スラム街を意味する「ファベーラ」は、ポルトガル語ではない?!
トップ画像:anja_schindlerによるPixabayからの画像
ブラジルを紹介する文などには、
「『ファベーラ』とは、ポルトガル語でスラム街のことで…」
などと書いてあることが多々あります。
確かにそうではあるのですが、
実は…、
19世紀後半、ブラジル北部で起きた紛争から
無事戻った帰還兵達が住み着いた
リオ・デ・ジャネイロの市街地からほど近い小山には、
「favela【ファヴェーラ】」
という通称で知られる植物が群生しており、
その地域が
「Morro da Favela【モーフ・ダ・ファヴェーラ】」
(=「ファヴェーラの小山」)
として知られるようになり、
やがて
「favela【ファヴェーラ】」が
貧民窟の総称になった
のだそうで、
要は、
「favela【ファヴェーラ】」とは
ブラジルで生まれた「造語」の一種なので、
広い意味で
「favela【ファヴェーラ】」はポルトガル語だ」
というのは
間違いだということになるのです。
事実、
欧州葡語には
「bairro de lata【バイる・ドゥ・ラッタ】」
(=ブリキの町)
という、別の表現が存在するので、
欧州葡語圏の人が「favela」と言ったとしたら、
それはピンポイントで
「ブラジルのスラム街」を指していることになりますし、
「Favela é bairro de lata do Brasil.」
【ファヴェーラ・エ・バイる・ドゥ・ラッタ・ドゥ・ブラズィーゥ】
(『ファヴェーラ』とは、ブラジルの「バイる・ドゥ・ラッタ」です。)
という文も成り立ちます。
つまり、日本語の場合、
「シャンソンという歌」と言ったのでは、
「歌という歌かい!」と
突っ込まれるかもしれませんが、
「『ファベーラ』というスラム街」
や、
「『ファベーラ』という貧民窟」
という表現は、
至って正しいということになるわけです。
*****
ちなみに私はアフリカに通うようになってからも、
何度か仕事でブラジルにも行っているのですが、
アフリカの貧しさを目の当たりにしてからは、
かつては貧しく見えた
「favela【ファヴェーラ】」を見ても、
「なんてリッチなのかしら」
と思うようになってしまいました…!
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さて、今夜も夜なべで翻訳なので、
この辺で失礼致します。
お読み頂き、ありがとうございました!
※ 「メガネを直す ネコ」は、こたつぶとんさんの作品です。
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