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託された命

人の親には、なれなかったけど
育ての親には、なれた。
我が家に命を託したのは、母だった。

サボテンも枯らす私に
「可愛いから」と
2匹の楊貴妃メダカを託されたのは
2024年の5月のこと。

スタバのフラペチーノが入ってるような
プラカップの中で
泳ぐ2匹のメダカは、夫婦でした。

自然とは逞しいもので、
猫もメダカも
放っておけば繁殖する。

私は自身と家族や仲間と
生きていくのがやっとなのに。

水槽に移して
夏を迎えた頃に、
卵をポコポコ産むようになった。

卵膜に覆われているので
カビが生えやすく、
孵化する確率は低いらしく
子メダカに遭遇することなく
卵をただ隔離しても孵化することなく
お盆を迎える頃。

とある繋がりで
友人となった人から、
SNS経由でアドバイスをもらった。
「手で揉みほぐすといいですよ」

半信半疑で卵に触れてみたら、
弾力があって意外としっかりしていた。
プチプチしていて……
数の子みたい。

積算温度が200℃を超える頃に
孵化が始まるとのことで
それまでは水道水を毎日入れ替えして
タッパーで様子を見ていた。

数日で目玉が見え、
10日を経過した頃に
いつの間にか泳ぐ姿に遭遇。

3日間はおなかの栄養で生きられる
とのことだが、
栄養のあるお水を用意して、
稚魚用の餌もあげながら、
時々水換えして
今も順調に育っている。

採卵ごとに
◯期生と名付けてタッパーで飼育している。
8月の採卵から、10月まで
5期生のメダカたちの総勢約35匹。
大家族となった。

親メダカの水槽にも
2匹の子メダカが生まれ育っており、
採卵も隔離もなく自然発生した姿に
「親はなくとも子は育つ」なのかと
水槽の水換えの頻度を少し下げた。


親メダカの水槽は
かなり長い間掃除をしておらず、
壁面が苔で曇り始めた。


子メダカは、妻。
親メダカは、夫。
そんな風に線引きしていたのだが?
見かねた私は壁面の掃除や
沈んだ汚れの除去をして、
腐りかけた水草も除去してしまった。


水換えすると
温度差でメダカにストレスを与える


という懸念を強く意識しすぎて
(父の水槽がそれで全滅)
極力メダカがいる環境のままで
半分の水を交換できたはずだった。
底の砂の中にあった汚れが
水換えの際に舞い上がり、
水質が悪化したところに
水草を撤去したことで水槽内の自浄作用が
働かなくなってしまった……。

「あれ?泳ぎおかしくない?」
帰宅した夫が雄メダカの異変に気付く。
まっすぐ泳げず、くるっと回転してしまう。
そして体に赤い大きな血豆のような斑点が!


 調べると、水質悪化による病気で
赤斑病になったようだった。


夫の世話する水槽は
砂も洗わなければならない。
慌ててメダカを別の水槽に移し、
雄メダカを塩水浴させるべく
隔離した。


親メダカの水槽で
仲睦まじく暮らしていた2匹は
隔離に気づいたとたん、
互いにパニックを起こしたように
壁に向かって尾をバタバタ振った。


すぐに水槽の掃除をして、
塩水浴用のタブレットを入れた水の中へ
再び2匹(と子メダカ2匹)を戻すと、
元気を取り戻したかのように
まっすぐ泳ぐようになった。


専用の薬もあるらしいと
アドバイスも受けたのだが、
自然治癒力を高めるべく
今な塩水浴で様子を見ている。
(現在4日を経過)


水換えについても夫と再確認。
親が子の環境を悪くするなんて
毒親だ〜!!と反省しつつ、
どうにか回復の傾向を見せてくれたので
大切にメダカ生を全うできるように
頑張ろうと覚悟を決めた。
(どこかで夫任せだった親メダカ)


でも……
子メダカの水槽の世話だって
私ひとりでやってるんだけどな……
(ワンオペ育児じゃん)


今回、雄メダカには気の毒だったが
夫婦でちゃんと世話をする!と
意識と覚悟を決められたのは
良い出来事だったと思う。
(しかしながら、
人の子だったらと思うと恐ろしい)


容態が一段落したので
SNSに回復傾向の雄メダカの動画や画像を
投稿したら、思いのほか癒される人が多くいた。
人を癒すのは、猫だけじゃなかった。
(当たり前かもしれないが)


このところ、
テレビもネットも目を逸したくなる事が多い。
そんな中、癒しの画像や動画が
私達に与える効果は想像以上に大きい。


飄々と泳ぐメダカたちの命は
神様から託された希望なのかもしれない。


ありがとうね。












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