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勤め人卒業・はじめの一歩
「今日も朝から満員電車に揺られて出社、上司の顔色うかがいながら、もう何年目?」
そんな問いが頭をよぎるたび、あなたは心の中で小さくため息をついてはいないだろうか。
『オレ、(ワタシ)、このままずっとコマネズミみたいに走り続けるの?』と。
そろそろ“勤め人ライフ”の卒業を考え始めたあなたへ。
会社という大木の幹につかまっていたツタをそろそろほどき、自分の根っこで土壌にしっかり根ざそう――そんな「はじめの一歩」のヒントになれば幸いだ。
勤め人卒業って、どういうこと?
「勤め人卒業」と聞くと、いきなり会社辞めろ!独立だ!起業だ!とテンション高めに聞こえるかもしれない。
いやいや、ちょっと待ってほしい。
ここで言う「卒業」は「退職」そのものを意味しない。むしろ、「今までの思い込みや常識からの卒業」である。
勤め人=組織に属して給与を得る人
卒業=その固定観念を超えていくこと
この方程式は、別に職場のオフィスから物理的に飛び出す必要はない。
副業、フリーランス、パラレルキャリア、プロジェクト型ワーク、地域での小商い、オンラインサロン運営、スキル販売……やり方は星の数ほど転がっている。
要するに、「勤め人」というラベルで自分を縛りつけず、「自分は自分」というコアを軸にした働き方へシフトすること。
これが「勤め人卒業・はじめの一歩」である。
若手時代の夢、今こそリリース?
20代の頃、または新人時代、誰しも一度は「将来こうなりたいな」という夢や構想があったはずだ。
その中で、いつの間にか仕事や生活の慌ただしさに紛れて「まあ、そんな夢みたいな話はまた今度ね……」と後回しにしてこなかっただろうか。
気づけば20代後半、30代半ば、あるいは40代突入。
「あの頃のオレ、あの時のワタシ、どこいった?」なんて自問は、決して恥ずかしいことじゃない。
むしろ人生100年時代、この時点での方向転換は早すぎず、遅すぎず、まさに適期かもしれない。
「このまま、会社の船底に張り付いて生き延びるか、自分で新しいいかだを作り、未知の航路へ漕ぎ出すか?」
もちろん、いかだを作るには力仕事だし、風は向かい風かもしれない。
でも、立ち止まって目をこらせば、あなたが集めてきた経験やスキルは、意外といかだの材料になるはずだ。
英語が苦手だったのに海外顧客対応で鍛えられた?それは「異文化対応力」という木材だ。
残業地獄をなんとか効率化してきた?それは「時短テクニック」というロープだ。
上司・部下・同僚との板挟み経験?それはコミュニケーションスキルという頑丈な釘。
意外なほどあなたの船底には、いろんな道具が眠っている。
パズルのピース再構築
長い間、ただ一枚のジグソーパズル(=会社)を完成させるために駒を埋め続けたようなものかもしれない。
だけど、実はそのピース、一つ一つが他のパズル(=新しい働き方)にも使える“汎用パーツ”になっているかもしれないのだ。
時には、風変わりなピースが出てくる。
「あれ、こんな凸凹、どこにハマるんだろう?」と思うかもしれないが、社外やオンラインの世界にパッと目を移せば、そのピースを待っている人がいる。
ちょっとした記事執筆スキルが、他人にとってはまぶしい才能かも。
ちょっとした資料整理テクが、副業で事務代行サービスとしてキラめくかも。
パズルの世界は一枚きりじゃない。
いくつものボードが世界に散らばっていて、あなたは自由に渡り歩き、ピースを再配置できる。
勤め人卒業とは、パズルを一枚で終わらせず、あちこちで絵柄を描き足すような発想だ。
あなたは何から始める?
ここで少しあなた自身に問いかけてほしい:
「会社の外で、誰かに喜ばれることを一つ挙げるとしたら?」
たとえば、あなたがExcelマクロをちょちょいと組めるなら、「データ処理に困る誰か」の役に立てる。
あるいは、人の相談に乗るのが好きなら、SNSで悩める人にアドバイスを提供できるかも。「10年後、どんな働き方をしていたい?」
今はぼんやりでもいい。「朝は散歩して、昼に2時間集中して仕事して、夕方は家族と過ごす」という生活が理想なら、それを叶えるにはどんな仕組みが要る?「一歩踏み出すとしたら、明日何をする?」
いきなり辞表叩きつけなくてもいい。
まずは無料のオンラインセミナー受講してみる、SNSで自分の得意分野を発信してみる、本1冊読んで行動のヒントを探す――小さな一歩で十分だ。
これらの問いに明確な答えがなくても構わない。
重要なのは、“会社が指定する答え”から離れて、“自分で考えた答え”を見つけようとしていることだ。
「勤め人」卒業証書はないけれど
学校を卒業すれば卒業証書がもらえる。
でも、「勤め人卒業」には紙切れ一枚も出てこない。
唯一もらえるのは、あなた自身が掴む“自由と責任”だ。
これは、まあ文字で書かれた証書よりちょいと重い。
皮肉かもしれないが、その「重み」こそがあなたを強くする。
職場の誰も「おめでとう、君は勤め人卒業だ」とは祝ってくれないかもしれない。
だが、あなたが一歩踏み出した瞬間、心の中で「卒業式」の鐘が鳴る。
人間味ある繋がりを味わう
勤め人卒業の過程で面白いのは、組織を離れたり並行しながら動くことで、新たな人間関係が芽吹くことだ。
例えば、SNS上で同じ価値観を持つ人と出会うと、会社という垣根を超えたコミュニティが生まれる。
「こんな悩み持ってるの自分だけじゃなかったんだ!」と分かると、孤独感がスッと和らぐ。
人間味あふれる繋がりは、時に仕事の延長で、時に趣味仲間として、あなたを支えてくれる。
これもまた、「勤め人」枠を出て、「個人」としての存在を確立する醍醐味だ。
はじめの一歩は小さくていい
キラキラした成功ストーリーを期待していたら拍子抜けかもしれない。
だが、実際のところ、最初の一歩は地味だ。微かな足音だ。
けれど、その一歩を踏み出した瞬間、あなたの視界は変わる。
今まで踏みしめていたレールの外にも道がある。
その道は凸凹で、落とし穴もあるだろう。
でも、同時にあなたオリジナルの景色が広がっている。
読んでくれたあなたの中で、小さな火花でも散ってくれたなら嬉しい。
「勤め人」という看板を外す行為は、別に大げさな転職や起業でなくてもいい。
考え方をほんの少しシフトする、スキルを他所で試してみる、それだけで「卒業」は始まっている。
さあ、あなたは明日、何をしてみる?
たとえ今日はまだ何も思いつかなくても、このNoteを閉じた後、頭の片隅に「はじめの一歩」のヒントが転がっているかもしれない。
足裏でそっと感じ取って、踏み出してみよう。