旅先の枕でスヤスヤ寝てみたい
ここだけの話、寝るのが下手である。僕のトンチキな名前とギャップがあるので、事務所から口止めされている。内緒にしてほしい。
特に、いつもとちがう環境だと拍車がかかる。友達の家や旅先の旅館、なかなか寝付けない。
そもそも、なにかに100%身体を預けることができない。以前マッサージに行ったとき
「楽な姿勢になってください」
と言われて、
(楽な姿勢、、、とは??)
と思った。自分なりに身体の力を抜いてみたが、それでもガチガチ。マッサージ師のおにいさんはずっと腑に落ちない様子だった。
またあるとき、美容院にて、シャンプーをしてもらう。うなじの泡を流すために、頭を持ち上げられる。
(いま、頭のチカラを抜いたらどうなる?地球が爆発するのでは?)
と思いながら脱力してみたところ、頭を誰かに支えてもらう新鮮な感覚だけが残った。リラックスというより実験だ。
これは僕の性格に起因する。
人に甘えることができない。そうしたいときでさえ、心のうちを全部打ち明けることができない。
誰かに優しくすることはかなり得意なのだが、優しくされたときにどうすればいいかわからない。
(どうして僕にそんなに優しくしてくれるんですか...?いいんですか...?まじで...?)
という気持ちになる。
これは卑屈とは違う。本当に、身の委ねかたがわからない。誰かの心に触れるのは立派な旅行である。
ごくまれに、僕の人生に染み付いたホスピタリティを捨て去り、自分の心のうちを他人に聞いてもらえたとき、それでしか得られない安心感をもらえる。
ひとを信用するとはどういうことだろう、と考える。
また夜が更けた。さっき電話で僕の話を聞いてくれたあなたにお礼を言う。ありがとう。
「スキ」を押して頂いた方は僕が考えた適当おみくじを引けます。凶はでません。