僕がヒートテックではなくサーマルを着る理由/S&S OPEN TALK #47
四国にあるセレクトショップ SLOW&STEADY ではオープン直後から、お客様からの相談窓口として、LINE@を利用しています。
その内容は、商品在庫の確認から始まり、商品ご購入後のアフターケアに至るまで多種多様です。しかしそんな中「これは多くの方も同じお悩みをお持ちのはず」と感じるご質問も少なくありません。さらにそういったものほど短文では返しづらいのが正直なところ。
そこでこのnoteにて「マガジン」という形で回答させていただくことで、そんな魅力的なご質問の数々をピックアップさせていただければと思います。
名付けて『OPEN TALK』クリスマスの今日はこんなメッセージを。
✉️
ご質問ありがとうございます。
結論から言うと僕はヒートテックは着用せず、もっぱらサーマルを愛用します。
しかしこの時期になると店頭でもよくいただくご質問。確かにヒートテックの信頼性は凄まじく、市場のみを見ればコスパと性能では、他を圧倒しています。
ただ僕にご質問いただいたということは「脱ヒートテック」をご所望と勝手に解釈して、話を進めていきます。
ヒートテックについて
そもそもヒートテックとは、何なのでしょうか?
普段愛用される方も、実は知らないその機能一覧を、本家サイトから拝借します。
機能面だけ見てもこの通り。
さらに豊富な段階的ラインナップに加え、とにかく安い!日常着としての防寒インナーとしては多くの方が「結局ヒートテック(UNIQLO)一択」であることもうなずける内容です。
一方で、ヒートテックを着てはいけない人、場面というものがあります。それが登山やスポーツなど、汗を多くかく可能性のあるシーンでの着用。
ヒートテックは高機能な反面「汗をかくと、体を冷やしてしまう可能性が高い」ことはあまり知られていません。
ヒートテックはその独自の暖かさを生み出すため「レーヨン」という繊維を使用していますが、この素材「濡れると乾きにくい」のが特徴でもあります。
肌に直接触れるインナーが濡れていると、濡れた部分から体が冷えてしまう危険があり、軽いスポーツなら風邪をひく程度で済んでも、登山など、もし低体温症を起こせば最悪の事態を起こしかねないため、注意が必要です。
僕がヒートテックを着ない理由が、まさにこのあたりにあります。
僕がヒートテックを着ない理由
ポリエステルやナイロンを代表とする化学繊維は、主原料が石油です。
ゆえに大量生産可能かつ、加工によって「発熱」ほか「冷感、速乾、形状記憶」など、あらゆる機能を付与できる優れた素材でもあります。
※言わずもがなヒートテックは「発熱・速乾」加工を施しています
しかしこちらも優れた特徴の反面、静電気が起こりやすく(特に乾燥肌の方など肌の痒みを引き起こしやすいのはこのため)天然素材に比べて、臭いの成分を吸着しやすいデメリットがあります。
そのため着用を重ねると洗っても臭いが消えづらく、個人的にはあの着用を重ねた化学繊維の特有の臭いが、昔から大の苦手です。
米国の研究によるとヒートテックは1〜2年が機能面においての寿命であり、現在、日本の衣料廃棄量が年間1,000,000t。これは枚数に換算するとおよそ33億着分もの量!多くの方が頻繁に着用と廃棄を繰り返すアイテムならば、どれだけの量のヒートテックがここに含まれているのかと、思わず邪推してなりません。
ヒートテックの優れた機能やコスパは評価した上で、この「化学繊維特有の臭い」と「短い寿命」こそが、僕がヒートテックを着ない最大の理由です。
サーマルについて
そこで代替案として、僕が最も愛用するのがサーマル。
サーマルとは凹凸のあるワッフルあるいはハニカムと呼ばれる生地を使ったカットソーの名称で、多くのブランドがよく各シーズン生地を変えてリリースしていますよね。
ちなみにサーマル(Thermal)とは、英語で「暖かい」という意味を持つ形容詞で、生まれは"アメリカ兵が極寒地に行く際の下着"でした。
凹凸部に暖かい空気の層を作ることで体温をキープし、通気・吸水性も良く、化学繊維に頼らない天然素材の傑作とも呼ぶべきサーマル。
主にコットン素材ですので、洗いを重ねるごとに体に馴染み柔らかくなっていくので動きやすく、もちろん化学繊維特有のあの臭いもありません。
サーマルにも様々な厚さがあり、これは好みによりますが、僕は極力薄手。体にフィットするタイプのものを、冬のインナーには必ず着用します。
サイズ感に悩まれたら、ある程度体にフィットしないと空気の層が作れないため、いつも着ているサイズよりワンサイズ下をおすすめします。※アウター寄りに設計されたタイプは別とします
さらにはクタクタになるまで着用を重ねても、適度な大きさに切ればウエスがわりに活用可能!シューズメンテナンスやちょっとした掃除に、当店ではあらゆる用途で大活躍しています。
とにかく何枚あっても無駄がない。僕のクローゼットにも「サーマル専用棚」ができるほど、たくさん持っています。
ちなみに応用編として、冬の最強コンビとしておすすめしたいのが「サーマル+薄手のウールニット」。
これは洋服好きなら誰しも必ずたどり着く、冬の最強コンビで、サーマルが吸水・保温の役割を果たし、ウールニットが抜群の発熱効果を生むためとても暖かい!
このセットをうまく普段の洋服に合わせれば、どんな極寒でもこわくありません。ご想像される以上に暖かく快適ですので、ぜひお試しください。
さいごに
コスパや機能面では化学繊維が素晴らしいことは確かですが、洋服を購入する際、忘れてならないのは、着る時はもちろん、廃棄する時のことです。
大量に着なくなった洋服を廃棄するそのコストは僕らの税金であり、廃棄は環境汚染に繋がります。少し想像力を働かせれば、一概にヒートテック一択とはならないのかもしれません。
思えば人は、化学繊維がなかった遥か昔から、極寒の地を天然素材のみで乗り越えてきたはずです。
天然素材でも選び方と組み合わせさえ知っていれば、どんな寒がりでも日本の冬程度なら、充分に乗り切ることができるはず。まして肌に直接触れるもの。どうせ選ぶなら永く使えるものを当店としてはやはりおすすめしたい。今年の冬は、ぜひ自分の体に、永く寄り添ってくれる一着を、ご検討いただけると幸です。
✉️
今週は、以上です。
そんなこんなで、早いもので今年はこの投稿が最後となってしまいました。
毎週多くの方からご感想そしてご質問をいただき、誠にありがとうございました。
師走何かとお忙しいかと思いますが、どうぞお体にお気をつけて、ご自愛くださいませ。
ここでは、あくまで僕の答えられる範囲内にはなりますが、このマガジンを使って、皆様からお寄せいただく「洋服に関するご質問やお悩み」を、ざっくばらんにご紹介しております。
個別の商品に関するご質問ももちろん歓迎です。ご質問は、LINE@(http://slow-and-steady.com/news/lineat/)の他に、下記メッセージフォームより随時受けつけております。どうぞお気軽にご連絡ください。
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