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アフガニスタン難民の子どもに日本国籍取得認める

おととし愛知県内で、アフガニスタン出身の両親のもとに生まれた子どもについて、日本国籍の取得を求めた申し立てで、名古屋高等裁判所は「当時、アフガニスタンは実質的に国家としての実体を失っていた」と判断して国籍の取得を認めました。(NHK 2024年9月12日)

血統主義の日本国籍法にも、無国籍者を出さないようにするために、生地主義に基づいて日本国籍を付与する法律があります。

この場合の条件は「両親の国籍がわからない時」です。
ところが今回の名古屋高裁では、両親の国籍は判明しているのに、日本で生まれたという事実に基づいて日本国籍が付与されるわけで、大前提が崩されたという点でおおいに注目されます。

時代に寄せる波が変わった!?
けれど、まだ高裁段階です。
それに、もし最高裁で勝訴が確定したとしても、あくまで個別案件として今回限りとされ、判例が新しいルールとして一般化されることはまずないだろう、と思われます。

「日本に逃れてきた難民の親から日本で生まれた子には日本国籍が与えられる」という事が既定事実化するのは、国として最も困ることだからです。

過去のケースとして、アンデレちゃん国籍確認訴訟(1995)があります。
最高裁はアンデレちゃんの日本国籍を認めました。
担当した中川明弁護士が、LEC東京リーガルマインドで、弁護士活動の中でも最も印象に残った裁判として語っています。

この中には「裁判で負けた国は、出生届などの実務面で、今後このケースでの新たな国籍取得者が出ないようにしっかりと対策を講じた」とあり、揺るがない国の姿勢が印象付けられるものでした。

それから30年近く経ち、さすがに難民とともに時代の波も押し寄せた、ということになるのでしょう。

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