アフリカ葡語圏におけるミニバスの名称
アフリカ各国では乗合のミニバスを多く見かけます。
アフリカ葡語圏でも同様で、
しかも各国で独自の呼ばれ方をしています。
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ギニアビサウ
トップ画像はギニアビサウ「乗り合いミニバス」で、
通称は
Toca-toca【トカトーカ】といいます。
Toca-toca【トカトーカ】の Toca【トカ】とは
「触れる」という意味があり、
「触れる・触れる」で
混んだミニバスが揺れて
肩が触れ合う様子を表現しています。
なんとも可愛らしいネーミングですね。
ただ、こんな可愛い名称はここだけです。
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アンゴラ
アンゴラでは水色と白に塗られているのが
乗り合いバスの目印です。
これは、táxi【タクスィ】
または
candongueiro【カンドンゲイル】
と呼ばれます。
táxi【タクスィ】は、読んで字の如く「タクシー」を表す単語ですが、
アンゴラには長年公共の乗り物が存在しない時代があり、
その後一番最初に出てきたのが
このミニバスで、
当時は一般の国のようなタクシーもなかったので、
「乗り合いタクシー」という意味合いで
táxi【タクスィ】と呼ばれるようになってしまいました。
※ 今でも流しのタクシーはありませんが、電話で頼むタクシーはあります。
一方、candongueiro【カンドンゲイル】とは
「闇商人」といった意味がある単語なのですが、
この乗り合いミニバスの運転手を
このように呼ぶようになり、
やがて「乗り合いミニバス」そのもののことも
このように呼ぶようにもなりました。
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カーボベルデ
カーボベルデの「乗り合いミニバス」については
以前ちょこっと書いたことがあります。
その時書いたことと重複してしまうのですが、
あるとき、現地スタッフと車で出掛けたら、
「もう!イアッセは乱暴だから困る」
というので、
「イアッセって何?」
と訊ねると、
「何言ってんのよ、イアッセといえばあなたの国の車でしょ。
ほら、もう一台来たわ。
ほうら、『イアッセ』って書いてあるでしょ?」
と。
見ると、なるほど!
「HIACE」でした…。
ポルトガル語で「H」は読まないので、
「ハイエース」が「イアッセ」になってしまうのです。>笑
そう、
カーボベルデにおける
「乗り合いミニバス」の通称は、「イアッセ」なのです。
理由は、言うまでもなく、
ミニバスの大半がトヨタ・ハイエースだからです。
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サントメプリンシペ
サントメプリンシペには
「どんだけ~?!」って程多くの黄色いタクシーが、
所せましと広場に待機しています。
セダンでもハイエースなどのボックスタイプでも
交渉次第で好きに使えるという意味では
十把一絡げで
アンゴラ同様「táxi【タクスィ】」と
呼んでも構わないのですが、
ある程度決まったルートで運行しているものは
mini-autocarro【ミニアウトゥカーる】
と呼ばれるようです。
autocarro【アウトゥカーる】とは、
欧州葡語で「バス」という意味です。
ちなみにサントメの「イエローキャブ」は
その数の多さから、ある種名物にもなっているんですよ!
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モザンビーク
モザンビークで「乗り合いミニバス」は、
どこの地方へ行っても、
安定的に chapa【シャッパ】と呼ばれています。
モザンビークの場合は、単独で利用する
タクシーもいますが、
ほぼ全てが白タクなので、
タクシーに乗ろうと思ったら、
道端でやみくもに
「おーい、誰かタクシーやっている人いる?」
と叫べば、誰かしら「俺~っ!」と
手を挙げるので、
どこそこまでいくらで行ってくれるか交渉してから乗る
といった形式です。
慣れないと、相当不安な行為なので、
短期滞在の外国人は
運転手付きのレンタカーを使うことが多いですね。
一方、慣れてしまえば、
気に入ったタクシー運転手の電話番号を聞いておいて、
半ば「お抱え運転手」として使うのが
一番安上がりで便利です。
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というわけで、本日は、
珍しくブラジルでもポルトガルでも
「乗り合い形式のタクシー」のことは
「lotação【ロタサゥン】」という同一の言葉で表すというのに、
アフリカ葡語圏ではそれぞれ違う呼び方がある
という、
逆に面倒なケースをご紹介致しました。>笑
本日もお読み頂き、ありがとうございました!
※ 「乗り物と言えば、やっぱり箒が一番!」、否、
「夜間飛行 魔女と黒猫」はこたつぶとんさんの作品です。
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