【2つのポルトガル語】消しゴム
ブラジルでは「消しゴム」のことを
「borracha」
【ボハッシャ】
といいます。
いや、「borracha」とは
単純に素材としての「ゴム」なので、
厳密には
「borracha de apagar」
【ボハッシャ・ジ・アパガール】
(直訳:「消すためのゴム」)
⇑ まんま「消しゴム」!👀✌
というのですが、
大抵の場合は文脈から意味が明らかなので、
よほど脈絡も画像もなく文字のみで表現せざるを得ない場合を除いて
「フルネームw」で呼ぶようなことはなく、
「borracha」だけで通じるのです。
一方、例によって
ブラジル以外のポルトガル語、
つまり欧州葡語においては、
「borracha」とは
あくまでも素材としての「ゴム」なので、
「消しゴム」という意味にはなりません。
それでは欧州葡語では
「消しゴム」のことを何というかというと、
「goma de borrar」
【ゴーマ・ドゥ・ボらぃレ】
⇑ この「ら」は軽い巻き舌ね♪
というのです。
「goma」とは「胡麻」…
じゃなくて w
ゴムやゴム加工品、粘剤などを表す
英語の「gum」に相当する単語で、
たとえばチューインガムのことであれば、
両葡語とも
「goma de mascar」
伯葡語【ゴーマ・ジ・マスカール】
欧州葡語【ゴーマ・ドゥ・マシカィレ】
といいます。
また、
お菓子の「グミ」にも
「goma」という単語が使われるのですが、
欧州葡語ではそのまんま「goma【ゴーマ】」というのに対して
ブラジルでは
「bala de goma【バーラ・ジ・ゴーマ】」といい、
「goma」だけに略すことはありません。
ブラジル以外のポルトガル語圏では「goma【ゴーマ】」♪
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ブラジルのポルトガル語では「bala de goma【バーラ・ジ・ゴーマ】」♪
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ちなみに「bala de goma」の「bala de 」の部分は
「~の飴」という意味なので、
ブラジル人は「グミ(goma) の飴」と言っていることになりますが、
何故わざわざこのような熟語を使って
略した表現を用いないのかというと…、
それは恐らく…
ブラジル人が「goma」という単語を聞いて
まず連想するのが、
「洗濯糊」だからです…。👀www
一方、
ブラジル以外のポルトガル語圏では
何故「goma」とだけ言い、
「bala de goma」という表現すらないのかというと…、
(何度か記事で取り上げておりますとおり)
物騒だからです!( *´艸`) www
⇓
なお、
「goma de borrar」の「borrar」はというと、
基本的には
「にじませる」とか「ぼかす」といった意味の動詞で、
欧州葡語には「消す」という意味もあるようではありますが、
ブラジル人にとっては
「えっ?消しゴムを『goma de borrar』と言うの?
きっと完璧にきれいに消えるものでもないからだわね…。w」
程度にしか解釈できません...。💦
❇❇❇
このように、
2つのポルトガル語のあいだには
「聞いた単語に対する最初のイメージがそもそも違う」
(以前は他言語同士でこのようなことがあると申しましたが…w)
というケースがあまりにも多く、
・頭の中で描くものがこれほど違うと会話が成り立たないことがある。
・こんなに違う2つの言語を、せめて表記だけでも統一しようと
「新正書法」なんぞを制定してみたら、
却って表記が異なってしまったり、
単語の意味が通じにくくなってしまうようなこともある…。💦w
といった塩梅で、
一説によれば、既に4億人以上の話者がいるとも言われ、
サンバであれ、ボサノバであれ、ファドであれ、
音楽の世界などでは多くのファンがいるものの、
このようなことから、言語としては、
いつまで経っても
マイナー街道まっしぐら… なのです…。💦⤵
😩 😢 😭
最後にオマケ的余談wですが…。
アメリカ英語で消しゴムは「eraser」ですよね?
「eraser」を直訳すれば「消すもの」ですが、
この「消すもの」をポルトガル語に訳すと、
「apagador」
伯葡語:【アパガドール】
欧州葡語:【アパガドィレ】
になります。
そして、これまで述べてきたとおり、
どちらのポルトガル語でも
「apagador」は「消しゴム」ではありません。
というのも、
「apagador」とは、
どちらのポルトガル語においても
黒板消し(ホワイトボード用でもOK♪)
のことなのです!👀
⇓
いや、英語でも
「blackboard eraser」や「whiteboard eraser」
と言いますが、
「eraser」単独では
概ね誰でも「消しゴム」が頭に浮かびます。
それが
ポルトガル語圏の場合は、
Wikipediaに「Apagador」という項目があるほど
「apagador」は「黒板消し」のイメージが強く、
「消しゴム」という意味に使われることはないのです。
❇❇❇
このように
身近な物ほどこういった些細な違いがありますから、
外国語を本当に身に付けるには
やはり「生活感」が大切ってことですね…。