ファンが推しを殺す日は近い
こんばんは。某マンガとバンドの二本軸で生きているせみです。推しのバンドは10年以上聞き続け、上京してからはできる限りライブに通っています。そんな推しとの距離感で最近感じたことがあって。今日はそれを吐露させてください。
11月某日、東京では約2年ぶりのライブが行われる予定でした。コロナ禍でライブができず、指折り数えてその日を楽しみしていました。ライブが行われる当日、突然中止が発表されました。その瞬間はただひたすらショックでした。
理由はメンバーの体調不良。推しだって人間だもの、体調が悪くなることだってある。悔しさはあれど、メンバーが早く良くなって元気な姿を見せてくれればいいかなと思いました。
そう思えたのは、推しとの信頼関係があったからだと思います。
「お前らと俺らが同じ時間を共有できていることに感謝」
MCでボーカルが毎回、最初に言う言葉です。コロナ禍になってからこの言葉の重みを知りました。ライブできる会場も、メンバーが元気で全員揃っているのも、ライブを支えるスタッフがいるのも、ライブできる情勢も、私たちファンも。どれもライブを行うにあたって必要不可欠な存在なのだと痛感しました。そしてそれを知っていたからこそ、毎回その言葉を私たちに伝えていたのだと思います。
もちろんバンドですので、パフォーマンス面においても誠実でした。
楽曲を作るとなったら、露出はせず徹底的に自分達の満足するもの作り上げる。
時間は掛かれど、毎回待った甲斐があったと思わせてくれる素晴らしい楽曲を作ってくれました。PVやライブ等の告知動画も彼らが制作したもので、一つとして手を抜いたものはありません。
私たちが受け取るもの全てに、彼らは全力を注いで、毎回期待以上のものを作り上げるんです。
正直バンドも軌道に乗って、固定のファンも十分ついてる。それなら多少手を抜いたってファンは受け入れてくれると思うんですよ。彼らは一切そういったことがなくて、それってファンに対して物凄く誠実じゃないですか。
そんな積み重ねがあって、ライブが当日に中止になろうともメンバーが回復するまで待とうと思うことができました。
ライブが中止になった当日、つらかったのはメンバーのSNSでした。
私達への謝罪と、ライブができない悔しさが文面からでも痛いほど伝わってきました。ファンの中にはライブが久々な人がいること、遠方から泊まりで来る人、様々な人がいます。彼らはそれを十分理解していました。
ライブに向けて準備をしてファンに会えるの楽しみにしていた彼らが、悔しさを滲ませて、謝罪文を書いている状況がツラくてつらくて。
今はいいから、ゆっくり休んで!!と思うばかりでした。
公演延期となったライブですが、先日振替の日程が発表されました。
それとともにメンバーはSNSを更新しました。
内容は、ファンからのメッセージに対する感謝と振替日に来れないファンへの謝罪でした。もちろん振替日に全員来れないのは分かりきっていることで。ファンの励まし、怒り、悲しみ、全て受け入れた上でのSNS更新だったと思います。
ほとんどのファンは、それで満足だったはずです。
しかし、全員が満足とは行かないわけで。
「〇〇も行きたいな、じゃなくて行きたいって断言できないんですか?」
あるファンから推しへと投げかけられた言葉です。この言葉にも推しは誠実に言葉を返していました。その他にもきつい言葉をぶつけるファンがいました。
彼らが何年も積み重ねてきた信頼が存在していないかのようでした。
最後に推しが更新したのは「また改めて書きます」でした。
その言葉は、ファンとの信頼をどこか諦めているように感じられてすごく辛かったです。推しは誠実な人間だから、ファンの言葉を一から十まで受け取ろうとするけど、そんなことをしたらキャパオーバーになってしまう。いつの日か。
きつい言葉をぶつけるファンもごく一部だと言うことは彼らもわかっていると思うんです。だけど、それが表面化してしまったのが一ファンとして悲しかった。
彼らが積み上げてきた信頼関係はちゃんと存在しているということを証明したかった。
SNSが普及して、雲の上の存在だった推しはグッと距離が縮まりました。作業進捗やごく稀に載せる自撮りも、推しが近くに感じられて幸せでした。
でもファンからの言葉も届きやすくなってしまった。いい言葉も悪い言葉も。推しはなんでも受け入れてくれるわけではない、一人の人間です。ひどい言葉を受けたら悲しくなるし、落ち込むこともある。
それならいっそSNSなんてなければいいと思ってしまった。
お金を払ってライブに行くって、平たく言えば等価交換じゃないですか。スーパーで買い物をしたらお金を払わないといけないのと同じで。
相手が人間によるパフォーマンスだから、感情が絡んでしまう。ライブは感情を動かしてなんぼだから、それは正しいあり方だと思います。
だけど全ての感情をぶつけていいかといったらそういうわけではない。
ファンはファンで等価交換以上のものをぶつけてはいけないと、私は思います。
その一線を越えてしまったのが今回だったのかなと思います。
すごく私の持論を述べてしまいましたが、今回の件を踏まえて推しとの距離感を大切にしていきたいと思いました。
まずは振替公演で元気な姿が見られますように。