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[続.洋服物語] 個性と汎用性の狭間にあるモノ。完成したパンツが教えてくれたこと。
中学3年生の頃に同級生の影響で洋服の魅力に取り憑かれ、今に至る(41歳)までに体験した『洋服』をはじめとした『モノ』にまつわるアレコレ。
自分の価値観を形成するうえでターニングポイントとなった『私と"モノ" との記憶』いわばモノにまつわる物語を書き綴る日記。
これは、
『おすすめアイテムの紹介』ではない。
『私物紹介』でもない。
読んだあなたが、少しでも洋服を好きになるきっかけ、自分の使う道具を愛らしく感じてもらえるようになれば嬉しい。
:Episode.25
「Painted Blank "Patrick"」
先日紹介したオリジナルブランドの新作パンツ "Patrick(パトリック)" の最終サンプルが手元に届いたのでこのnoteで初公開する。
![](https://assets.st-note.com/img/1681983898719-w7733K28YN.jpg?width=1200)
感想としては90点。事前の縮率検査(洗濯による縮みの割合を調べるもの)で縮みはほとんどないということは知っていたが、ここから洗濯して実際にどうなるかをチェックして一定期間、履き込んだうえで量産に入る。
正直、この瞬間が一番気持ち良い。不安が晴れて心からほっとできる瞬間である。ブランド初となるパンツだったがどうにかここまでこれた。
大袈裟ではなくミリ単位でのパターン修正を繰り返し、ビンテージの野暮ったさやクラシカルな印象は全体的に残しつつ整え、タックの仕様や、センタープレスなどオリジナルにはない品の良さを加えた。
自分が毎日履きたいと思えるもので、太すぎず細すぎず、カジュアル好きず、かしこまったイメージにもなりすぎない。自分がこれまで体験してきた様々なパンツを一本の線で表現したとしたらそのど真ん中を貫くようなアイテムを作りたかった。
その答えが今回のパンツである。
結果、まさに自分が頭で描いたとうりの素晴らしい仕上がりだった。
先日書いたが生地も申し分ない。適度な光沢感と滑らかな肌触り。一年中タフに履きまわせて気を使わず洗濯できる。
![](https://assets.st-note.com/img/1681985237818-ZGPVWbkNiu.jpg?width=1200)
これならブランドを代表するアイテムとして戦っていける気がする。ここから最終的にボタンやジッパーなどの付属品を決めたら商品自体は完成する。
![](https://assets.st-note.com/img/1681985724147-DevomnfDPE.jpg?width=1200)
そこから、いつもの作業。アイテムの内容を詳しくまとめた冊子を製作してリリースとなる。
まだ販売も開始していないのにこんなことを書いてしまうのはよくないが、今回は正直、販売に関しての不安があまりない。それほどにこの最終サンプルの仕上がりが良かったといえる。
たくさんの人の心を動かせる洋服を作るのは、いつだって圧倒的なセンスを持ち合わせたデザイナーだろう。
私はそもそもデザイナーでもない。かといって世の中の大多数が求める洋服を生み出せるほどフラットな人間でもない。だからこそ地に足がついたリアルクローズでありながらも、独自のスタイルを表現した洋服をこれからも作っていきたい。
「他の洋服より着ています」「こればかり履いてます」
洋服を判断するうえで着用回数は嘘をつかないと考えている。大人になればなるほど私服を着る時間というのは限られる。そのなかで選んでもらえるものを探究する。
個性と汎用性という相反するベクトルをぶつけ合い、残ったそのわずかな結晶をカタチにしたいのだ。
今日までに紡がれた洋服の歴史やスタイルに敬意を払い、私が蓄積した20年以上の経験と数えきれないお客さんたちから頂いた無言のメッセージをエッセンスにどこにもないベーシックを生み出すこと。さらにその生まれたモノを自らの言葉で一人一人に届ける。
それが私が人生を賭けて本当にやりたいことである。
商品の販促物として、こんな文章を書いているデザイナーはいないだろう。何も言わない方がよほどスマートだし、そんなファッション好きは私がいなくても増え続ける。
そんなことはどうでもいい。大切なのはPBを手にした人が、何年着続けて、何回着てくれるか?どんなシーンで着てるのか?私はそこだけを考えたい。
そんなブランドがあっても良くないっすか?
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