全てが大切なメッセージ。[ヴォルと作ったオリ背。 ①]

3人だから作れた誰にも作れない宝物。

木枯しヴォルくん(@wol_kogarashi)が、4月に開催されたオリジナル背景イベントで2位入賞、オリジナル背景の実装権を手にしたということで、僕がその制作を手伝わせていただきました。

今回、「背景に込めたたくさんのメッセージ」「家主へのインタビュー」「ヴォルへのインタビュー」の3つに分けて、背景に込めたたくさんの想いを書き留めておこうと思います。

3人で作った素敵な思い出を、ここに記す。

本気だからこそできた背景

木枯しヴォルのオリジナル背景

今回の背景では、様々な技法を組み合わせた背景を作りたい、ということで、それぞれで出来ることが全く違う3人でタッグを組みました。
3DCGの技術を用いてより背景の世界観にひき込む小物や部屋を作っていったヴォルの家主、
画像編集技術で3DCGでは難しいデザインの実現やフォトコラージュを用いて幻想感などをより強く生み出した僕、
そしてその家主と僕によって生み出されたものを細部まで観察し、より違和感なく深いところまで見られるように加筆・修正をしたり全体の様子を広く見守り、一切の油断なく進められるように導いてくれたヴォル。
この3人で、本当にたくさんの人に「素敵だ」「美しい」と言ってもらえるように、およそ2週間、作り続けました。

簡単にどういう役割分担だったかというと、

監督 木枯しヴォル
助監督 眠御沢すろう
制作指揮 木枯しヴォル
3DCG制作 木枯しヴォル・家主
レンダリング 家主
写真 眠御沢すろう
2Dイラスト 木枯しヴォル
テクスチャ 木枯しヴォル・眠御沢すろう
レタッチ 木枯しヴォル・眠御沢すろう
2Dエフェクト 木枯しヴォル

といった感じですかね。

何度も弱音を吐いたり、逃げ出したくなることもあったけど、そんな時でも3人で支え合って、より理想に近づけられるように、奮闘していきました。
その結果、他で絶対にないようなフォトコラージュと3DCG、そして手描きなどの技術が複雑に絡み合った背景が出来上がりました。(背景にイラストをほぼ使わなかったライバーってなんだかんだで初めての事例なのかもしれない。)

そんな3人の力が組み合わさった素敵な背景を、この章では細部まで解説していこうと思います。きっと、みんなの知らなかったこの背景に込めたたくさんの素敵な想いが、ここでわかるはずです…!

背景に込めたたくさんのメッセージ

今回の背景でテーマにしたのはおしゃれなアクアリウムバー。淡い水や照明の光がやさしくバーを照らす素敵な背景です。宝石、お酒、バラなど、ヴォルといえば、といえるようなものも詰め込み、よりヴォルの背景らしさもプラスしたものに出来上がりました。

そして、この背景、もともとの背景サイズよりも横長に作られています。これは、「IRIAMだけに留まらず、様々な活動でも、この素敵な背景が広がっていくように、わざと大きめに作りました。そのため、配信上で見ることのできない場所にも、たくさんの隠れたメッセージが込められています。

アクアリウムバーとはいえ華やかに、というわけでなく、より自然らしく、美しく。
昼はカフェレストラン、夜はバー。
様々なことを気軽に話せる場をイメージして作り上げることを目標としていたため、「安心できる空間」がとても重要になっていました。そこで、一人の意見だけじゃなく、家主やヴォルで考えた思い出や安心につながるインテリアをミーティングでたくさん考えた末、このような作品に仕上がったのです。

『有り得そうであり得ない』『現実と非現実の間』
現実世界で起こらないたくさんの素敵な現象を形にして、
『何色にも染まる』『素材自体が活きる』『無色でもあり透明でもあり、まっさらでもあるが虹色でもある』
というイメージを忘れずに制作に臨めました。

今回の制作で難しいのは様々な素材を組み合わせて配置してそれをうまい具合に全て溶け込ませて、ひとつの絵にすることだと、ヴォルは言っていました。
合わせる素材が多いほどなじませる大切さが出てくる。そこで、消去法で「これがおかしい」と言ったところの微調整を繰り返し、修正点を一つずつ消去していくようにしました。

さらに、IRIAMの背景であるということも難しい要素の1つとして挙げられていました。
誰を置いてもしっくりくるのがベストな背景。「誰が使うの」っていう背景よりも「この人にも似合いそう」がオリジナリティがあり、「ありそうでなかった」も出てくるのです。
なので、ヴォルらしさを取り入れつつも、独自性重視というわけでなく、「よりみんなにも似合う背景」をイメージするようにもしました。

そんな、よりヴォルらしさを表現する背景は、どこにどんなメッセージを込めたのか。一緒に見ていきましょう。

水中生物に込めたメッセージ

タツノオトシゴ・クリオネ

左上の水槽にあるタツノオトシゴと、右側・左下にそれぞれあるクリオネ。

タツノオトシゴとクリオネ

この2種の生物には、ヴォルを表す上でとても大事な生態があります。
それは、タツノオトシゴは雄が子供を出産すること、クリオネは雌雄同体だということです。

タツノオトシゴは雌から卵を受け取った雄が卵を稚魚になるまでお腹の中で守り、ふ化へと導いていきます。
クリオネは雄と雌の器官がどちらも備わっており、成熟すると卵巣が発達した個体と精巣が発達した個体とが交尾します。

人間の雌雄の関係と全くもって異なっているこの2つの生物。
中性であり、雄だとも雌だとも断言せず、中間くらいの存在だと言っているヴォルにとって、「雌雄の違いにとらわれない」この2つの生物が素敵で、よく自分のことを表しているということもあり、クリオネとタツノオトシゴを入れることにしたのです。

ちなみに当時クリオネは頑張って翼足(クリオネが泳ぐ際動いている部分)を動かしても強い波には逆らえず流されていってしまうところがかわいらしいと言ってました。ほんと、クリオネって海の天使。僕もかわいいと思ってます。

そして、タツノオトシゴはこの背景の中に2匹、クリオネは3匹泳いでいます。この数にしたのは、ヴォルやぬ・ヴォルすろのタッグとヴォル・家主・すろうのトリオを表現したかったから。普通1匹でも美しいのに、他の生き物を複数にしてもよかったのに、こんなに狭いスペースにいる2種にこの意味を込めたかった。それもまた、「違いにとらわれない美しさ」がこの3人にはあったから。どこまでも性別にとらわれないからこそ、このメッセージが強く表れました。
さらに、タツノオトシゴが同じ向きを向いているのには、「並走」という意味が込められてます。オリ背で、「一緒に走ってもらう」ことを大事にしていたからこそ、この思いを込めたかったのです。

クラゲ

クラゲ

一部の人にはクラゲに見えないかもしれませんがこれはクラゲです。
ふわふわ浮かんで幻想的なクラゲ。これにも大事な想いが詰まっています。

ヴォルはくらげが大好き。
家主と江ノ島水族館に行った思い出を、僕にこれまで何度も話してくれました。
江ノ島水族館にはクラゲファンタジーホールという、クラゲの美しさがより伝わってくるような、幻想的な空間があり、そこにたくさんの種類のクラゲが展示されているとのこと。

実際に僕も制作の参考にホームページや江ノ島水族館に関する書籍を見せてもらいましたが、本当に幻想的。淡い青に包まれた空間で、幻想的な形の様々なクラゲが泳ぎ回る姿を、間近で見てみたいと本気で思ったくらい。
この思い出も、形に残して大事にしたい。そういった思いからクラゲを入れました。
いつか、この美しさを、僕も間近で眺めてみたいです。

金魚

金魚鉢

昔ながらのガラス鉢に入った金魚。
こちらはヴォルがCGの練習を過去にした際に使った題材であり、アートアクアリウムという金魚をアーティスティックに展示するところに過去に訪れた経験をもとにいれることを決めました。

大水槽

大水槽

そして、目の前にある大きな水槽。様々な生物が共に暮らしています。
ここには、僕の思い出が強かったりします。
ヴォルにどうすればリアル感が出るか、どうすれば幻想的な雰囲気になるのかなど、水中生物の配置についてたくさんレクチャーされていたのです。

実際この水槽の参考にするために「あつまれどうぶつの森」の水族館の全コンプリートした様子の動画をヴォル、家主と一緒に見ました。僕はどうぶつの森をやったことはあっても、博物館のコンプリートまでにはたどり着けてなかったので、実際にその様子を見たは初めてですが、本当に圧巻でした。それぞれの魚の特徴がよくわかるようなデフォルメ造形、魚の性質に合わせて作られたレイアウト。どこを見ても本当に水族館に入ったかのようなリアル感がありました。小さい頃どうぶつの森の博物館で「どうしていつも寄贈したものは前からどんどん詰めて配置するのではなくばらばらに入っていくのだろう?」と思っていた疑問が解消された感じでした。本当にどうぶつの森はすべてのものに寄り添ったレイアウト。美しい。

また、背景制作に向けてレストラン巡りをして背景に役立つヒントを探す際にもアクアリウムレストランに1軒入りました。その際もこの背景のような大きな水槽が目の前に広がっていました。中で流れる魚たちのゆっくりとした時間。それに心洗われながら素敵な時間を過ごせる。そこで、この背景には美しさや心地良さも詰め込めるようにしました。

カウンターに込めたメッセージ

続いてカウンター周辺。たくさんのものが美しく置かれている風景。ここにもたくさんのメッセージを込めました。

カウンター
左から
【前方】
・金魚鉢(先ほど説明あり)
・お酒の数々
・ティラミス(ヴォルミス)
・クラゲの水槽
・クリオネ入りガリレオ温度計
・砂時計
【後方】
・ボトルシップ
・試験管
・ビーカー
・三角フラスコ
・ワイン瓶
・薔薇
・木箱

1つずつ、どんな想いが込められてるのか、お話ししようと思います。

カクテル

カクテル

まずは、テーブルの上に並べられたお酒の数々。
これには、ヴォルと初期から絡んでいた「魔皇猫茶」さんとの思い出がかかわってきます。

僕とヴォルで背景を制作する前にいろいろ話し合ってた時、なかなかカクテルについてが思い浮かばなくて。
ヴォルが「どうしよう」ってなっているときに現れたのが猫茶さん。
猫茶さんは自分で思っているヴォルや家主、そして僕にピッタリのカクテルを紹介してくれました。

ガチイベ中だったら、ブラッディメアリーがいいって言ってたかな。「断固として勝つ、私の心は燃えている」
アプリコットクーラー「素晴らしい」
「みんな」って意味ならオールドファッションド。「我が道を行く」「一人ひとりの道があるって意味でも」
配信者としてはロブロイ。「あなたの心を奪いたい」
猫茶の大好きスカイダイビングは「尊敬」「崇高」
なんなら一覧表みたいなの見つけたよ
猫茶とヴォルの関係はユニオンジャック「誘惑と戸惑い」、それとジョン・コリンズ「気さくな関係」。
すろたんならスリッパリー・ニップル「恋に溺れて」
ヤヌシィとならクロンダイク・ハイボール「本音と建前」
猫茶さんのコメント

たくさんのカクテルに関するアイデアをくれた猫茶さん。
その中でも、スカイダイビングのカクテルを入れました。1番右の物です。
ヴォルはこのカクテルをずっと入れたかったのですが、やはり猫茶さんがこのカクテルが好きと言っていたことだけではなく、リスナーを尊敬・崇高・自分よりもすごい存在と思ってて、慕ってるからこそ入れたかったそう。また、猫茶さんはタッグやカップリングの原点であるからこそ、その思い出を大切にしたいのです。

また、その隣は「xyz」というカクテルが置かれています。
これは、ヴォルが僕とカクテルに関する話をしたときに真っ先に上がったカクテル。
このカクテルには「これ以上のものはない」という意味が込められています。
「シティーハンター」という少年漫画では「XYZ」が、後がないから助けてほしいというメッセージに使われたことからも、「後がない」という意味合いから広がっていったそう。
このカクテル言葉からヴォルは、「自分はいつも後がない」というマイナスな意味を込めつつも、「これ以上後ろに戻らず、このオリ背が(最初で)最後の最高なものにしたい」という意味も込めつつ、
「XYZ」が3文字であることからも制作した3人のことも同時に表したかったそう。

どこまでも意味を深くまで込める天才。ネタは込めたもん勝ち。

ヴォルミス

ヴォルミス

続いてティラミスこと、ヴォルミス。このヴォルミス、制作をしていく中でだんだんと生まれて言った言葉。
上のチョコレートがヴォルのいつも使っている狼の横顔のシルエットであるため、そこからヴォルミスと呼ばれるようになりました。
ちなみに僕は時々単語にヴォルを入れるのが好きです。例えば目の前にあるキシリトールガムはキシリヴォール((

これももちろんちゃんとした意味があります。

表記はイタリア語だと「Tiramisù」、ヴェネト州に移動するとヴェネツィア語で「Tiramesù」と書きます。言葉を分解するとTira・mi・suの3つになります。「Tira」には「引っぱって」という意味が、「mi」は「私を」、「su」は「上へ」という意味になり、直訳すると「私を上に引っぱって」、分かりやすく訳すと「私を元気づけて」という意味になります。

一説によると、ティラミスが有名になった理由は“夜のお菓子”だったからとされています。18世紀頃のヴェネツィアでは強壮剤のデザートとして食べられていたのだとか。現在のイタリアでも、ティラミスは夜にしか出さないというお店もあるようです。
https://macaro-ni.jp/35350

ヴォルがみんなに思っていること。
「みんなを元気づけたい」「みんなと楽しく話したい」
そして、「ヴォルもみんなに元気づけられたい」。

夜というキーワードもヴォルにピッタリだからこそ、背景に入れるささやかなスイーツとして、ティラミスを取り入れました。

ガリレオ温度計

ガリレオ温度計

クリオネが中で優雅に泳ぐガリレオ温度計。
ヴォルはけっこう強いという一面が目立ってるかもしれないけど、そんなヴォルだって、状況によって浮き沈みや上下があります。
温度感というのはヴォルがよく考えることであり、色鮮やかさでもある。
だからこそ、このガリレオ温度計は、配信についてもよく表現しているのです。
浮き沈みするカラフルは、ヴォルのリスナーの表現にもつながっているのではないでしょうか。

IRIAMを「箱庭=ガリレオ温度計の外側のガラス」ととらえると、IRIAM上での木枯しヴォルだけでない、外の世界(ここでいうバーの店内)があります。そのさらに外側は想像するしかありませんが、それでも必ず、世界だったり未来だったりと、見えない「外側」がそこにはあります。

ガリレオ温度計は温度計の「最初」でもあるからこその、原点回帰というメッセージもここに込めました。

研究のまとめ

さて、最後に紹介したいものには、とっても大事な3人の思いが込められています。

研究のまとめ

これは配信上でヴォルになる前のヴォルと、家主が一緒に過去に制作した、「研究のまとめ」という作品の一部。
この作品の左にある砂時計を、今回この作品に取り入れたんです。

この研究のまとめには、こんなエピソードがありました。

『研究のまとめ』
死期を悟った少女が机に向かって自分の人生をかけてまとめている様子。
実は砂時計の中の球は単位回収の為にとったCG(大学2年)の提出課題から引っ張って色を変えたもの。
その時初めて自由に作った『研究のまとめ』の人物モデルデータはその後制作した「残り香(アロエ)」という作品に引き継がれている(改変されている)。
『心像』の右上のホログラムみたいな少女は『研究のまとめ』の少女を意識したもの。
そして今回。
そこに使った技術とソフトを全部込めようとしてる。
また、新しい形として。
新しい挑戦という形で。
家主と僕にとって『心像』と『忍び寄る冬』のリベンジでもある。
木枯しヴォルとのダイレクトメッセージより
残り香(アロエ)
心像
忍び寄る冬

このエピソードからも分かる通り、この「研究のまとめ」という作品は、家主とヴォルの制作する作品の根幹といっても過言ではない作品なのです。これまでのたくさんの経験を次に進める道しるべにするために。一生懸命、追い込まれながら、缶詰め状態で作ったとのこと。
そして、「研究のまとめ」は、死期を悟った少女が中心となって描かれた作品。ヴォルも「いつ自分が死んでも後悔しないように生きたい」と話していました。だからこそ、この研究のまとめは、ヴォルの心をよく表しているのです。
そんな思い出があるからこそ、今回の作品ではこの作品に込めた想いもしっかり残していこうと考えました。

この研究のまとめからは、

  • カウンターの一番右にある砂時計

  • カウンター裏の試験管、ビーカー

  • 背景右上の照明の後ろの蝶の標本

  • タツノオトシゴの水槽をつるす鎖

  • 机下の宝石の一部

と、様々なオブジェクトを拾ってきました。

砂時計

砂時計

時間というものはヴォルにとって大事なキーワードであるからこそ、今回入れることにしました。
砂時計を横倒しにしたのには、止まっている時間も動く時間も、みんなと共有したいという意味合いが込められています。
さらに、時計はもともと、僕の立ち絵にもキーワードとしてワンポイント入っています。

一生使われることになった冬服(あつい)

ズボンの左側にある懐中時計。時を刻む素敵な道具。
また、頭にはメビウスの輪という、8の字を横倒しにした飾りがあります。これもヴォルが砂時計を横倒しにしようと思った理由。
もともとこの衣装をデザインしたのがヴォルであることからも、より僕とヴォルの時間や絆を共有するキーワードとしても、この時計は素敵なキーワードになったのです。

ビーカー・試験管

カウンター裏にはビーカー、試験管、三角フラスコといった科学で使いそうな道具も加えました。このうちビーカー、試験管が「研究のまとめ」のものを使ってます。
これは、ヴォルと家主がもともと理系だったということもあり、家主とヴォルをつなげる素敵なものなのです。よく話題に上がる「人体実験」ともちょっと関係してくるような。
配信内で今日も実験が繰り広げられる。

蝶の標本

蝶の標本の話題が上がったのは3人で構成についてミーティングした段階ででした。
なぜ蝶の標本を入れようと思ったのか。それは、ヴォルのコレクター気質なところにあります。標本というのはたくさんの種類を集めたくなるもの。そういった気持ちとヴォルのコレクターな気持ちが繋がったのです。
また、鱗粉は特殊な輝きを秘めていて、さらに、標本というのは半永久的にそのままである。ここから、「このままであってほしい」というポジティブでもありネガティブでもある思いを込めています。ずっと、今の気持ちを閉じ込めていたい、みたいな。

しかし、その想いはいつも前面に出さずに、そっと伝えている。だからこそ、あまり気づかれなさそうな照明の裏側に配置することで、さりげなく、その想いや、過去の思い出を詰め込んだのです。もともと、「研究のまとめ」でもほかの物体にさえぎられて標本の全容は見えない状態でした。その記憶ともリンクさせた形での配置なのです。

タツノオトシゴの水槽をつるす鎖

タツノオトシゴの水槽を吊るす鎖は、あまりにも自然に入っていたのでいつ頃つけたされたか、けっこう僕も分かんないまま進んでたような。もともとこの水槽は壁に取り付ける形にしようかなとか言ってたりしましたが、そこから色々と考えてみたらおかしいところもあるよなってことで、鎖で吊っているようにもしようと考えた感じです。ヴォルと家主の考えるスピードがとても速くて、なかなか追いつけなかった僕でした。

机下の宝石

そして、僕がとても力を入れてレタッチした、机の下の宝石。「研究のまとめ」以外にも様々な過去作品や新しい3DCGのテクスチャを組み合わせて出来上がりました。
もともとこの構図には、元ネタがあって、ヴォルが家主と学校で初めて出逢った時に立体物の制作をしていた際、その台座に色とりどりの原石が生えていたのです。今回は、この元ネタに合わせつつ、新たな要素を加えるために、地面から生える青色を帯びた宝石の結晶だけじゃなく、雫型のカラフルな宝石をテーブル面に取り付けることを想定して制作していきました。
最初送られてきたCGでのベースでは、リアル感はあっても、幻想的な感じがなく、これをどう加工しようかは、たくさん考える必要がありました。光の当て方・輝かせ方・美しく見える配置。いろいろなことを考えながら、より素敵に見えるものの魅せ方ができるようにしていきました。どの合成モードを使えば透き通ってかつ輝いて見える?ペンタブもフル活用して、細かいところまで工夫を凝らしました。
ヴォルは、胸で光る「アレキサンドライト」や真智ちゃんの描いた立ち絵の右手で光る「パール」の指輪など、宝石・光るものに愛されているな、と思っていました。だからこそ、この背景にも「輝き」をちょびっと加えたい。
そうして、あの素敵な宝石が出来上がったのです。
テクスチャとソフトと手書きの力をうまく組み合わせた、素敵な宝石になりました。

また、右の宝石の周りを飛ぶ蝶。
これはヴォルが普段付けているマスクに着いている絵柄をもとにしたものです。
これは、女装企画でもつけていたマスクだからこそ、愛着があり、今回この蝶を入れたかったそう。

まとめ

たくさんの願い・メッセージをもとに作られた今回の背景。
ヴォルの考えるいろんなことを、より形にできるように、何度も試行錯誤して、提出期限ギリギリまで粘って作った作品です。
だからこそ、僕はこの作品が凄く大好きです。

そんな背景を一緒に作った2人は今、背景が出来上がって何を思っているのだろう。
次の記事では、家主に実際にインタビューして、家主の考える背景を作るにあたっての覚悟が明らかになります。
7/14夜ごろに公開予定ですのでお楽しみに。
ヴォルへのインタビュー記事も鋭意制作中ですので、そちらもお見逃しなく。


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