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「もう浮気はしない」そう決めた眼鏡は "AR"
中学3年生の頃に同級生の影響で洋服の魅力に取り憑かれ、今に至る(41歳)までに体験した『洋服』をはじめとした『モノ』にまつわるアレコレ。
自分の価値観を形成するうえでターニングポイントとなった『私と"モノ" との記憶』いわばモノにまつわる物語を書き綴る日記。
これは、
『おすすめアイテムの紹介』ではない。
『私物紹介』でもない。
読んだあなたが、少しでも洋服を好きになるきっかけ、自分の使う道具を愛らしく感じてもらえるようになれば嬉しい。
今回は前回51話に引き続き、
名作と呼ばれるとあるアイテムをご紹介する。
:Episode.52
『JULIUS TART OPTICAL "AR"』
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/87893768/picture_pc_bf1fdc95d9e158132c114f3fee673e74.jpg?width=1200)
「良いモノを生み出しても未来永劫に続くわけではない」
それはどの世界においても言えること。
むしろ、こだわって自分のスタイルを追求すればするほど、
コストや生産に時間がかかる。
良いモノ、永く使えるモノだからと作り続けられるわけではない。
ただ、仮に廃業をしても、残した作品の功績は後世に必ず伝えられる。
私がこよなく愛するサングラスもまた奇跡の復活を遂げた道具である。
〜 TART OPTICAL (タートオプティカル) 〜
TART OPTICAL は1948年に、ジュリアス・タートによりニューヨークで設立。小さな眼鏡店でしたが、どこにも負けない品質を維持し続けます。
1930年代から1940年代はメタルフレームが主流だったなかで、セルロイドのフレームデザインとクオリティーの高さは大きな衝撃を与えました
男性は皆一度は憧れるあの、ジェームス・ディーンも、ジョニーデップも、TART OPTICALのARNEL(アーネル)というモデルを愛用し、まさにファッショントレンドの先端に躍り出る。
ただ、60年代後期より安価な大量生産品に圧迫され、徐々に経営が苦しくなり廃業。ただ、廃業後、一部の商品が別名義でリリースされていたりしているので明確な廃業の時期がよくわからないままである。
その後、ジュリアス・タートに仕えていたデヴィッド・ハート、ゾイラ・ハート夫妻がブランドを再スタートし、タート オプティカルの復刻モデルが発売された。タート オプティカルの復刻モデルは全てイタリアで生産し細部にわたるまでオリジナルを忠実に再現している。
それに加え、数社がライセンスをめぐって同様のアイテムを出し、今や類似品まで出回り始め、何がどうなっているのか正直ややこしいことになっている。
そんな状況を嘆いたTART OPTICALの創業者ジュリアス・タート氏の甥にあたるリチャード・タート氏により作られたのが創業者の名前を冠した「JULIUS TART OPTICAL」今回紹介するメガネである。
〜 日本の技術で現代に蘇ったTART 〜
代表モデルアーネルを1950から60年代の資料を元に忠実に再現したこの "AR" は日本の眼鏡職人が集まる福井県鯖江市で製作されている。アーネルという名前はイタリア製タートも存在する現在、ライセンスの問題で使用ができないらしい。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/87905477/picture_pc_f0b7096798e5274b4a302cfb7a7e5b0c.jpg?width=1200)
私は昼間、車に乗るときや外出時は必ず眼鏡(サングラス)をしている。
おしゃれとかどうとかではなく、単純に強い日差しだと目が異様に疲れるのだ。要するになくてはならない道具。必需品である。
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/87909805/picture_pc_b1cc7b3262f8f6c647af1759872f49e6.jpg?width=1200)
写真上部のフランスのアイウェアーブランド「Lesca」やフレンチビンテージフレームなどもつけてみたのだが、私はやはりARNEL(AR) がしっくりくる。
ライセンスなどが混在している現在「どのアーネルが本当のタートなのか?」それを考え始めると当時の古いフレームを購入するしか無いのだろうが、当時のスタイルを継承しつつ日本人の顔に合わせた微調整が施されているこの "AR" は、私の顔とはすこぶる相性が良い。
洋服屋で働いているのにも関わらず、同じものを着続けたいからとオリジナルブランドを作るほど、めんどくさがり屋な私が、しっくりくる眼鏡を持てば、これだけでいいと思ってしまうのは自然である。
ARの茶色と黒。その2本があればもうサングラスはいらない。
〜 受け継がれるモノ 〜
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/87907128/picture_pc_d68150329db4f334ac710edeef14d650.jpg?width=1200)
写真は、創業者のジュリアス・タート。手元にあるのはアーネルである。
時を経てなお「作りたい」と思う人たちが多く存在するからこそ、今のややこしい現状を引き起こしているわけだが、それほどまでのアイテムを生み出したことは素晴らしい功績である。
道具も芸術もそうだが、生み出した本人がいなくなったあとで、再評価を受ける作品は多数存在する。
本人たちからすれば不本意だろう。生きているうち、会社が存続しているうちに評価をもらいたいと思うのは誰だって同じだからだ。
ただ、これから、何百、何千年と続いていくであろう人間の営みのなかで、人間を豊かにする道具を生み出したひとりとして後世に語り継がれることで、きっと彼、彼女らも報われるのでは無いだろうか。
少なくとも私は、10年先もこの眼鏡をかけている自信がある。
ジュリアス・タートに敬意を評しながら。
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