ヤマビルにやられるの巻。
その日、サンコウチョウを夢中で探して上ばかり向いていた。
チクッ ・・・? 足首になんか… 気のせいかな。そのまま歩きつつ上を見続けていると、 ヂグッ! なんか今、確実に痛かったような!?
立ち止まり足首を見てみる。何もない。ズボンの裾をめくりあげてみると、噂に聞いていた「ヤマビル」が靴下の上からくるぶしに噛みついていた。
危険ですっ!!靴下を噛んでいてなかなか剥がれないので、指で強く弾き飛ばしてやった。
はぁー。びっくりした!くるぶしには噛まれた痕が2つ。少し血が滲んでいるものの、靴下の上からだったのでおそらく血を吸われずに済んだ。
しかし、やつらはシャクトリムシのような動きでめっちゃスピードが速いので、足元に這っていないかちょこちょこ確認しないといつの間にか服にまで登ってきてしまうらしい。ちなみに、ヒルが木から落ちてきて人にくっつくとよく聞くけど、それは違うと。
こうして初めてのヤマビル体験はほぼ未遂に終わったのだが、気づかぬうちにヒルに足を這われている気持ち悪さに怯え、次回からは絶対長靴で行こうと決めた。
それから数日後。
森からの帰り道、シダの葉の裏で蝉の羽化が始まりかけていた。これは見届けなくては!
おそらく1時間以上草むらに立っていた。そろそろ辺りも暗くなってきたので帰ろうと歩き始めたとき。
なんか膝の裏にヒヤリとした感触。何歩か進むとやっぱり冷たいような・・・。 これは… いや~な予感。見るのめっちゃ怖い。とりあえずそっと膝の裏を触ってみる。濡れてる!?
恐る恐る見てみると、もうすでにズボンの膝裏辺りが血まみれ。ヒヤリと冷たいのは自分の血だったのだ。恐怖!!
ヤ マ ビ ル に 血 を 吸 わ れ た。 やられてもーた、泣きそうだ。なんとなく不快な所を触ると、プルンとしたものに触れたような気がしたのでズボンの上からつまんでみる。ヌルッとした感触・・・。
信じたくないけど、おそらくヤマビルを、私は今、ズボン越しに、確実につまんでいる。これを早く外に出したい(涙)!!!!!
履いていたズボンは膝から下がファスナーで取り外し可能だったので、パニックになりそうな気持ちをこらえてファスナーを開けた。
ぼろん。
コロッコロのヤマビル。私の血でパンパンに膨れた憎きヤマビル。ズボンの中から落ちてきた。
気持ちワリ―――!!!!!でもとりあえずズボンから出せたことに安堵した。ヤマビルに毒はないが、噛まれると血が止まらなくなるので傷口を清潔にした後、絆創膏を貼って止血すると良いらしい。
水筒の水をかけて傷口を洗い、絆創膏を貼って落ち着いたが、まだ体のどこかにヤマビルが付いているような気がして自分の体が信じられない。
全く吸われていることに気付かなかった。痛くもなんともなかった。なぜズボンの中に入っていたのか?考えだすうちに、もしかして今パンツの中にヤマビルが入ってるかも!?どうしよう!と怖くなってきたので車を停めているパーキングに急ぐ。
そしてパーキングに着くなり街灯の下へ行き、誰もいないのを確認した後、そっとズボンの中に手鏡を入れて股間を見たのであった。
セ――――フッ\(^o^)/
ヤマビルは不在でした。いやぁ、もしヤマビルが股間に付いてたら絶対気絶してた。
ヤマビルのせいで森に行くのが怖い!
こうしてヤマビルは完全にトラウマとなりました。