【祝！ラグビー日本代表デビュー！】静岡ブルーレヴズ 茂原隆由選手インタビュー
ラグビーリーグワンで奮闘する静岡ブルーレヴズ。
静岡と静岡に住む人を結ぶフリーマガジン『すろーかる』では、1年に1度開催されるIAIスタジアム（通称：アイスタ）での試合に合わせて、静岡ブルーレヴズ所属の茂原隆由選手への特別インタビューを行いました。文字数の関係で紙面では泣く泣くカットしてしまった部分も含めて公開します！
（追記：インタビュー公開後に行われたイングランド代表との試合にて、茂原選手がラグビー日本代表デビューを果たしました！おめでとうございます！）
―よろしくお願いします！
静岡ブルーレヴズのプロップ、茂原隆由です。よろしくお願いします！
―早速ですが、プロップってどんなポジションですか？
プロップで1番大事でメインの仕事にはスクラムです。「ブルーレヴズといえばスクラム」というイメージをお持ちの方もいると思いますが、僕たちもスクラムでは他のチームより強く、負けないというプライドを持っています。
―ラグビーを始めた時からプロップでしたか？
高校生の時は初心者だったので様々なポジションを一通りやって、大学に入学してからフロントロー（プロップ・フッカーを含めたスクラムの最前線）になりました。はじめた当時は野球部出身で体もまだ大きくなかったので。
―高校からラグビーを始めたんですか？
もともとは野球をやっていましたが、肘を壊してしまい断念したときに、ラグビー部の顧問の先生に凄いアプローチを受けて（笑）。それがラグビーを始めるきっかけでした。監督に誘われてはじめて練習を見学した際に「漢のスポーツだな」と感じました。闘志あふれる人たちが、ぶつかり合っているのを見て「かっこいいな、僕もこうなりたい」と思い入部しました。
高校時代は部員数が少なくパス・タックルなどの基礎練習の繰り返しばかりでしたが、それが今に生きていると感じます。きつい練習でしたが、やっていてよかったなと思います。
―高校時代、体を大きくするためにどんなことをしていましたか？
学校の給食にプラスしておにぎりを3個ほど持参し、1限と2限の授業の間の休み時間にまず1個食べてみたいな(笑)。持参したおにぎりは午前にすべて食べて、練習後もマネージャーが用意してくれたおにぎりを3個ほど食べていました。
―大学進学後について教えてください。
大学で所属していた1部リーグでは周りの選手についていくのに必死で、日々考えることが多かったです。体の大きさに加え、走れるようにならなくてはいけないと思い、毎日ちょっとずつ上乗せしていきました。やっていく中で足りないことが分かってきて、でも直ぐには大きく変えられないので、ちょっとずつ積み重ねていくようにしていました。
―ブルーレヴズを選んだきっかけは？
スクラムやセットプレーが重要なチームの中にいれば自分も強くなれる、もっと上を目指せると感じました。あとは、大学のOBでもある長谷川慎コーチがいて、このチームなら安心できると思いブルーレヴズに入団しました。
―ブルーレヴズはどんなチームですか？
加入前の練習会に参加した時に、フレンドリーでみんな気さくに話しかけてくれる、練習生にも丁寧に教えてくれることが印象的でした。加入後もそのイメージ通りでした。
スクラムに関してはほんとに細かくて。入団時はスクラムに自信があったのに、直ぐに自信をなくしてしまいました(笑)。最初は全くうまくいかないという違和感がありましたが、いろいろな人にアドバイスをもらい1cm、2cmの違いをちょっとずつ直していきました。
―練習ではスクラムを組む最前線のメンバーで話をすることが多かったのがとても印象的でした。
前３人のセットアップができていないと後方のメンバーもくずれちゃうので、そこのコミュニケーションはとても重要ですね。
―2月の男子15人制トレーニングスゴッド合宿（※）はいかがでしたか？
攻撃の落とし込みが主な内容でした。同世代の選手や、姫野選手、リーチ・マイケル選手など代表常連の選手と一緒にやる中で、いい意味でやりやすさを感じました。なかなか言葉にするのが難しいですが、練習中のコミュニケーションやポジショニングの部分でやりやすさを感じました。
※男子15人制トレーニングスゴッド合宿：6月初旬予定のラグビー日本代表の本格始動に向けて、エディー・ジョーンズヘッドコーチ招集のもと、チームコンセプト等に関する各選手とのコミュニケーション等を目的として行われた。
―代表候補として声がかかった時はどんな心境でしたか？
驚きでした。まだまだ自分はそのレベルに達していないかなとも思いましたが、呼ばれたからにはアピールのチャンスとして全力でやらないといけないと思いました。実際に参加してみて、刺激にも自信にもなりましたし、今後の目標としてちょっとだけ手の届くところにあるという感触を持てました。エディーさん（エディー・ジョーンズ日本代表HC）には１対１で話す個人ミーティングで自分の強みなどを話した際、「普段のリーグ戦でも自分の強みを全面に出してくれ、それを俺は見てるから」と言われました。
―普段の練習はどんな感じですか？
シーズン中の一週間だと、まず初日は”勉強の日”になります。チームで戦術などを確認しながら、頭に入れる・理解する日になります。二日目はコンタクトデーで、スクラムなど体を当てる練習をして姿勢などの修正を重ねます。ここでは特に気合を入れて、一本一本に集中して練習します。
三日目以降は勉強したことの確認を試合のようなスピードで行い、練習後や夜に戦術の見直しをしています。実際の試合では、個人がどれだけ戦術を理解しているかが重要なってきます。一週間の中で体を当てる練習は実は２、３日ほどですね。
―日々の食事はどんな感じですか？
大学時代よりも食べる量は減りました。実は、夜は食べないようにしているんです。朝と昼はきちんと食べて、夜は炭水化物などを食べないようにしています。お昼も大量に食べるわけではなく、ちょっと大盛りくらいにして体のキレを落とさないようにしています。
―ベンチプレスは何キロくらい上がりますか？
これまでのMAXは190㎏ですが、今はそんなに上がらないと思います。夏季のオフシーズンに体を仕上げるようにしているため、シーズン中はウェイトトレーニングをそんなに行っていません。現在はスピードを重視したトレーニングをしています。
―今後の戦いに向けては
一戦一戦勝利のために全力で戦っていくという目標に向かってチームみんながコミットしてくる中で、チームとして一つの方向を向いていけるかが大事になってきます。先発として試合に出るからにはチャレンジ精神をしっかり体現できるようにして、良い流れをつくっていければと思います。
―個人としての今後の展望は
いずれは日本代表のスカッド（ワールドカップなどの選出メンバー）に入ることを目標にしています。そのためには一戦一戦がターゲットになってくると思うのですが、その挑戦を楽しんで、一歩一歩進んでいけたらなと思います。
―試合の見所は
ラグビーは人と人が当たるコンタクトスポーツなので、生でしか聞けない・感じられない激しさがあります。僕はそこで「かっこいいな」と感じました。球技ですが、格闘技のような部分も楽しんでもらえるといいかなと思います。そういう意味ではルールが全部わからなくても楽しめるので、気軽に来ていただけたら嬉しいです。最後は「すごかったね」と思ってもらえるような試合を目指すので、男同士のぶつかり合い、コンタクトプレーを楽しんでほしいです。ブルーレヴズの試合では出店やイベントもたくさんあるので、エンターテインメントとして楽しんでください。
―ありがとうございました！
編集後記
実際にお会いしてみて、驚いたのはその体の大きさ。ラグビー選手のなかでも身長が高く大柄で、練習中でも頭一つ抜けていました。インタビューや撮影をする中で伝わってきたのは誠実で穏やかな人柄。一つひとつの質問をじっくり考えて、丁寧に答えてくれました。
印象的だったのは「こつこつ」「少しずつ」という言葉が繰り返しでてくること。自分の足りないことや目標に向かって地道に鍛錬を重ねることを大切のだと伝わってきて、とても感銘をうけました。
茂原選手が「漢のスポーツだな」と感じたことがラグビーを始めるきっかけだと語っていましたが、力強くて心優しいまさに「男が惚れる男」でした。かっこよかったです。これからの活躍をみんなで応援しましょう！機会があれば、試合を観に行ってこのかっこよさを体感してください。
【茂原隆由選手プロフィール】
2000年生まれ。群馬県出身。高崎工業高校から中央大学を経て、2022年静岡ブルーレヴズに加入。2024年2月には男子15人制トレーニングスゴッドに選出。187cm、116kg。噂によると磐田市にある『エベレストカレー』のチーズナンが大好物。
【静岡ブルーレヴズ公式サイト】
【すろ～かる公式サイト】