ペルナンブコ州の異色なアーティスト
その人の名は
フランシスコ・ブレナン 、
2019年暮れに亡くなった、
ブラジルはペルナンブコ州が誇るセラミスト、
つまり陶芸家です。
日本で陶芸家というと、
実用性のある器や花瓶などを作る職人系の芸術家を
思い浮かべるのが通常かと思われますが、
ブラジルで
陶芸家 (ceramista【セラミスタ】)
というと、
観賞用の美術品を作る芸術家を指し、
実用性のあるものを手作りで手掛けている作者は
あまり見掛けません。
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19世紀にペルナンブコ州に建設された鉄道の事業関係者として
渡伯・移住したイギリス人の子孫として
ペルナンブコ州の州都レシフェで生を受けた
フランシスコ・ブレナン
(Francisco Brennand: 1927/6/11~ 2019/12/19) には
少年時代から絵画などの芸術的才能が見受けられたものの、
父親が展開していた陶器生産には
「所詮日用品の生産」
といったイメージしか抱かず、
特段の関心を示すようなことはなかったそうです。
ところが、
1950年にスペインを訪れると、
ガウディの建築に魅了され、
その後は
その作風を取り入れた陶芸作品に人生を捧げるようになります。
そして
父親から受け継いだ陶器工場の跡地を工房として使いつつ、
自らの世界観を表現した空間を造り上げ、
展示室やチャペルやカフェを併設することにより
一般の観光客も受け入れるようになりました。
それが
今やレシフェ市有数の観光スポットでもある
こちら ↓ の
Oficina Cerâmica Francisco Brennand
【オフィスィーナ・セラーミカ・フランスィスク・ブレナン】
です。
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広々とした敷地に展開されるこの「異空間」は
観光客にも非常に人気があり、
フランシスコ・ブレナンは
数少ないペルナンブコ州の著名芸術家とされ、
あるとき、
レシフェ市の起点である
「マルコ・ゼロ(Marco Zero) 広場」に
ブレナンの特大サイズの作品が建造されることになりました。
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実は、当時私は
ちょうど仕事でこの町に長期滞在しており、
今は「マルコ・ゼロ広場」から見渡せる
水路の対岸(防波堤上)に移設されていますが、
大きな「塔」のようなその作品が、
まだ私が滞在している間に
広場のど真ん中に建造され始めました。
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ただ、これには一つ問題がありまして...。
フランシスコ・ブレナンは
確かに偉大な芸術家ではあるのですが、
彼がメインのモチーフとしていたのが
「人間の生殖器」なのです…。
町のシンボル的な広場のど真ん中に
30メートル程の高さの...
男性のシンボル... >爆!
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「マルコ・ゼロ広場」は職場からも近く、
私が同行していた日本人の「おじさま方」も
「なにやらペルナンブコ州を代表するアーティストの作品が
広場に建造されるらしい」
とは認識していたものの、
私や現地採用の女性などは
決してそれがどのような形になる予定であるかを
伝えることはありませんでした。
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そんなある日、昼食に出かけた帰りに
先を歩いていた「おじさま方」が、
「おおっ、例の記念碑だかの工事が進んでいるね~」
「随分高いね~、どんなふうになるんだろうねぇ」、
「ロケットとかかなぁ~」
と話していました。
後ろを行く私と現地採用の女性は、
「ロケットだってぇ~🤣🤣🤣」
「とても本当のことは言えないねぇ~🤣🤣🤣」
と、ウケまくったあと、
その現地採用の女性が、ぽつんと、
「ま、なんたって、ここは『カーボ・カナヴィアウ』だしね…」
と…。
「カナヴィアウ(canavial)」とは
サトウキビ畑のことで、
ペルナンブコ州はアルコール車の燃料用アルコールの原料である
サトウキビの産地としても知られているため、
「ロケット」
↓
「カーボ・カナベラル(Cabo Canaveral)」
(「ケープ・カナベラル(Cape Canaveral)」の葡語での言い方)
↓
「カーボ・カナヴィアウ (Cabo Canavial)」
という、見事なダジャレだったのわけですが、
2人してツボにはまってしまい、
再び大笑いしました。
🤣🤣🤣🤣🤣
それから2年ほどして、
その女性とサンパウロで再会することがあり、
思い出話の一環として、その話をすると、
「『カーボ・カナヴィアウ』? 私がそんなこと言ったのー?!」
と、てんで覚えていませんでした…。
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私って、なにかとそういうことが多いです…。
思い切り印象に残ったことを、
一緒にいた相手は一切覚えていない…。
ツボりどころがよほど悪いのか、
異世界でも行き来しているのか...。
いずれにせよ、誰かと笑い合った瞬間が
「共通の思い出」でなくなることが多いのは
なんだか寂しいものです…。
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というわけで、
「なに、この出だしと締めのギャップは!」
ま、いかにも Shiominチックなお話ということで。>笑
本日もお読み頂き、誠にありがとうございました!
※ 上記はこたつぶとんさんのイラスト「こちらです ネコ2」を
加工させて頂いたものです。