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相撲基礎練習法 第1回 股割1
1. はじめに
今回から三回にわたって股割についてお話します。股割は苦手な人も多いと思いますが、相撲を取る上では、出来ていることが望ましいものです。
昔は、人が後ろから無理やり押すようなやり方もあったようですが、もう少し無理なく少しずつできるようになっていくためのアプローチについて紹介できればと思います。
また、開脚することはできていても、もう少し細かなポイントを抑えていないと、相撲の練習法としてはあまり意味がなくなってしまう場合があります。このあたりについても、どのようなところがポイントになるかについて私の考えを紹介したいと思います。
股割が正しくできるようになるためには、以下の二つの要素が重要だと思います。
①開脚とそこからの前傾動作をする際にストレッチされる部位について十分な柔軟性があること
②開脚姿勢からの正しい前傾動作の仕方を習得すること
次回は①と関連した内容を中心に、次々回は②と関連した内容を中心に具体的練習方法について紹介していこうと思います。
今回は、具体的練習方法についてお話する前の準備として、股割を行う目的、つまり、相撲の上達という観点から見たときに、股割をすることによって得られることが期待される効果とはどのようなものかという点についてお話ししてみようと思います。
2. 股割を行うことの目的
私は、股割をすることの効果として、主に以下の四つがあると考えています。
①股関節を開いたまま、骨盤(股関節)から上半身を前傾させるという動き の習得に役立つ
②①の動作を行う際に必要となる下腹部の操作法の習得に役立つ
③身体の力を抜く感覚を養うのに役立つ
④腰まわりの筋肉を緩めるのに役立つ
このうち特に①②については、いろいろと解説したいことがあるので、次節以降に詳しくお話します。
③のような効果が得られるのは、開脚姿勢から上半身を前傾させていく時に、上手く力を抜くことが必要になるため、股割を練習する過程で身についていくということなのだろうと思います。また、力を抜くことで可能域を広げていく感覚が身につくと、股割以外の姿勢でのストレッチも上手に行えるようになるという副次的効果もあると感じています。
股割の姿勢で全身の力を抜いていくことで、例えば太腿(ふともも)の裏側の筋肉がよりストレッチされるような効果もあると思います。ただ、腿裏のストレッチ自体は、股割以外の姿勢でも行うことができます。股割姿勢で上半身の前傾動作を行うこと独自の効果としては、④の腰まわりの筋肉が緩むということが大きいと考えています。腰まわりの筋肉が緩むことは、腰割や仕切りの姿勢を柔軟に取りやすくなることで、地面を踏ん張りやすい姿勢を選択しやすくなるという効果が期待できます。
①②の効果は、股割以外の種目によっても得ることができるのですが(これについては次々回に紹介します)、③④の効果については、股割をじっくり行うこと以外で得るのが難しいと感じています。そういった意味では、③④の効果が股割に固有の効果と言えるかもしれません。
ただ、③④の効果は、股割姿勢でしっかり前傾動作を行えるようになる過程で自然に得られるようになるので、練習法として語ることとしては、②とその準備としての①についての内容が多くなります。
3. 股関節を開いたまま上半身を前傾させる動作の習得
①の効果、「股関節を開いたまま、骨盤から上半身を前傾させるという動きの習得に役立つ」という点について、どういうことかもう少し詳しく解説します。
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