「あなたの人生の物語」テッド・チャン 読了

ずっと積んでいたけどようやく読了。いや~かなり面白かったかも

以下は感想の走り書き。

バビロンの塔

おもしれ〜
天高くそびえ立つ塔かぁ、天井ってなんのこっちゃと思いながら読んでたがだんだんディテールが見えてきて、それと同時に恐ろしさがやってきた。高所恐怖症なので。
高いところに行くことの恐怖、神に逆らうことの恐怖……
結局天井は地面で、世界は繋がってたというオチも好き。

理解

何コレ〜〜
凡人が死にかけて治療されてめちゃ頭良くなる話なんだけど、どんどんスケールデカくなって最終的に同じような人と謎の超人バトルして理解して負ける
だんだん頭が良くなる地の文の言葉回しは楽しかった

ゼロで割る

1=2を証明してしまった科学者の妻が、その証明によってすべてをひっくり返されてヒスる、その夫が妻を理解しようとするけど全て突っぱねられる……
最終的には信じていたものが当てにならないんだ、ということを、お互いが数学的な理屈と感情的な部分で理解するって話なのかな
そこそこ面白かった

あなたの人生の物語

いや、面白いな〜〜〜〜、ファーストコンタクト物だ
未知の言語体系を習得していくとともに、考え方を変えていく……
たしかに考えるときは母国語を頭の中で喋るから考え方が引っ張られてしまう、それを、すべてを一文字で表せるような文字で考えるようになり、すべてを最後まで見通せるようになる……
途中に挟まった娘の話は、過去なのかな?未来なのかな?と思っていたけど、まぁある意味未来ではあるのだが今わかっている話ってことなんだなぁ。
そして、今がすべてっていう意味だと赤ちゃんも同じなんだなぁ、ということでいいのかな?
映画のメッセージも見てみたくなっちゃったな。文字を映像化したらどうなるのか、とても気になる。

七十二文字

滅茶苦茶おもしれえ〜〜
最初は名辞ってなんだ?ネジの誤訳か?とおもったけど、そうじゃなかったのね
プログラミング、遺伝子組換え、優生思想………そういったものの詰め合わせって感じの話だ
人間の種の限界が近いことがわかり、どうやって繁殖力のある人間をプログラミングするか……
七十二文字という制限の中で、どうあがいても無理だよ〜ってところで再帰的な、ある種現実の繁殖と同じシステムを思いつくというのはかなりカタルシスがあってよかった
こういう、SFの世界の常識を現実の世界の常識で解決するみたいな話、好きですね……

地獄とは神の不在なり

天使の降臨というある種の天災と、それへの信仰の話かな
それによって不幸を被った人は信仰なんてできないし、救われた人は信仰するし…
不幸すらも神の試練と捉えて信仰する人もいるし………みたいな
最後のオチはちょっと笑っちゃった、洗脳ってこわいねえ

顔の美醜について

ルッキズムをテーマにしたドキュメンタリー風の小説。これも好きだな〜
脳科学の進化で、人の顔の美醜のみ認識できない失認症にすることでルッキズムをなくそう!という運動の賛成派、反対派、その他いろいろな意見を聞いていく、という話。
結局顔じゃないんだよな〜とか、顔がいいやつは反対するだろうけどさあとか、顔が悪いやつの嫉妬だろ賛成するのは〜とか。
ずっとその阻害をうけて育ってきた女の子が外したときに自分の魅力を自覚して、元カレとよりを戻そうとしたり……
結局最後は美醜よりも話術じゃねえの?ってオチもまぁ良かったな、どこまで阻害していけばいいのさ、、っていういたちごっこだ。

総括

いや~面白かった。
ボリューミーな話ばかり読んでいたので短編はさっくり読めていいね。
けっこう肌にあう短編が多かったように思えたのでテッド・チャンのほかの作品読んでみてもいいかも。

そのほか感想は以下に…


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