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ポルトガル語圏の人達のディベート力に隠された裏技
![](https://assets.st-note.com/img/1645889868179-UyrEv1lLBl.png)
日本人は、
そもそもディベート力が低いとされていますから、
言い合いになると、なにかと
「やっぱり日本人、弱いよなぁ~…」
と思ってしまうこともしばしばあります…。⤵
![](https://assets.st-note.com/img/1645877732652-lqCX7Cvd6o.png)
私は翻訳や通訳を生業としているため、
日本人とポルトガル語圏の人達による協議の通訳や、
ポルトガル語圏の要人へのインタビュー音声を
文字に起こすような仕事を多くしてきました。
長年こういった仕事をしていると、
人々のものの言い方、表現の仕方などの
「典型的なパターン」が見えてきたりもします。
なので今日は
ポルトガル語圏の人が話し合いの場でよく使う
「話術」のコツ(?! 笑)について
少し書いてみようかと思います。
![](https://assets.st-note.com/img/1645880324231-WdzwwRAYub.png)
① 「ともかくまくし立てる」
まず、
「悪いけれど、頭脳明晰とは言えないなぁ~」と
思われる「輩」の場合は、
途中でどんどん辻褄が合わなくなってきても
気にせず、取り敢えずはまくし立てます..。
但しこのタイプは、国や人種を問わず、
つまり日本人であっても、
多かれ少なかれいるような気がしますが...。💦
②「時間稼ぎをする」
これは慎重な人が使う手法です。
例えば日本側が
「我々は、『○○は△△だ』と聞いているのですが、
それは事実でしょうか」
と訊ねたとします。
すると、慎重なポルトガル語圏の人は、
「え~、要は、あなた方は『○○は△△だ』という
情報を得て、それについて、その信憑性について
知りたがっているということですね。
う~、『○○は△△』か…ですか…。
そうですね…、
そういうことであれば、
まあ、私の知る限りでは、
事実『○○は△△だ』と言えますね」
てな答え方をします…。
どう考えたって、こんなの、
「はい」か「いいえ」かの
一言で済む筈の質問ではありませんか!
なのに、何故かこんな回りくどい言い方になるのです...!
要は、そうやって質問を繰り返したり、
「う~」だの「え~」だの言いながら、
相手が何を意図してそれを訊ねているのだろうか、
これに率直に答えるべきか、
それとも曖昧にしておくべきか等々
考えているわけなのですが…、
こんなとき、
通訳である私が
一字一句訳そうものなら、
日本人は必ずやもどかしくなって、
「結論だけ訳せ~!」
と怒ります...。
それならばと
私が「はい」とだけ訳そうものなら
日本人は、
「それっぽっちのわけはなかろう!
あんなに沢山話していたのだから全て訳せ!」
と怒ります...。
更に面倒なのが、
ポルトガル語圏側が
「時間稼ぎ戦法」で質問を繰り返している途中で
日本人が遮り、
「もう随分しゃべっているのだから
取り敢えずここまででも訳せ」
と要求し、
それに対して私が
「いや、それが、頂いたご質問を繰り返していらっしゃいまして、
まだ答えには全然至っておりませんで...」
等々説明すると、
その間に文脈を見失った
ポルトガル語圏側が、
頭から全て言い直す…
という、なんともかんともな状況に...。
orz… !
冗談みたいな話ですが、
こういうパターンは比較的多くあることなので、
これから通訳を目指す方々は是非ともご注意下さいね!
ちなみに私は、
事前打ち合わせ等がある場合は、
極力「こういうことが有り勝ち」だということを
日本側にご説明させて頂くようにしていますが、
極端にこの「戦法」ばかりを繰り返す
ポルトガル語圏の人が相手だったりすると、
途中で日本側が我慢できなくなり、
「結局、YES なのか、No なのか~?!
端的に言え、端的に~!!」
てなことになり、
ポルトガル語圏側が機嫌を悪くして
建設的な話し合いができなくなる…
な~んてことも
たまにあったりするわけです…。
やれやれ...。⤵
③ 「あり得ないところで文をぶった切る」
これは
自己主張の強い人が
使う「手口」(笑)で、
とりわけビデオ起こしなどをしていると
顕著に感じることなのですが、
例えば、
「その日、私は○○へ行きました。
そこで会った▢▢さんと話していると、
その▢▢さんは△△の件について賛成だというので、
そこから◇◇さんに会いに行きました」
てなことを言おうとしたとすると、
「その日私は…
○○へ行きましたそこで…
会った▢▢さんと話しているとその▢▢さんは△△の件について…
賛成だというのでそこから…
◇◇さんに会いに行きました」
のような、変なところを一気に言い、
変なところに「間」を開けるという、
とにもかくにも変な話し方をするのです。
実際はインタビューに答えたりしてる
もっと内容の濃い長い文です。
しかもその人は、饒舌に話す人で、
「○○です」 … 「そして、」
といった塩梅で正しいところに
正しい「間」を入れてくれさえすれば
至って分かり易い、
理路整然とした話しぶりをする人だったりするのです…。
なのになのに、
わざと「間」を入れるべきところには入れず、
代わりに
「間」を入れては分かり難くなるようなところには入れるので、
「~ですそして」だの、
「~ですところが」といった
意味不明な流れになってしまうのです。
これは
自己主張の強い人が多い中で
ディベートし慣れている人が、
一度文に終止符を打ってしまうと
すかさず他の人に出番を奪われる可能性があるので、
それを回避するためにやることで、
「そして」であろうと、「しからば」であろうと、
「にも拘わらず」であろうと、
ともかく
「この文には続きがあるのだ!」という
サインを残さなければ「間」なんぞ
開けられたものではない!と思うあまり
起きてしまうことなのです…。
で、
これで何が困るかというと、
私が頻繁にビデオ起こしをしていたのは
テレビ用素材であったため、
生真面目な担当者さんであればあるほど
「忠実にこの部分を切り出したいのですが」
などとおっしゃるのですが、
「忠実に」切り取れることが非常に少なく、
毎回どこかしらに妥協点を求めるという
結果になるのです…。>苦笑
![](https://assets.st-note.com/img/1645880324231-WdzwwRAYub.png)
そんなこんなで、日本人にとって
ポルトガル語圏の人々とは、
間違いなく
仕事がし辛い相手なんだろうな…と
常々感じます。
何かと「手っ取り早く」を
優先しがちな日本人と、
徹底的に理詰めで相手を負かさなければ満足しない
ポルトガル語圏の人々...。
なんたってこんな組み合わせの
通訳なんかやっているんだろうと悩んだことが
実はなくもない Shiomin なのでした…。苦笑
本日もお読み頂き、誠にありがとうございました!
![](https://assets.st-note.com/img/1645890036984-edkBrXVRgx.png?width=1200)
※ 「ポルトガル語圏の人々とやり合ってると疲れちゃうよ…」、否、
「元気のないモチ」はこたつぶとんさんの作品です。