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Bellingcatの記事

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世界が注目する調査集団「ベリングキャット」の記事です。日本語での翻訳配信はスローニュースだけ。最新のOSINTのテクニックによる調査報道を知りたい方もこちらを。
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2022年11月の記事一覧

【追跡】ウクライナへのミサイル攻撃を遠隔操作していたのは誰か

ロシアの攻撃は民間施設を破壊10月10日の早朝、ロシアはウクライナの複数の主要都市に激しいミサイル攻撃を行なった。ウクライナ非常事態省によると、少なくとも20人が死亡、100人超が負傷した。 わが国の巡航ミサイルは高精度だと豪語するロシア。10日の攻撃はウクライナの軍事施設・司令部および電力系統を標的にしたと主張した。 しかし、オープンソースから得られる証拠を見ると、複数のミサイルが民間施設に撃ち込まれ、住宅や幼稚園、児童公園を破壊したとわかる。 ロシアにとって侵攻開始

【解明】知られざるロシアの組織GVCとミサイル攻撃の関係とは

GVCとは何かロシア連邦軍の主要計算センターと、巡航ミサイルのプログラミングを結びつける公式の情報はない。 GVCの機能について、軍事関連の刊行物にはロシア軍に「ITサービス」「自動化」を提供する、という漠然とした説明しかない。歴史は古いが(ロシア連邦軍傘下のテレビ局ズヴェズダによると1963年に設立された)、現代ロシアのメディアにおいてこの部署に言及した報道はほとんどない。 珍しい例としては、2018年に軍音楽団のメンバーに授与された賞が、「ロシア連邦軍主要計算センター

【接触】ロシアの極秘チームのメンバーとは何者なのか

遠隔操作で殺人をしたのは誰なのかGVCで働いている軍事エンジニアたちのバックグラウンドは多様だ。卒業後すぐ陸軍もしくは海軍で働きはじめ、後に軍事エンジニアリングの専門教育を受けた者もいれば、ITやコンピューター科学系の民間企業に勤めていてリクルートされた者もいる。 GVCでミサイルの飛翔経路プラニングを担当するチームの直接的な指揮官は、イゴール・バグニューク中佐と思われる。これはロシアの闇市場で入手した、バグニューク自身のものも含む11名のエンジニアたちの電話データの分析に