「世界でいちばん幸せな男-エディ・ジェイク」を読んで。/S&S OPEN TALK #43
四国にあるセレクトショップ SLOW&STEADY ではオープン直後から、お客様からの相談窓口として、LINE@を利用しています。
その内容は、商品在庫の確認から始まり、商品ご購入後のアフターケアに至るまで多種多様です。しかしそんな中「これは多くの方も同じお悩みをお持ちのはず」と感じるご質問も少なくありません。さらにそういったものほど短文では返しづらいのが正直なところ。
そこでこのnoteにて「マガジン」という形で回答させていただくことで、そんな魅力的なご質問の数々をピックアップさせていただければと思います。
名付けて『OPEN TALK』今週はこんなメッセージから。
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「世界でいちばん幸せな男-エディ・ジェイク」
私は本を読むことが大好きで、洋服とは関係ないですが先日のおすすめの1冊とても興味深く拝読しました。そんな私も積読が毎月5冊づつは増えている状況。ぜひまた機会あればおすすめの本についてお聞かせください。(poteto)
最近で僕が読んだ本は、note の読書企画で課題図書としても紹介されている「世界でいちばん幸せな男 - エディ・ジェイク」です。
第二次世界大戦下、ナチスによるアウシュヴィッツをはじめとする強制収容所でのホロコースト(ナチスのユダヤ人に対する大虐殺)から生還を遂げた、エディ・ジェイクの半生を描いたノンフィクション作品。
読み進めるほどに、あらためて戦争の残忍さ、人間のあらゆる本性、そして誰かを想うことやその意味を突きつけられるこの作品は、強制収容所でナチスが行った非道の限りとその状況下で人々が何を思い、そして死んでいったのかが、作者の実体験として本書7〜8割に渡って綴られます。
両親を殺され、自分も無事に明日を迎えられるかすらわからない中、エディは決して希望を捨てず、生きることを諦めませんでした。
そこには彼の大きな心の糧になっていた、何度も生き別れては奇跡的に再会を繰り返す親友クルトとの友情、そして自身と同じく収容所で過ごす妹の存在がありました。
しかし、ホロコーストでは結果600万人ものユダヤ人が亡くなったとされています。そんな中でエディが生還した理由が「最後まで諦めなかったから」だけでは説明がつかない。僕などはそう思いました。
そしてそこにはやはり、エディの父親が幼少期の彼に伝えた、とある教えにあるのではないか?そう思ったのです。
「人生で大切なことがひとつある。幸福は分け与えるもの。それだけだ―」これがガス室で命を奪われた父親が、幼少期の彼に語った言葉でした。
エディは父の教え通り、どんな劣悪な状況においても他者を蹴落としたりせず、常に親友や妹、そして大切な人のために、自身がどうなろうとも人間らしくありたいと行動し、発言し続けました。そしてどんなに絶望的な環境、状況下でも活路を見出し続けました。
溢れる負の感情を歯を食いしばって押し殺し、微かな希望に向かって、一生懸命に生き続けた結果、ついに奇跡的に生き延びた彼は、人生において本当の喜びに気づくことができたのです。
戦争が終わり解放されたエディは家庭を持ちます。しかし深く心に刻まれた恐怖体験から、そこから数年間は人のことを信じられず苦しみます。
「子供が生まれたことで、幸せだと思えるようになった」そう語るエディは、本当に幸せだったのでしょうか?
・・・
僕は、戦争を知らない世代として日本に生まれました。
『シンドラーのリスト』『チャップリンの独裁者』といったナチスについての映画や、祖父から直接きいた話、あるいはこのエディの実体験を読んでも、僕は戦争を追体験する以上のことはできません。
ページをめくりながら「僕なら3日と持たずに自害する」そう思ってはみても、実際に同じ境遇が自身を襲えば、自分はどうなるのか?実際は、想像すらできない。それが本音です。
そんなエディの壮絶な半生を単に今の自分、あるいはビジネスなどと比較するのは、あまりにも軽率です。
しかしビジネス(business)の語源が「心配事」や「不可能」という説があるように、人が絶対に不可能だと思う偉業を成し遂げた人というのは、大なり小なり、奇跡としか思えないエピソードを持っているものです。
エディの半生を通し、僕が受け取ったメッセージは「あきらめないこと」でした。少なくとも当時のヒトラー支配下のドイツにおいて、奇跡的に生き延びた彼の言葉には、圧倒的な説得力を感じずにはいられないからです。
いま自分がすべきことは何なのか?そのためにいまの自分に何ができるのか?また、それを本当に全力で取り組めているのか?いないのか?
信念を持って生きることの素晴らしさ、そして人生の真理を教えてくれたこの一冊は、少なくとも今の僕にとって、どんな教科書を読むよりも価値のある体験でした。未読の方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか?
ぜひ、心して。
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今週は、以上です。
ここでは、あくまで僕の答えられる範囲内にはなりますが、このマガジンを使って、皆様からお寄せいただく「洋服に関するご質問やお悩み」を、ざっくばらんにご紹介しております。
個別の商品に関するご質問ももちろん歓迎です。ご質問は、LINE@の他に、下記メッセージフォームより随時受けつけております。どうぞお気軽にご連絡ください。
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