読んで楽しむ漫才・さすらいラビー
左:宇野慎太郎 右:中田和伸 太田プロダクション所属
「女子大生」
(出囃子)
宇野:さすらいラビーです。よろしくお願いします。
中田:三姉妹で漫才をやってるんですけれども
宇野:違いますよ。血の繋がらない男2人ですから。
中田:どうぞよろしくお願いします
宇野:こうやって皆さんに読んでもらえるのはありがたいんですけどね
中田:ほんとそうですね
宇野:いやでも最近ね、塞ぎがちじゃないですか
中田:くちびるでくちびるを?
宇野:くちびるでくちびるを、なわけないだろ。キモい間違え方するなよ
中田:くちびるでくちびるを塞ぎがち、ではない?
宇野:くちびるでくちびるを塞ぎがちな最近、ってなんだ。発情期か。
中田:確かにみなさん、今は大事な時期ですから。濃厚接触のABCは控えてもらってね
宇野:恋のABCだろ。順序よく接触を強くしていくなよ。恋のABCもジジババの表現だから
中田:ディープキスのことは、濃厚接吻(のうこうせっぷん)と呼んでもらって
宇野:キスの話ばっかすんな。文字なのをよいことにキモいこと連ねやがって。今は暗くなりがちですよね、って話ですよ
中田:ああそしたらね、グッドニュースがあるんですよ
宇野:そう、良い話をしてよ
中田:バイト先にね、女子大生が入ってきたんですよね
宇野:どこがグッドニュースなんだよ。ずっとキモいよお前。まず大学生と同じ空間でアルバイトしていることを恥じてくれ。頼むから
中田:めちゃめちゃ若い。肌とかもうペチペチ
宇野:なんだペチペチって。ピチピチじゃなくて?
中田:全然違う。「ピチピチ」はギャルの枕詞だから
宇野:なんだそれ。ピチピチギャルとか、恋のABCとか、おじさんのボキャブラリーだから
中田:肌がもうね、ペチペチなのよ
宇野:だからなんなんだよペチペチって
中田:だからさ、目の前に女子大生を想像して?若々しい女子大生。その女子大生に彼氏がいると仮定して?実際にいるかどうかは知らないけど。その子と彼氏は付き合って1ヶ月くらい経ってる。付き合いたての緊張感は無くなって、かといって関係性がだれても無い、1番、まさに1番スキンシップが白熱してる時だ。
おいお前、エロいことを想像するなよ?
そうじゃなくて、もっと手前の、朗らかでかわいいスキンシップよ。相手のパーカーの紐を引っ張ったり、二の腕を不意に掴んで怒られたりとかそういう次元の話ね。
想像してくれ。彼氏はさ、彼女の頬を撫でたり、時には軽くね?愛おしく、とっても軽く叩(はた)いたりするよな。その時の音。彼女の頬が彼氏の掌を気持ちよく跳ね返すその音、それがペチペチ
宇野:想像より2段階キモいよ。お前。途中誰に語りかけてたんだよ。
中田:その子の肌がもうペチペチでね。折角だからご飯に行きたいなと思って
宇野:お前をその子に近づけるわけにはいかないよ。キモすぎるもんお前
中田:ラインを交換するところまではいったんだけど、その後うまくいくかが微妙なとこなんだよね
宇野:だいたい話合わないだろ、10コくらい歳が離れてるんだから
中田:ライン交換したての、挨拶みたいなスタンプのやり取りはしたのね。
向こうはコジコジのスタンプで、ああ好きなセンスだなぁこの子はって思って
宇野:やめといた方がいいよ、「ハラスメント 自覚」とかで一回検索してみた方が良い
中田:俺のスタンプ一発目は絶対、猫村さん
宇野:会話できてる!?ねえ!怖くなってきた!え、よくライン教えてもらえたね!?
中田:そこは頭使ってうまいことやんのよ
宇野:何?
中田:事務連絡用のグループラインがあって、そこから拝借した
宇野:マジで怖いよ。本当に怖い。よくそれで「ラインを交換するところまではいった」って言えたね?
中田:確かにね、「特別な理由もないのに、グループラインから勝手に引っ張ってきていきなり個人的なライン送るの、相手からしたら不気味だし、自分に自信があるのか、そういう類のイタさを感じるな」とは思うよ
宇野:自覚あんのいっそう怖いよ。なんでそれでブレーキかかんなかったの?
中田:こういうのはどんどん攻めた方が良いんだよ。スラムダンクのあいつも言ってるから「オフェンスは8、ディフェンスは2」って
宇野:豊玉の北野さんを「スラムダンクのあいつ」って言うなよ。23巻まで出てこないぞ
中田:でもやり取り的には全然問題ないのよ、コジコジのスタンプ返してくれたし
宇野:いいよそれ。どういうやり取りなの?
宇野:もうオンライン通り魔だよ…めちゃめちゃ怖いじゃん… まさかお前がジジイのびっくりマークを使ってるとは…
中田:女の子にしか❗️使わないよ‼️
宇野:女の子にこそ使うなよ!❗️も😅もやりとりの緊張感を高めるだけだから!
中野:でもさあ、コジコジのスタンプ来てたから
宇野:困ってるジローくんだぞこれ。コジコジのスタンプっていうか。
ってか、まず誰か分かってなかったじゃん
中田:大丈夫だから
宇野:ジジイ過ぎるだろ!え、こういう人って、直接喋るときは普通なのにネットに潜るとこうなっちゃうの!?
中田:こうなっちゃうってなんだよ
宇野:激ヤバジジイがアイドルのSNSに絡みにいく時の文体じゃん!
「そんなには教えてないよ😅」が一番ヤバいけど
中田:やっぱ第一印象が大事だからな。最初のうちは明るくいった方が良いのよ
宇野:逆効果だろ…、ってか今俺とのやり取りを普通にしてるのがめちゃめちゃ怖いんだけど!
中田:ってか最初の挨拶はどうだって良いのよ。このままご飯に誘ったわけ
宇野:ネット上で見るだけでもクラクラするのに、ラインで1on1でご飯誘われた時の恐怖ったらないよ
中田:50:50ってとこかな
宇野:0:100だわ!しっかり脈がない感じを出しつつ、ヤバジジイが激昂しないニュアンスを探しに探した45分なんだよ。あんまアンハサウェイに婉曲な表現させんな!
中田:ってかまあ、アイコンがアンハサウェイの女の子ってどうなのかなあ?笑
宇野:お前が言うな!ちょうど「プラダを着た悪魔」を見たんだろ、知らないけど。この子は諦めろ、ラインもすんな、女子大生のいない、大人の集まる無骨なバイトを探せ
中田:ああでも、最後返事しちゃった
宇野:いいよもう
宇野:怖過ぎるわ!もういいよ
宇野・中田:どうもありがとうございました!
(下囃子)
【支配人より】
本日はご来場ありがとうございました。
この企画に参加してくださった芸人には主催のスラッシュパイルからギャランティをお支払いしています。加えて、皆様からいただいたサポートを芸人と主催者で分配致します。どうぞ応援よろしくお願いします!
支配人の思い → https://note.com/slushpile/n/n957de8f26d0b
<香盤表>
①フランスピアノ 「怖そうな先生」 https://note.com/slushpile/n/n577e1243efb5