ポジティブ ネガティブ

ポジティブになれ。よく聞く言葉だ。
自己啓発のコラムや本には、「前向きに、ポジティブに」という語源がほぼ100%入っている。ポジティブ思考は決して悪い事だとは言わないけれど、あんまり多様化し過ぎるのも問題だと思う。
便秘に対して「食物繊維を積極的に取れ」というが、取りすぎも便秘の原因になってしまうのと似たようなものだ。


ポジティブAさんとネガティブBさんの例
さて、一言にポジティブシンキングといっても、良い面と悪い面がある。以下の例を見てみよう。

ポジティブAさんの例
Aさんは楽観主義者で、細かい事は気にしない性格だ。生活で不要になったものを、ネットのフリマで売りに出していた。ある時、食器が売れた。お相手は丁寧な方で、評価コメントも非常に良い方だった。日頃の生活が忙しく、また、今日を逃すと発送がかなり後になってしまう。梱包の際によく見なければ分からない程の細かなゴミが付着していたものの、まぁいいか、とポジティブに考え、そのまま発送。数日後、受け取り評価を貰う。普通という評価ではあったものの、コメント欄には梱包時のゴミの付着及び食器自体にも傷跡が入っていたという。ポジティブなAさんは気にすることなく、次も似たような行為を行い続け、ある時運営側からアカウント停止を食らった。
ポジティブなAさんはこう考えた。
(たまたま細かい人に当たっただけなんだ。ちょっとやそっとの汚れとか傷なんか気にしないでくれていいのに。運営にもアカウント停止されちゃったけど、まだはじめたばかりだし、新しいアカウント作ってまたやればいいか)

さて、Aさんは確かに楽観主義で、細かい事は気にしない性格らしく、アカウント停止に対しても、まぁいいかで済まされている。
けれど、実際にAさんから品を買った立場の人からするとどうだろう?不愉快に思ったからこそ、指摘をしたわけである。改善の余地があると見込んでの事であろう。だが、それを軽く受け止められてしまうのは、実に腹立たしい事だ。もう二度と買ってやるもんか、と思ってしまう。Aさんは新しいアカウントでも同じことを続けるだろう。

では、別の例を出そう。今度はネガティブのBさんの話である。

ネガティブ思考Bさんの例
Bさんは、悲観主義者で、非常に頭が低く、他人に対して尽くさなければいけないという面がある。Bさんもまた、様々な品をフリマに出していた。ある時、ぬいぐるみが売れた。袋に入れてダンボール箱に詰め込むも、ちょっとした隙間があった。Bさんはせっかく購入してくれたのだから、と手紙と説明書きにはないお菓子も同封して発送した。受け取り評価は良いで、お菓子も喜んでくれたようだ。Bさんはその評価に気を良くして、どの製品にもお菓子を詰め込むことにした。だが、ある時に運営からアカウント停止命令が下されてしまう。誰かが説明書きにないお菓子を同封していることを通報したのだった。
Bさんはこう考えた。
(どうして?好意でお菓子を詰めて何が悪いの?だって、私なんかが手につけた品を、親切にも買ってくれた人に対して、その品物だけって申し訳ないじゃない。でも、通報した人が居るって事は、よく思わなかった人もいるって事だよね。次からは気をつけよう)

Bさんはネガティブ故に、見ず知らずの他人に対してもお菓子を献上してしまっており、今まではそれを良しとしていた所があるが、アカウント停止をきっかけに自身の行為が不快な人もいた事に気づき、今後は気をつけようとしている。
Bさんは何も相手を不快に思わせようと思って行っていた訳では無いので、すぐに改善出来るだろう。

貴方は品を買うとしたら、ポジティブ思考なAさんとネガティブ思考なBさんのどちらから購入するだろうか?
多くがBさんと答えるだろう。
このように、ネガティブ思考故に、優位に経つ事もあるのだ。

ポジティブとは? ネガティブとは?
私は心理学者でも精神医学に通じていた訳でもない。ここでは、大雑把に、受け入れられる事、自分の志次第で改善出来ることを"ポジティブ傾向"、受け入れられないこと、自分の力ではどうにもならない事、或いは改善出来る余地があるにも関わらず行わかなった事を"ネガティブ傾向"という事にしよう。
先にあげたAさんは確かにポジティブ思考ではある。が、他人の指摘や評価を受け入れず、同じ事を繰り返している。これは、ネガティブ傾向にある。ネガティブ傾向が続けば、反感を買い、いずれ誰にも頼られなくなり、ポジティブ思考ですら覆ってしまうだろう。
Bさんはネガティブ思考ではあるかもしれないが、間違った行為を受け入れ、改善しようとしている。これは、ポジティブ傾向にあると言えよう。ポジティブ傾向が続けば、周囲は優しさに包まれ、ネガティブも解消できるかもしれない。

ポジティブ傾向であれ
ネガティブは決して悪いことでは無い。むしろ、細かい点に気づくといった点では良いものと思われる。けれど、行き過ぎたネガティブは周囲をもネガティブにしてしまう。
また、自分を守る為だけのポジティブもあまり良くは思われないだろう。人は、努力をしている人を応援したくなるように出来ている。
思考はネガティブでもポジティブでもどちらでも良いのだ。その時のミスや出来事を真摯に受け止め、ポジティブ傾向で考えられるかが、周囲との関係を良くするカギになるのではないかと、私は思っている。

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