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理由と手法
2024年が始まりましたね。
本年もよろしくお願いいたします。
今回のnoteは、個展に関する続編です。
なぜ「平面」か?
まずは、「なぜフェルト作家なのに平面作品での個展だったのか」について。
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理由はいくつかありますが、大きく分けるとこの3つ↓
①絵を描くことに昔から憧れがあった
②立体と平面を並べたらおもしろいかなと思った
③「フェルトくま」がご好評いただいていることに
甘んじていてはいけないと思った
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それぞれ補足を付け加えますと・・・
①については、憧れているならさっさとやればいいだけの話ですが、「憧れはあるのに描きたいものがない」という状態が何十年も続いていて、ようやく「自分の(フェルト)作品を描けばいいんだ!」ということに思い至ったのでした。
②については、温めていた展示アイデアとして、「誰か私の(フェルト)くまを描いてくれる作家さんがいないかな~。一緒に飾ったらおもしろい空間になりそうなのにな~。」というのがあって、でも現実的にそういうコラボはなかなか難しいので、「自分でやるか。」という結論に。(「絵の作家さんのキャラクターを私がフェルトで再現」という逆パターンの展示は過去に何度か有り)
③については言葉どおりでもあるのですが、フェルトくまがご好評いただいているのをいいことに、ずーっとそればかり作り続けてしまいかねない自分がいて、挑戦をしなくなってしまいそうであることに危機感を感じ、敢えて違うジャンルにトライした、という次第。
・・・以上が「フェルト作家なのに平面の個展」の理由です。
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そしてもうひとつ。
「なぜ『絵』ではなく、『平面作品』と表記するのか」について。
手法
ここからは手法についての話も絡んでくるのですが、①の「憧れはあるのに描きたいものがない」と合わせて「描く」ハードルになっていたのが、「デッサンが嫌い」ということ。たとえモチーフが自分のフェルト作品であったとしてもイヤで仕方がない。
そこで今回編み出したのが、「フェルト作品の写真をコピーして切り抜き、直接トレースする」という方法。
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当然、絵としては邪道。
ならば「絵」を名乗ってはいけないのではないかと考え、ゆえに「平面作品の展示です」という曖昧な表現に。
完全に言い訳ではありますが、トレースしたとはいえ、その前の立体を作っているのは確かに私なので、相殺で考えていただけたら幸いです。
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ちなみに、木製パネルにモデリングペーストを塗って仕上げた下地は、「陶器みたいでかっこいいかも」という狙いもありましたが、それ以前に「水張り(紙に歪みが生じにくいように、一度水に塗らした紙をパネルに張り付けるという手法)」が大の苦手で、「それ以外の方法でいかにカタチにするか」というところから来た発想でもあります。
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「それ以外のやり方でいかにカタチにするか」
思い返せば私の人生はずっとこんな感じ。
辿り着きたい場所の前に立ちはだかる壁があったなら、それを乗り越えずに迂回するような。
着いた先は思い描いていた場所から多少ズレたかもしれないけれど、わりとこっちが合ってた…ということも。
(何の話をしていたのだっけ?)
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そんなこんなではありましたが、おかげさまでおもしろい経験ができました。
2023年のmetamorphoseにお付き合いいただき、ありがとうございました。