ポルトガル語で「一石二鳥」は?
日本語の「一石二鳥」が
英語でも「To kill two birds with one stone」だからと
他の横文字言語にも「石を用いて鳥を獲る」系の表現が
存在するだろうと思っている人も少なくないのではないでしょうか。
スペイン語では
「Dos pájaros de un tiro」
なので、
「一発二鳥」ですし、
フランス語では
何を獲るのかは明確にされていないものの、
「Faire d'une pierre deux coups」
だそうですから、
「一石2打」といったところでしょうか、
少なくとも「石」が出てきます。
また、
イタリア語では
「Prendere due piccioni con una fava」
というのだそうで、
これは「一豆二鳩」で、
テイストが大分違いますが、
「鳩」も「鳥」なので
被る部分がなくはないのです。
ところがところが
ポルトガル語ではなんと…!
「Matar dois coelhos com uma cajadada só」、
または
「Matar dois coelhos de uma cajadada só」、
または
「Matar dois coelhos de uma só cajadada」、
と、前置詞や語順に揺れはありますが、
いずれも直訳すると、
「羊飼いの杖一本でウサギを2羽🐰🐰仕留める」、
つまり、
「一杖2兎」なのです!👀
🐰🐰🐰
「coelho【コエ―リュ】」とは「兎」のことですが、
その意味はいざ知れず、
世界的ベストセラー
『アルケミスト - 夢を旅した少年』(O Alquimista)の作者
パウロ・コエーリョ (Paulo Coelho)の姓として
日本でも広く知られている単語ですよね ♪
☆☆☆
一方、
「羊飼いの杖」とは下記のような杖のことですが、
これはポルトガル語では
「cajado【カジャードゥ】」と呼ばれるものの、
普段の会話では
その熟語である「cajadada【カジャダーダ】」を
この慣用句以外で耳にすることがないため、
現地人でもその意味を知らないことが少なくない単語です。
結果、
「cajado【カジャードゥ】」
ないし
「cajadada【カジャダーダ】」を
「『石』の別の言い方」
だと思っている独学者もいるとかいないとか…!👀
❇❇❇
ところで
「cajado【カジャードゥ】」(=羊飼いの杖)に対する
「cajadada【カジャダーダ】」という熟語の
意味はというと、
こちらでも書いたとおり
⇓
「『-アーダ』が付くと『○○攻め』」
なので、
「『羊飼いの杖(語幹が意味する物)』を使ってボコボコにすること」
という意味になります...。😲
つまり、
ポルトガル語の「一杖2兎」とは
こんなイメージなのです…。😖 😫 😩
⇓
しかも
ここに出て来る兎🐰は
ノウサギではなく飼いウサギ…。
⇓
しかも
「Matar dois coelhos…」
という表現の「Matar」とは
まさに「殺す」という意味なので、
「食すために絞める」
という意味なのだということも窺い知ることができます...。
😰 😥 😓
ちなみに米国の PETA という団体が
⇓
こういった諺や言い回しについて、
表現の変更を推奨しているそうなので、
遠くない未来には
使われなくなるかと思われます。
そうなると、
今回紹介した中では
フランス語の
「一石2打」(Faire d'une pierre deux coups)が
代替案として一番有望なのではないでしょうかね ♪
ちなみにこれ ⇑ を葡語訳すると、
「Dar dois golpes com uma pedra só」
といったところかな?
何はともあれ、