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相撲基礎練習法 第5回 四股2

前回:相撲基礎練習法 第4回 四股1
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1. はじめに

 前回の最後に、四股を6つの局面に分けて捉えるということをお話ししました。今回および次回では、これら6つの局面ごとに、以下のような観点から整理してみたいと思います。

①よく見られる問題点
②それが良くない理由
③それが生じてしまう原因
④改善のための訓練方法

2. ボトム

 まずはボトム局面において生じる問題とその改善方法について整理していきたいと思います。ボトム局面は一連の四股踏み動作の起点となるので、ここで姿勢が崩れてしまっていると、後に続く動作も上手く行かなくなってしまいます。そのため、ボトム局面において姿勢をしっかりとれるようになることはとても重要なことです。

ボトム局面においてよく見られる問題としては、腰が後ろに引けてしまうというものがあります。

腰が引けてしまっている姿勢(左)と
腰が入っている姿勢(右)

前回お話ししましたが、四股を踏むことの最も重要な目的は、股関節を開いた状態をキープしたまま片脚立ち状態でのバランスをとる能力を高めることにあると私は考えています。腰が後ろに引けてしまっているということは、股関節が閉じてしまっているということを意味するので、この四股を踏むことの目的に反した姿勢をとってしまっているということになります。

 ボトム局面において、股関節を開いたまま腰をしっかりと落とした正しい姿勢をとるためには、股関節まわりの余計な(股関節を内側に絞るような)緊張が取り除かれている必要があります。

このような余計な緊張が生じてしまう原因として、一つには股関節まわりの柔軟性が根本的に足りていないという場合が考えられます。股関節まわりの柔軟性が不足していると、腰を低くしたときに股関節を開いたまま維持することができず、腰が後ろに引けたような姿勢しかとれなくなってしまいます。

実は、股関節をしっかり開いて腰を下ろした方が、骨格の構造を活かして体重を支えることができるので、下半身の筋肉への負担は小さくなります。柔軟性の不足によって腰が後ろに引けてしまうと、この負担の小さな姿勢から外れてしまい、下半身の筋肉に本来必要のない緊張を強いることになります。そうすることで、筋肉が固くなりますます股関節まわりの柔軟性が低下していくという悪循環に陥ると考えられます。

このような股関節まわりの柔軟性が根本的に不足している人は、第1回から第3回で紹介しているような股割の訓練をまずはしっかりと行うことが必要になります。

この他に、股関節の柔軟性自体は十分にあるものの、股関節が開いた状態を維持するために必要な筋肉の微妙な操作ができていないことによって、股関節が開いた状態をキープできないという人も存在します。下の動画では、こうした問題を改善するための訓練方法を紹介しています。

 下の動画で紹介している訓練方法の基本的コンセプトは、体重を支えたりバランスを制御したりするための下半身の筋肉への負担を小さくした上で、股関節を開いた姿勢をとる訓練をするというものです。下半身の筋肉への負担を小さくしてやることによって、股関節まわりの筋肉の余計な力みが抜けて可動域が広がりやすくなります。それに加えて、低い姿勢を長時間とることが可能になることで、股関節まわりの筋肉の微妙な操作を試行錯誤できるようになるため、正しい姿勢をとるためのコツを発見しやすくなります。

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