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ブラジル人が欧州葡語のサッカーの実況を聞くとズッコケる

さも「欧州葡語押し」の人間だと思われそうな口ぶりでここまで記事を執筆してきた私ですが、所詮「根」はブラジル人なので、四半世紀もアフリカ葡語圏を通い倒した今でも「慣れないものは慣れない!」というものもあるわけでして、今回は欧州葡語圏の放送でサッカーの試合の実況を聞くと、拍子抜けしてしまうという話をします。

それは、欧州葡語のサッカー用語にはブラジル人が強い違和感を感じたり、どうしても笑ってしまうものがあるからです。

以下が初めて欧州葡語圏でサッカーの試合を観たブラジル人の反応です。

① チーム(Time/Equipe → Equipa)

まず、伯葡語では、チームのことを「time(チーミ)」、または 「equipe(エキッピ)」というのですが、欧州葡語では「equipa(エキッパ)」というので、まず「両チーム入場!」のところで、

「ほう、言い方が違うんだぁ!」

と思います。

※ ポルトガル語が初めての方は「time」を「タイム」と読まないようご注意下さいね。

② シャツ(Camiseta → Camisola)

「青いシャツが○○、黄色いシャツが△△です」と各チームが紹介されると、早くもここでブラジル人は思わず吹き出してしまいます。

「ブハッ!ネグリジェかよ!?」

というのも、サッカーシャツを含めTシャツの類のことを、伯葡語では「camiseta(カミゼッタ)」というのに対して、欧州葡語では「camisola(カミゾーラ)」というのですが、この「camisola」、伯葡語ではナント「ネグリジェ」という意味なのです。

そう、あの薄手で、フリフリがついていて可愛いかったり
セクシーだったりする「ネグリジェ」…。

選抜チームのシャツであれば、
 「camisola da seleção (カミゾーラ ダ セレサゥン)」です…。

そんなもん、「するな」と言われてもしちゃいます、想像を。

サッカーチームの「ネグリジェ姿」…。

試合が始まるとブラジル人はそれに熱中するので、しばしネグリジェのことは忘れます。

③ 前半(primeiro tempo → primeira parte)
  後半(segundo tempo → segunda parte)

おっと残念、0対0で前半が終わってしまいました。

「Final da primeira parte!」
(フィナーウ ダ プリメイラ パールトゥ!)

「えっ、primeira parte って言うの?!第一部って…劇場とかかーっ?!」

伯葡語の「primeiro tempo(プリメイル テンプ)」と、「segundo tempo(セグンドゥ テンプ)」は、それを聞いただけで「あ、試合の話ね」と分かる表現ですが、欧州葡語の「primeira parte (プリメイラ パルトゥ)」や「segunda parte(セグンダ パルトゥ)」は、あまりにも一般的な表現なので、本のことだか、演劇の「幕」ことだか、講義のことだか、てんで掴みどころがないのです。

そうこうしていると、後半が始まります。

「Começa a segunda parte!」
(コメッサァ セグンダ パールトゥ!) 

「うん、うん、分かった、分かった、『第2部』ね…」

④ コーナーキック(escanteio/corner → pontapé de canto)

そこへ大チャンス到来、コーナーキックです!

「Cantoooooo!!!」

「ええぇっ、『カント』って言うの~?!うっそー!!」

なんてったって、伯葡語の「escanteio(エスカンテイウ)」はれっきとしたサッカー用語ですし、「コーナーキック」を略して「Corner(コルネル)」と言っても日本人が「コーナー」と聞いた時と同じ外来語感の響きです。

それが「pontapé de canto(ポンタぺー ドゥカントゥ)となると
自国語まんまの「角の蹴り」だし、
しかも実況で興奮しながら叫ぶのが、

「かど~!!!」

って。。。

ブラジル人、一瞬目が点になり
せっかくのワクワク感がどこかに行ってしまいます。

でも、折角のチャンスですから、気持ちを切り替えて目を凝らします。

すると、見事きれいなカーブを描いて、ボールはゴールに!

⑤ ゴール(gol → golo)

「Goolooooo !!!!」

ブラジル人、ここでカックンとズッコケます。

だって、ブラジルの実況だったら、

「Goooool !!!(ゴーーーーウ!)」

なのに、

「Goolooo l!!!(ゴーローーーー!)」

って…、

やっぱ「カックン」ものですよ、これは。

日本語だって、「ゴーーーール!」の筈が、

「ゴールーーーー!」

って実況されたらさ…。

⑥ ゴールキーパー(goleiro → guarda-redes)

これで誰より落胆したのは、 guarda-redes(グァルダれーデシ)、こと ゴールキーパーです。

「ゴールキーパーは頑張んばりましたが云々」とのコメントを聞きつつ、
ブラジル人は、

「ふぅん、guarda-redes ね、『ネット守り』ってことね…。
なんだか傘(伯葡語で guarda-chuva)みたいな表現で微妙…」

などと思っていると、試合は終了となり、

そこで折角忘れた筈のあの言葉が!!

「○○選手と△△選手が camisola の交換をしています~!」

うううっ…、
やっぱダメだ、笑いがこみ上げてくる・・・。

なんとしても、クリスティアーノ・ロナウドとネイマール辺りがネグリジェを交換しているところが頭の中で…

グハハハハ~!

*****

要は、ブラジル人は、日本人が中国語では配偶者のことを「愛人」と言うと知った時や、戦時中の日本では野球の試合で「ストライク」は「良い球」、ボールは「悪い球~」または「ダメ~」と言っていたと教えられた時のようなショックを受けたり、「ダッサ~」と感じたりしてしまうわけで…

なんとしても「こんな実況はイヤだ~」と、思ってしまうのです。

私自身、悪いけれど、これだけは無理!
多分一生「治り」ません!

だって、

四半世紀も聞いてりゃ慣れそうなものなのに、
未だに選手がネグリジェを交換している姿を想像してしまうんですから…

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