実はポルトガル語圏でも「とんでも修復事件」は起きていた(1)
美術品にとんでもない修復が施されてしまうというと、
なにかと「スペインで起き易いこと」
というイメージが定着してしまっていますが、
実はポルトガル語圏でも起きています...。
こちらはブラジル、
リオ・デ・ジャネイロ州ニテロイ市の
「カペーラ・ジ・サンタクルース・ダ・バーハ」
と呼ばれるチャペルに祭られた
サンタ・バルバラ(聖バルバラ)像です。
「カペーラ・ジ・サンタクルース・ダ・バーハ」とは、
ニテロイ市南部のサンタ・クルース・ダ・バーハ要塞にある
小さなチャペルです。
サンタクルース・ダ・バーハ要塞は
ブラジルの文化遺産に指定されており、
要塞からは対岸のリオの町の絶景を楽しめる上、
かつては牢獄が併設されていたため
ブラジルのアルカトラスとも呼ばれることもあり、
囚人に纏わる心霊現象も有名だったりする
ちょっとした「ブラジルの知られざる観光スポット」
といった地位を誇る名所なのですが、
その要塞にあるチャペルである
「カペーラ・ジ・サンタクルース・ダ・バーハ」内に祭られる
いわば「ご神体」がサンタ・バルバラ像です。
見てのとおり小さなチャペルですので、
中もこのような簡素な造りとなっています。
↓
そして、
正面の小さな十字架が置いてあるスペースが
本来サンタ・バルバラが「いるべき場所」なのですが、
この写真が撮られたときは、
1度目、ないし2度目、ないし3度目の修復のために
「席を外して」おられたのでしょう…。
というのも、
この記事の冒頭の写真について、
「こちらがサンタクルース・ダ・バーハ要塞の
チャペルに祭られた聖パルバラの像です」
と紹介されれば、
「ああ、そうですか」
で済んでしまいそうですが、
実はこんなことが起きたのです…。
サンタ・バルバラ像の元のお姿は、このようなものでした。
19世紀にポルトガル人の彫刻家により彫られたものだそうです。
↓
お顔のアップはこれです。
(というか、「これでした」…)↓
ところが2012年に
陸軍博物館の保全チームが修復した結果、
記事冒頭にも載せた、このようなお姿になられました。
↓
お顔のアップはこちらです...。💦 ↓
これを見た歴史家のミルトン・テイシェイラ氏が憤慨し、
「お顔といい、派手な衣装といい、
これではまるでバービー人形ではないか!」
との投書を行ったところ、
これがインターネットで拡散され、
この像はあちこちで「サンタ・バービー」と
揶揄されるようになってしまいました…。
❇❇❇
その後、
「バービーと化した聖バルバラ」
という汚名は広がるばかりだったため、
2016年に新たな入札が行われ、
2017年に2度目の修復が行われたものの
これも失敗、
更なる修復が行われた結果、
取り敢えずは
ドレスの色などが当初のものに似たものに再現され、
このようになりました。
↓
う~ん...、
残念ながらお顔のアップ画像は見つからなかったのですが、
こうして見る限り、
老けてしまわれたというか、
やつれてしまわれたというか...、
元の清らかさや優しさが
感じられるものではありませんよね…。
まあ200年も経てば
多少お年も召されるでしょうし、
度重なる荒療治に
心底お疲れになったでしょうから、
そのせいだ!
ということにして、
これ以上この像が痛めつけられることがないよう
願うしかないのかもしれません…。
❇❇❇
というわけで、
ポルトガル語圏でも「とんでもない修復」は起きている、
けれど
マイナー言語のマイナー国家にある
マイナーな観光地の出来事であったため
世界中のさらし者にされずに済んだ…
というケースを一つご紹介させて頂きました。
本日もお読み頂き、誠にありがとうございました!
※ サンタ・バルバラさまの痛いの、痛いの、飛んで行け~!、否、
「癒しの魔法使い 猫」はこたつぶとんさんの作品です。
その(2)はこちら。 ↓
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