ダブデカ考察1:ミラとヴァレリーの関係は?

 キリルが警察官を志したのは、突然行方をくらました姉・ミラを探すためだった。第6話後半、仲間たちとともに入ったデリックの店で、奇しくも「新しく入ったバイトの女の子」として紹介されたミラと再会したキリル。男子トイレに入って驚きながらも姉との再会の喜びを改めて一人で噛み締めていたキリルだが、隣の小便器で用を足す男はなんと先程再会したばかりのミラ。困惑するキリルに向かい、「俺は『ミラ』じゃない、ヴァレリー・ヴルーベリだ」と「彼」は言った。

 と、まあ概ねこんなことがあったんですけど、ディーナが「デリックには男だってこと黙っとけ(その方が面白いから)」と言い出したり、アップルが「失礼ですが、なぜ男性に…?」と訊ねようとしたらケイに「人には言えない事情だってあります!」と止められたり、キリル自身もあまりに唐突な再会と、直前にダグから受けた「おまえが姉さんに訊きたいのは『なぜ出ていったのか』じゃない、『なぜ自分を置いていったのか』だ」という指摘にまだ混乱が収まらず「訊きたいことはたくさんあるけど、それはミラが話せる時でいいから」と言って先送りにしたまま、次の話でも「ミラ」と呼びかけたりしてる(むしろ「ヴァレリー」って呼ばない)のでなんか曖昧になってるんですがそもそもミラとヴァレリーが同一人物かどうかから疑問じゃない?と思って。
 そんで、あり得る展開としては今4つほど思いついている。

パターン1:とりかへばや物語説

 元々ミラ=ヴァレリーは出生時から男性だったが、何らかの理由があって女性として育てられるため「ミラ」という別名を着けられていた。しかし成長するごとに異性としての暮らしを強いられることに反発した「ミラ」は祖父の元を出奔し、都会で「ヴァレリー」として本来の性別になって暮らしていた。

パターン2:性同一性障害説

 出生時の肉体上の性別は女性だったが、ミラ本人の性自認は男性であり、その不一致から性別適合手術を希望するも祖父には反対され反発。18歳で出奔して自分で金を稼ぎ、適合手術を受けて自ら「ヴァレリー」という別名を名乗って男性として暮らしていた。

パターン3:整形手術説

 ミラ・ヴルーベリはキリル・ヴルーベリの実の姉であり、出奔の原因は性別とは全く無関係である。出奔した先でミラはヴァレリーと出会い、何らかの理由で自分の顔と名前で暮らしていけなくなったヴァレリーがミラの顔と「ヴルーベリ」姓を借りることとなった。つまり、ヴァレリーはキリルについてはミラから聞いた範囲のことしか知らず、キリルとは何の血縁関係もない、赤の他人である。

パターン4:人工生命体説

 ミラ・キリル・ヴァレリーは、ある特定人物のクローン、ないし何らかの目的を持って秘密裏に生み出されたデザイナー・ベイビーの各個体である。ミラとキリルの祖父は二人を連れ出して秘密裏に養育し、ヴァレリーはどこかのタイミングで監視の目を逃れ、今も逃亡生活を送っている(だから監視カメラを避けて歩き、「適度に流行ってなくて人が来なさそうな」デリックの店にも「女性」と偽って雇われている)。ミラは自分たちの出生の秘密を(断片的にでも)知って祖父を問い詰めるも何も教えてもらえず(これがキリルの記憶している「祖父とミラの喧嘩」?)出奔。

 パターン1・2の場合が最も平和っていうか、そっかーミラも大変だったんだねえって感じなんだけども、だとするとやっと「男(=本来の性別)」として暮らせるようになったはずなのに、なぜデリックの店で「女性」として雇われているのかが不明。パターン3・4の場合ヴァレリーとミラは完全な別人で、キリルが赤の他人のヴァレリーを「自分の姉のミラ」だと思いこんでいる(それにヴァレリーが合わせている)だけなので、ミラ・ヴルーベリの消息およびヴァレリー・ヴルーベリの正体は現時点ではまだ不明ということになる。
 特にパターン4は「キリルとミラを育てた祖父が『2階の祈り』を知っていた」「赤の他人のはずなのに顔がそっくりで姓が同じ『ヴルーベリ』」っていう2点が極めてキナ臭い。

 しかも作中でこの「2階の祈り」という言葉を口にしたクーパーは軍部最高責任者である。もし「ヴルーベリ」というのが「2階」に関わる存在だったならば、2話頭でいきなり「ごめん手違いだった!おまえクビ!元の所轄に戻ってください!」って言い出したトラヴィスの、ラストでいきなり「おまえクビって言ったけど、なんか大丈夫になった」というフワッフワの、言い訳にすらなってないアレにも説明がついちゃうかもしれない。
 トラヴィスが「2階」についてどこまで知ってるかはわからないけれど、上(=軍=「2階」の存在を少なくとも最上部では認知している組織)に掛け合ったところ、軍の方で「あれっコイツ『ヴルーベリ』じゃん。軍の下の組織にいるなら監視できるじゃん」みたいな話になったので「あーいいよいいよ、この子は残しといて」って言われて「なんか大丈夫になった」のかもしれないなと。
 もしかしてトラヴィスも「2階」のことを知っているか、キリル残留について掛け合った時に残しとく理由を聞かされたとしたら…とか考えてもみたんですが、最初から知ってたらキリルに対して「おまえクビ」とは言わない(どうしても一人余剰になると思ったらケイの方を外そうとしたはず)だろうし、キリル残留の時に「『ヴルーベリ』だからさ…」って聞かされてたなら9話でクーパーが「なぜあの男(キリル)が『2階の祈り』を知っている…?」って不思議そうにしてる理由がわけわからんことになるわけでんん?なんだかよくわからなくなってきたな?

 クーパーがトラヴィスに「キリル・ヴルーベリちょうだい」って言い出したのは「なんでコイツ(キリル)『2階の祈り』知ってんの?」から改めて身上調査したら(あるいはトラヴィスに「いやそいつちょっと残しといて」って指示した軍の誰かに問い合わせたか)「2階」に関わる存在である「ヴルーベリ」の一人だということが判明したし、しかも「2階の祈り」を「祖父」から聞いて知っている(もしかしたらその「祖父」から他にも情報を与えられているかもしれない)ので近くで見といた方がいいだろう、と判断してのことじゃないかなー、とか考えてました。どうなんだろう、10話見たら余計わからんようになってきたぞ。

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