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「シトッ」、「シタッ?」
トップ画像:Anastasia GeppによるPixabayからの画像
これは欧州ポルトガル語の電話での一言目、
つまり、日本語でいうところの「もしもし」です。
スペルは、
「Estou 【シトッ】」
と
「Está【シタッ?】」
で、
直訳すると、
「私はいます」と「あなたはいますか」
なので、
多少意訳すると、
「はい、おりますが~」
「あ、いらっしゃいました?」
といったところでしょうか。
*****
これにはブラジル人は、なかなか馴染めません…。
というのも、ブラジルでは、
「Alô【アロー】」
または
「Pronto【プロントゥ】」
といって電話に出るのが定番で、
「Alô【アロー】」は、英語の "Hello" に相当し、
「Pronto【プロントゥ】」は、英語の "Ready"に相当するので、
どちらかというと「シトッ」よりは日本人にも馴染み易いかと思われます。
が、
このあとがブラジル版のへんてこりんな部分です。
「Alô【アロー】」または「Pronto【プロントゥ】」
と出た相手に対して、掛けてきた本人が
「Quem fala?【ケン・ファーラ?】=『どなたですか』」
と、訊ねます。
これは伝統的な電話でのやりとり、
つまり固定電話を想定したもので、
今どきはあまり起こらない話ではありますが…、
日本からブラジルにやってきた人は
この風習に対して
「掛けてきて、『どちらさま』って何なのよ!」
と、一度は文句を言います。>笑
しかも、これには続きがあります。
固定電話時代の終盤には、ブラジルでも
電話による詐欺や、
後に強盗に入る準備段階で
住人の名前を押さえておく手段として
電話が用いられるケースが増えていましたから、
「名前を言うのはマズイ」
「でも、風習だから、自分だって電話を掛ければ
つい『ケン・ファーラ?』と言ってしまう…」
では、どうするか?!
・
・
・
この問題の打開策として根付いたのが、
ものすごい早口で自分の電話番号を答える
というもので、
書きとることもできなければ、質問の答えにもなっていない返答…。
なにはともあれ、
これらの「儀式」を経て、ようやく
「É ○○?【エ ○○?】(○○さんですか)」
や、
「○○ está?【○○ エスター?】(○○さんはいらっしゃいますか)」
という通常の電話の会話らしくなるという図式です…。
そう考えると、「馴染む」「馴染まない」以前に
「欧州方式の方が便利なんじゃない?」
と思ってしまいますが…。>笑
*****
ちなみにアフリカ葡語圏では、
ブラジル方式の「Alô」という人と、
ポルトガル方式の「Estou 」という人が
半々なので、
未だにポルトガル方式に慣れない私は
「Alô」と言っていますが、
これはこれで、
ブラジル人が発音すると、
厳密には「アロァー」といった感じに
小さな「ァ」が入って、末尾を少し伸ばした感じになるのですが、
アフリカ葡語圏の人は、
極めて簡素に
「Alô【アロッ】」
と発音します。
そのため、アフリカに「通い」始めた当初は
私が、
「アロァー、日本の○○氏に代わってお電話させて頂いているのですが、
▢▢さんはいらっしゃいますか」
などというと、
「おーい、▢▢~!ブラジル人から電話だぞ~」
と、▢▢さんを呼ぶ声が聞こえてくるようなことも
しばしばありました…。>笑
「おい、『アロァー』だけで判断するなよ、
日本の○○氏の代理だと言ってるだろうが!!」
って感じでしたね、まったくもう! >苦笑
なにはともあれ、
本日もお読み頂き、ありがとうございました!
画像:konamomさん from Illust AC