落ち着け
昨日一人で用ご飯を食べた。
ラーメンが無性に食べたくなって
山岡家に入った。
普通、多め、濃いめ。
カウンターで着丼を待つ。
横にはサラリーマン2人。
会話が嫌でも入ってくる。
病気持ちで不安定な職に縋る私とは生きる世界がまるで違った。
朝が早い、お茶汲みのあの子が可愛い、
昇給した、ボーナスの話、取引先の話。
もし、19歳の私が難病を発症していなかったら。
なんてね少し考えてしまったよ。
いじめたりしてきた奴らに
立ち向かうにはキャリアで勝ちたかった。
収入で勝ちたかった。
海外に行ったり、ブランドもので身を固めて
スーツをビシッと着て
CHANELに取り憑かれた黒髪のロングを靡かせて
ツカツカと都会の汚れた空気を肩で切るような
かっこいい女の子になりたかった。
現実の私、髪の薄さを気にしてエクステをつけて
濃い化粧で嫌いな顔を誤魔化して、
体型を隠すプチプラの服を着て、
毎週のように病院へ行って、
支払いに追われている。
たまに行くライブと猫が生きがい。
温かい家で、雨に打たれないで
誰も私に罵倒しないで、
擦り寄ってくる猫とうたた寝できるだけで
幸せで、それ以上に望めない現状。
吐かなくていい、寝てもいい、
太った私を可愛いと抱いてくれる人がいる。
全て失ったような気持ちだった日々から
脱却して、ゆっくりと流れる時間を
体全体で受け止めることが出来る。
生涯、難病と付き合っていかなければならないけれど
人の温かみを知るには必要な過程だったのかもしれない。
死にたいけれど、
生かされている身体。
無理、無茶はできないけれど
誠意を持って今日も生きる。ありがとう。