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ポルトガル語圏で「羨ましい」は禁句


「うらやましい」という日本語が変なふうに聞こえるといった
類の話ではありません。

日本語で会話をしていて、誰かが

「家を新築した」とか
「○○へ旅行へ行ってきた」とか、

何か素敵な報告をしてきたら、

つい、口をついて

「まあ、羨ましい♪」

と言ってしまうことはありませんか?

日本語であれば、それは純粋に

「まあ、なんと素敵な!」

「私もそんなことしてみたいわ!」

という意味で、言われた相手も
「いやぁ~、そんなぁ~♪」と照れる程度で
済むことで、

本当に「いいなぁ~」と思っているのか
社交辞令なのかは別として、

よくあるやり取り以上のなにものでもありません。

***

ところが、この
「まあ、羨ましい!」
に相当する(と思われている)表現を
ポルトガル語圏の人に向けると、

「いやだわ~!」

とか、

「こっち向いてそういうこと言わないでよ!」

と、敬遠されてしまいます。

*****

というのも、一般に「羨ましい」の訳だと信じられている
ポルトガル語の語句には

「妬み」「嫉み」「やっかみ」「嫉妬」
といった意味合いしかないからです。

Google 翻訳で変換してみると、
結果は次のようになります。

画像1

こちら ↑ は「嫉妬を感じている状態」を表す表現です。

画像2

こちら ↑ は、妬み・嫉みを表す名詞です。

画像3

こちら ↑ に至っては、

「そうですねぇ~、私はあなたを妬みますよ…」

って感じ…!😱

*****

でも、これは Google 翻訳が間違っているわけでもなんでもなく、
日本人が「いい意味」で使う
「羨ましい」に匹敵する単語がないのです! 

画像4


そもそも日本語の「羨む」という動詞にも
ポジティブな意味とネガティブな意味がありますよね。

うら‐や・む【羨む】 の解説
[動マ五(四)]《「心 (うら) 病 (や) む」の意》
1 他の人が恵まれていたり、自分よりもすぐれていたりするのを見て、自分もそうありたいと思う。「人も―・む仲」
2 他人のすぐれた才能や恵まれた状態を不満に思う。「同輩の出世を―・む」
                           出典:goo 辞書

ですから、
「羨ましいな~♪」「羨ましいワ♪」等が
何の悪気もない「いい表現」・「誉め言葉」として用いられ、
それを言われた側も「良い意味」として捉える
ということ自体が
文化や風習なのかもしれません。

つまり、社会的に「そうなんだ」と
決まっているだけ

ということです。

*****

さて、
それにしても

そのような日本の「文化・風習」を背負って
ポルトガル語圏に出向いた人達は
どうすれば良いのでしょう?

だって、良いことがあったと聞けば、
とっさに

「キャー、素敵!羨ましいわ~♪」

てなことを
言いたくなってしまいますものね…!

そんなときは、

「Quem me dera!」

【ケンミ―ラ】

と言いましょう。

これは「私もそうなりたいなぁ~♪」

といった意味合いの慣用句で、
嫌味のない表現である上、

動詞表現を原形のまま繋げることで、
具体的な文にすることもできます。

例1: 「poder viajar 【ポール・ヴィアジャール】」(旅行に行ける)

「Quem me dera poder viajar」

【ケンミ―ラ・ポール・ヴィアジャール】

「(私も)旅行に行けたらなぁ~…」


例2: 「poder cantar 【ポール・カンール】」(歌うことができる)

「Quem me dera poder cantar」

【ケンミ―ラ・ポール・カンール】

「(私も)歌が歌えたらなぁ~…」


といった塩梅です。


というわけで、

ポルトガル語で「羨ましい!」と言いたい時は、
機械翻訳などに頼らず、

「Quem me dera!」

【ケンミ―ラ】

と言いましょう!

というお話でした。

お読み頂き、誠にありがとうございました!

2021-07-18 (5) - コピー

※ 上記はこたつぶとんさんの作品「憧れのあの子 ネコ」を
加工させて頂いたものです。




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