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そしてSPOILMANはSPOILMANになった

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近所のタワレコで買ったので、特典の笑顔猫くんシールは手に入りませんでした。

というわけで、

SPOILMANの2ndアルバム!

7月21日に待ちに待ったSPOILMANの2ndアルバムが発売されました。


曲を詰め込んだ自己紹介的な印象が強かった前作から、2枚目は一体どんな進化を遂げたのだろう、と期待を胸に聴き始めました。

一通り聴き終えましたが、完全に期待の遥か斜め上を行く内容でした。

よりタイトに、よりハードになったバンド・アンサンブルが、オリジナリティを極めた歪な音の構成、曲の構成と絡み合って、完璧に独自の音世界を構築させてるな、という印象を受けました。SPOILMANというバンドはこの姿が完全体だったんだな、と思いました。

前作を1万回は聴いたと思いますが、そんなに簡単に理解した気になって良いバンドではありませんでした。完全体という印象を受けたものの、まだまだ奥が深そう、まだまだ底は見えないな、というのも感じました。

今回のアルバムは、曲のヴァリエーションの豊富さから、まるでショートフィルムを詰め合わせたような、多彩な映像が浮かんでくる作品でした。映画の美しいワンシーンとかそういうのでは勿論なく、その多くが殺伐とした、荒涼とした、狂気をはらんだ、抽象画のような、SPOILMANらしさが溢れる個性的なものばかりです。

妙な中毒性

簡単に言うとNIRVANA発FUGAZI経由アルビニ行きな音楽性なのに、心地良いとすら感じて繰り返し聴いてしまう中毒性があるのはほんと不思議です。前作もそうでしたが、SPOILMANには繰り返し聴いてしまう魅力がありますね。決して聴きやすい音ではないのですが。

これぞSPOILMAN

総じて、これぞSPOILMANという独自性を極めた、めちゃめちゃかっこいいアルバムです。

最っ高にSPOILMANしてるので、この良さがより多くの人に届いて欲しいと思います。

全曲感想文

1.Flock Of Seagulls

とにかくカッコいい1曲目。バンド・アンサンブルがタイトになっていて、バンドの一体感を一層感じますね。

この、なにこれ?なMV凄く好きです。

子供と一緒にダンス?動きを真似て踊ったりしましたが、凄く楽しいです。止まったり動いたりのアトラクション性があって盛り上がるので、お遊戯の時間にぴったりですね。

2.Chrismas Song

とにかくかっこいい2曲目。変なギター音、最高です。猫の鳴き声みたいな音を出してたり、虫が飛んでるような音を出してたりと、独特なギター音はお馴染みではあるのですが、今回の音、妙に好きです。

反骨精神のパンク・スピリットからもはみ出しているWIREの超名曲『I Am the Fly』が思い浮かびました。

コリン・ニューマンは捻くれ者の王様だと思ってますが、この曲調にChrismas Songと名付け「Merry Chrismas!」と叫んでいるカシマさんのセンスも最高です。

3.Garland House

極太ベースと軽快なドラムの行進から始まるとにかくかっこいい3曲目。音の数が抑えられていて、クールでダンディな曲ですね。

4.Scythe

不穏なベースラインとガチャガチャしたギター、急かし立てるかのようなドラムが狂気の演出をしている前半部と、テンポダウンした後のわけの分からなさが相まって、初めて聴いたときは全く理解出来なかったです。なんだこの曲は?ってなりました。ですがタイトルを見てなるほどな、となりました。分かってはいませんが、分かった気にはなってます。

5.Sleep Walker

先行配信で初めて聴いたとき鳥肌が立ちました。コンセプトを表現した曲として、それを奏でるバンド・サウンドとして、全てが完璧だと思いました。

トランプで作ったタワーのように、絶妙なバランスで成り立っているので、音が何一つ欠けても、何一つ足しても、全てが台無しになると思うくらいの完璧さを感じますね。とにかくめちゃめちゃ好きな曲です。

最後のカオティックになる部分、あそこの展開は神がかってますね。

配信された時から何万回と聴いてますが、あと何万回聴こうが色褪せることのない完成度の曲です。

6.Stir My Brain

SPOILMANのマスコットキャラクターである笑顔猫くんが、暴れロデオマシーンに乗ってぶんぶん振り回されてるイメージです。かっこいい。

7.Little Pocket

スピード感がより焦燥感を煽っている曲ですね。感想を書くのが難しい。

8.Bolero

砂漠のオアシスのようにたまに顔を出すキャッチーなリフと、それを断ち切る構成もSPOILMANという感じがしますね。一筋縄では行かない練られた構成の曲だなと思いました。

9.Nothing Man

良い曲ですね。寂しげではあるけど温もりもあるイントロに「あ〜、いいな〜」と酔いしれたいのに、ギロチンのような音の塊が降ってきて、はっとさせられる所から始まる、SPOILMAN流聴かせる歌ものですね。

前作を聴いた時にも感じたのですが、SPOILMANはThe Sonora Pine(Tara Jane O'Neil)、Codeine、A Minor Forestなどサッドコアとも呼ばれていたバンド群ともリンクする部分がありますね。

10.Solid Green

ヤバいですね。強烈でした。最後のシャウトの掛け合いの部分は鳥肌が立ちましたし、曲の世界に完全に精神を持っていかれました。

質感の似ているSlintの歴史的名曲『Good Morning, Captain』に負けず劣らずの素晴らしい曲です。

ライブが観たい

こんなにSPOILMANのことを熱く語ってるのに未だにライブは観たことがありません。ずっとライブに行きたいと思っているのですが、いつも予定が合わず・・・。今月、来月こそ念願を果たしたいと思っています。

YouTubeに映像作家の白岩さんという方によるかっこいいライブ動画があります。今作の曲も数曲演奏されてるので改めて観るとまた面白いですね。



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