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相撲基礎練習法 第14回 足指の操作2

前回:相撲基礎練習法 第13回 足指の操作1
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1. はじめに

 今回は、足指の操作能力を高めるための具体的な訓練方法について紹介していきます。それに加えて、前回言及しきれなかった技術論的内容についても補足したいと思います。

足指を動かすための足部の細かな筋肉を独立して動かせるようになることから始めて、実際の相撲の動きに近い状況でもそうした動きを使いこなせるようになるための応用的練習に進んでいくというのが基本的な流れになります。

2. 足部内側アーチの形成

 本節では、足指を地面に押しつける使い方をするために必要となる、足部の内側アーチを立てる動きを行えるようになるための訓練方法について紹介します。

 足部の内側アーチを立てるためには、足部の細かな筋肉を操作できるようになる必要があります。そのための訓練方法として、親指以外の四本の指を地面から浮かせた状態で親指を地面に押しつける訓練と、足部の全長を短くするように動かす訓練を紹介します。

この二種目は、足部の動きを改善するためのリハビリテーションの種目として良く紹介されているものです。いろいろ試してきた中で、現状ではこれら二種目が、相撲において必要となる足指の操作技術を高めるための訓練方法としての有効性が高いと考えています。足指を地面に押しつける使い方をしたときの足部の筋肉の働き方と、これら二種目における足部の筋肉の働き方は微妙に異なるもののかなり似ているので、基礎訓練としてこれら二種目を行うことで、足指を地面に押しつける使い方を習得しやすくなります。

 足指の動きを改善するための有名なエクササイズとして地面に敷いたタオルを足指で引き寄せるというものがあります。この種目について、足指が全く曲げ伸ばしできないほどに固まってしまっている人が、足指を動かせるようになるための訓練としては有効かもしれないとは思います。しかし、相撲において必要となる足指および足部の内側アーチの操作能力を鍛えることに特化した訓練方法としては、あまり有効なものではないと私は考えています。
 
それは、この種目では前回良くない動きとして取り上げた第一関節を曲げるような足指の使い方になるからです。足指を地面に押しつけるような使い方を覚えてから、この種目を行ってみると、細かな筋肉の使い方が大分異なることが分かると思います。

タオルを引き寄せる際には
第一関節から足指が曲がってしまう

 足指を地面に押しつけようとしたときに生じやすい問題のある動きとして、親指が外側に流れてしまうというものがあります。親指が外側に流れてしまうと、内側アーチが潰れてしまい、股関節が閉じる原因になります。外反母趾のように骨格構造から変形してしまっている人は無理に矯正しようとすべきでありませんが、指に力を入れると外側に流れてしまう癖が染みついている程度の人であれば、訓練によって改善可能です。
 
具体的方法としては、親指と人差し指の間に丸めたティッシュやタオルのような柔らく厚みのある物を挟んで指を地面に押しつける訓練を行うと良いです。こうすることで、親指が外側に流れてしまわないように補助してもらえるので、徐々に親指を真っすぐ使う時の足部の細かな筋肉の使い方の感覚が分かってきます。

親指が外側に流れてしまっている(左)
改善のための訓練方法(右)

3. 内側から外側への足裏の荷重移動

 本節では、足の内側から外側への荷重移動を行うための訓練方法について紹介します。このような足部の使い方については触れないままここまで話を進めてきたので、まずは、このような足部の使い方が必要になる理由について考察したいと思います。

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