
【2つのポルトガル語】:お店屋さんで「○○を下さい」と言う。
おかいもの~、おかいもの~🎵

ってタイプのお買い物ではなくて、
肉屋さんとか八百屋さんとかでのお買い物の話です。
例えば八百屋さんで、
ブラジル人は、こんな表現を使います。

「お兄さん、レタスの葉を4枚とニンジンを1本半ちょうだい!」
と言っています。
表現一覧:
Moço: お兄さん
Me vê ~: 「~を下さい」
quatro folhas de alface: レタスの葉4枚
uma cenoura e meia: 人参1本半
これはブラジルの銀行員組合が
「本日のカートゥーン」として上げたもので、
景気が悪くて一般市民が
これまでは考えられなかったような小さい単位で
食材を買うようになっていることを表現しています。
なにせブラジルでは
日本のスーパーやコンビニのように
一人暮らしの人達向けに
小分けしたものを売っているようなことは
ほとんどなく、
何でもキロ単位とか、
洗面器のような大きなお皿単位とかが
通常ですので...。
🥬🥕🥬🥕🥬🥕
ところでこの記事は
「2つのポルトガル語」に分類しております。
ということは、
ポルトガルやアフリカ葡語圏では
このようには表現しないということです。

まず、このブラジルのカートゥーンでは
「Moço【モッス】」という単語を使って
「お兄さん」を呼んでいますが、
この単語は欧州葡語にも存在し、しかも
両葡語において「若い男性」という意味があり、
ブラジルでは知らない「お兄さん」に声を掛けるのに
よくこの単語を用います。

一方、欧州葡語圏の「お兄さん」は、
このように呼びかけられると
上から目線で馬鹿にしてきたと感じて
怒ってしまいます。
「おい、ひよっこ野郎!」とでも
言われた気分になるのだと思われます。
若者を表す単語には
「rapaz 【ラパイシ】」(男性)/「rapariga 【ラパリーガ】」(女性)、
「gajo【ガ―ジュ】」(男性)、「gaja【ガージャ】(女性)」
などもあり、
ポルトガルではどの単語が最も頻繁に使われるのかは
生憎知らないのですが、
アフリカ葡語圏の場合は
「Ó jovem! 【オ・ジョーヴェン】」
(=「若者よ!」)
と呼びかけているのをよく見掛けました。
👦🏻🧑🏼🧑🏽🦰🧑🏼🦰👦🏽
次は「○○を下さい」ですが、

今回のカートゥーンの中の
ブラジル人のおばちゃんは、
「Me vê 【ミヴェー】○○」
という表現を用いています。
これはブラジルでは
非常によく使われる表現です。
ちなみに「vê」とは「見る」を意味する
「ver」動詞の命令形で、
この表現を厳密に訳すと
「私のために○○を見てちょうだいな」
といったところになります。
が、
これは文法的には間違っています…。
なぜなら、正式な文法には
「代名詞の目的格が文頭にきてはならない」
というルールがあるからです。
※ ここで言う「文頭」とは、「感嘆詞・呼称・接続詞/接続節+カンマ」
の直後も含みます。
ま、英語でも、例えば「Give me」はあっても
「Me give」はあり得ませんから
ある意味似たようなものではありますが、
実はポルトガル語の場合は、
条件さえ揃えば
代名詞の目的格が動詞の手前にくること自体は
あり得るので、
「文頭やカンマのあとはNG」
というルールになるわけです。
ちなみに以前、
どこか別の記事でも述べた気がしますが、
ブラジルの口語は文語とはかけ離れている上、
「文法通りにしゃべるほどダサいことはない」
といった風潮があり、
その中でも
とりわけ代名詞の目的格については
動詞の手前にくるのが当たり前だと
思っている人が圧倒的に多くなってしまい、
日本で育ったブラジル人の翻訳文などを見ていても、
これが乱用されているケースが多々見受けられます。
ま、日本の日本語でも、今どきは
「見れる」・「食べれる」という人に
「上一段と下一段は未然形に『られる』を付けるもんだぁ~!」
な~んて突然「ほざいた」ところで
ドン引きされるだけですから
同じことっちゃ同じことなんですけどね…。w

ところで
それでは欧州葡語では
どのように言うのかというと、
全く同じ表現の
文法だけ正したものを用います。
「○○をおくれ」や「○○をちょうだいナ」
といったラフな言い方であれば、
「Vê-me【ヴェーム】○○」、
もう少し丁寧に
「○○を下さい」であれば、
「Veja-me【ヴェージャム】○○」
といいます。
「Vê」も「Veja」も「ver」動詞の命令形です。
「Vê」は相手を、
「本来の2人称単数で対等もしくは下の立場の相手に対して
使われる『tu【トゥー】』」として扱う場合の命令形、
「Veja」は相手を、
「上の『tu【トゥー】』よりは丁寧な『você【ヴォセッ】』や
目上に対して使われる
『o senhor【ウスィニョール】』/『a senhora【アスィニョーラ】』」
として扱う場合の命令形です。
まとめ:
・ブラジルでは、知らない若者に声を掛ける場合「モッス」(女性の場合は
「モッサ」という単語がよく使われますが、欧州葡語圏では侮辱的に聞こ
えるので使わないようにしましょう。
・欧州葡語圏の場合は男女を問わず「オッ・ジョーヴェン!」が使えます。
・ ブラジルで食材などを買う際は、「ミヴェー○○」と頼みましょう。
・ 欧州葡語圏の場合は、「ヴェーム ○○」または「ヴェージャム○○」
のいずれかを使いましょう。
※ どちらの葡語も英語の「give」に相当する「dar」動詞を使うことも
可能ですが、この表現では「見る」を意味する「ver」動詞を用いる
ところがポイントです。
本日もお読み頂き、誠にありがとうございました!

※ 「買い物 コアラ」はこたつぶとんさんの作品です。