誰が僕に許可を
閉館後の図書館を見回り、残っている人がいないかを確認する。
“この後清掃が入ります!お早めにご退館くださーい!”
もぬけの殻、吹き抜けのフロアにこだまする声。
8月は思いがけず精神的に不安定になってしまい、地に足のつかない生活をしている。
本当に、”テレスコープ”を完成させるという目標が日々に張り合いをくれていたんだと実感する。
心が弱っているときは、言い訳をしたくなるし、誰かに何か言って欲しくなる。
“そんなんじゃダメだよ”
“いつもがんばっているね”
“アルバムもできたし少し休みなよ”
“みんなもっとがんばってるんだからやりなよ”
なんでもいいから声をかけてほしい。でも、結局それは僕の心の奥底までは届かない。
誰かに許されるのではなく、僕は僕自身に許されなくてはいけないからだ。
僕は僕を許せたことが一度だってないような気がする。
僕は、僕の監視から逃れるために、ひどい人間になってしまうんじゃなかろうか。
なにもせず不貞腐れるような、そんな人間になりかかっているような不安にかられる。
だだっ広い図書館に反響し僕の耳に届くのは、やはり確かに僕の声である。
憔悴しつつ秋口へのパスポートを更新、滑走路には動かなくなったセミが何匹も横たわる。
シートベルトを閉めろ。はらわたが飛び出るほどに。
「スキ」を押して頂いた方は僕が考えた適当おみくじを引けます。凶はでません。