジルの場合は、

Faça o favor.

ファスファヴォール】

と、

ブラジル以外、つまり欧州葡語圏の場合は、

Se faz favor.

ファシファヴォイレ

といいます。

現地人の早口だと、
伯葡語の「Faça o favor」「ファッサヴォールに、

欧葡語の「Se faz favor!」「ファッシャヴォイレ
に聞こえます。

なので、以下、読みは
「ファッサヴォール「ファッシャヴォイレ
としますね。

(しゃべっている本人達は、ちゃんと「ファスファヴォール」や
「スファシファヴォイレ」と言っているつもりなのですけれどね…。)


ちなみに、現地にお住いの日本人の中には、
どう書くのかはいざ知れず、

「ファッサボール」ないし「ファッシャボール」

といえば良いと覚えている人も
少なくないです。

*****

ところで、
「Faça o favor」「Se faz favor」という表現も、

ちょっとしたジェスチャーを付け加えるなどして、
「どうぞ、お入りください」「どうぞお先に」
「どうぞお話しください(=お伺いいたします)等々、

あらゆるシチュエーションで、それぞれの意味合いを持たせて
使うことができますし、

「○○、faça o favor」「○○、se faz favor」と名詞を伴わせれば、
買い物やレストランでの「○○をお願いします」
という表現としても使えます。

つまり、

「Café, faça o favor」
フェー、ファッサヴォール

または

「Café, se faz favor」
フェー、ファッシャヴォイレ

と言えば、コーヒーが頼めます。

また、

順序を逆にして「Faça o favor, ○○」「Se faz favor, ○○」
とすることもできますが、
この場合は、必ず単語の前に冠詞ないし数詞が必要です。

つまり、

「Faça o favor, um café. 」
【ファ
ッサヴォールンカフェ

と言えば、ブラジルで「コーヒーを1杯」
と頼むフレーズ、

「Se faz favor, dois cafés」
【ファ
ッシャヴォイレ、ドイシカフェーシ、

と言えば、ブラジル以外のポルトガル語圏で
「コーヒーを2杯」頼むときのフレーズになります。

*****

てなわけで、

ネイティヴに言葉を教わろうとすると、正しすぎて現実的でないことを
教えられる可能性があるというお話でした。>笑

子ねこのTEAパーティー

※ 「子ねこのTEAパーティー」はこたつぶとんさんの作品です。


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