2024俳句（随時更新）
1月 8句
山茶花は詩になりかけてゐる光
年賀状胃癌完治の漢字四字
文旦をもらふ坊つちやん列車かな
香水瓶：人に翼がない理由
おでん買ふ好きな人には好きな人
人はしょせん水のかたまり梨しゃりり
セーターや実存尖らせて渋谷
書初のひかり背中といふ蕾
2月 9句
短夜やこれは性愛かつ純愛
ときどきは我儘を言へふぐを食へ
嫌ふなら嫌へよ俺は牡蠣を食ふ
性別をはみだしてゐる石鹸玉
走り込み百本終へて秋の鳩
日常を括弧に入れて探梅行
亀鳴くや攲てば南無阿弥陀仏
踏めばラの音の鳴るなり厚氷
死ぬことをためらふ無人駅の藤
3月 12句
むらさきの野に種馬の脚赤し
淋しさのきれいに揃ふ内裏雛
ごみ袋に折り鶴透けてゐる寒さ
売るまへのギターを磨く良夜かな
割れてこそ恋割れてこそ石鹸玉
地獄・餓鬼・畜生・四万六千日
路上孤児のまなこ炯炯寒鴉
さへづりの陽や生ハムへオリーブ油
石鹸玉ブルーシートの屋根を越え
春塵降る虎の咆哮として降る
アカウント消して四月の顔となる
受験果て鉛筆臭き指の腹
4月 11句
並べるも蔵ふも淋し雛祭
桜餅黒田杏子の忌であった
水といふ膚ふつふつ寒造
うぐひすといふ明るさの伽藍かな
希望物件：窓からミモザ見える家
漱石の句を諳んずる柚子湯かな
雀荘の窓へ夜桜押し寄せる
命名の墨痕淋漓さくらもち
囀や笛になる骨ならぬ骨
マシュマロも嘘も花菜も蝶となれ
婚礼の影長くして沖霞む
5月 12句
花の句を誰も詠まざる花見かな
永き日の降車ブザーの間延びかな
「次、止まります」あの冬帽はきっと父
ラガー等の痣の多さを讃へ合ふ
くびすぢを一滴の海洗ひ髪
夏鴨が憎い無職の俺が憎い
秋風鈴外し葬儀の日は未定
鮎饐えて大凶時となりにけり
秘してこそ恋吹いてこそ石鹸玉
釣り人にのつぴきならぬ棚霞
山笑ふ誤植のやうな鳥のこゑ
多佳子忌の炎ゆるごと青アイライン
6月 13句
七十が八十の髪洗ひけり
そら豆そら豆愛は小出しにしてなんぼ
さみしさの反証として蜂を飼ふ
抹茶パフェ二塔薄暑のカフェテリア
宗教の勧誘アイスティーぬるむ
風鈴が好きこの町の風が好き
はつ夏の風駆け抜ける材木店
胎内記憶話し出す子や青田波
かたつむり地球の膚をさびしめる
青空教室チョークの禿びていく薄暑
片言の現地語で買ふサングラス
山笑ふ希臘の神は素つ裸
日雇ひを終へて働く蟻を見る
上半期自選10句
春塵降る虎の咆哮として降る
NHK俳句「春塵」特選二席
山笑ふ誤植のやうな鳥のこゑ
俳句ポスト「山笑う」秀作
性別をはみだしてゐる石鹸玉
句具句会・春 106点句
むらさきの野に種馬の脚赤し
一句一遊「獣交む」金曜日
アカウント消して四月の顔となる
青嵐俳談・嵐を呼ぶ一句
多佳子忌の炎ゆるごと青アイライン
青嵐俳談・天
そら豆そら豆愛は小出しにしてなんぼ
ひめゴジ！兼題「空豆」放送句
胎内記憶話し出す子や青田波
聞ける俳句優秀句
ごみ袋に折り鶴透けてゐる寒さ
俳句生活「寒し」地選
ラガー等の痣の多さを讃へ合ふ
一句一遊「ラ」銀曜日
7月 13句
肉欲や網戸に足の指届き
補聴器の拾ふ葉桜の脈拍
今世の蚊今世の母とすれ違ふ
緑雨打つ柳小路の甃
蜜豆へ蜜海猫のよく鳴く日
夏の海みづ集まれば縹色
夕涼やベンチに残る木の記憶
家の灯のつぎつぎ消える夜の秋
老鶯や日照雨走れる伊吹山
白靴の白極まれる孤独かな
短夜の鎖骨に海をかがやかす
もういつそ独身で佳し白粉花
蓮咲くやピアノの弦の切れる音
8月 14句
重油まみれのウミガメ洗う夏休み
酢醤油の光の束のところてん
短夜や「る」から始まる言葉攻め
太陽のよく働けるビヤホール
原爆忌塩を荒々しく使ふ
くちなはのくちなはとなるまでを雨
詩を生んでやすらかな肺俳句甲子園
秋の夜の規則ただしき心電図
夕焼やガードレールの端に帽子
大筆を買ふ爽涼の鳩居堂
三十が父の晩年竹を伐る
吾亦紅敬語に戻る別れかな
母を捨て弟を捨て吾亦紅
夏休み海は未完の物理学
9月 16句
アンガーマネジメント鶏頭を数へよ
国際電話切るや白夜の窓ガラス
海水着影も一緒に干されけり
ゲバ文字の号外配る大暑かな
二十万握り家出や夜の蝉
夕立や苔いきいきと西芳寺
セロハンの黄ばむ白露の文庫本
九条の国枝豆のよく弾け
名月と馬の妊娠鑑定書
牛の眼に馬の眼に虹立ちにけり
鳩を蹴散らし六月の足淋し
肉体を邪魔だと思ふ昼寝覚
南風吹く貝殻骨に炉のにほひ
膕に日のこぼれくる茸山
木々のこゑ風のことばに茸育つ
炉心棒めく八月のバナナかな
10月 11句
双六の同性婚という権利
お団子は夕暮の味墓参り
デジタルデトックスてか今日満月じゃん
コスモスの野や馬の眼の澄みわたり
フリーター十年目コスモスゆれるな
ドツペルゲンガー現れる村祭
冬隣ホッキョググマの毛は透明
白桃を剝く臆病は昨日まで
風の詩を書き込むノート大花野
松山の冬青空の無縫かな
夕暮の色を色鳥奪ひ合ふ
11月 21句
モンブラン崩す護憲派改憲派
あけぼのの色に新米炊き上がる
とんばうに遅れて匂ふ潦
印泥の硬き芭蕉の忌なりけり
芭蕉忌の硯の海の匂ひかな
一度敵に負けるヒーロー枇杷の花
石榴酸し職歴欄のがらんだう
カミングアウト餃子の皮の林檎パイ
独身愉し豆腐のための柚子刻む
いちまいの秋蝶を率る旅路かな
両の乳あらはに熊の裂かれゐる
ふるさとの酒を案山子にしたたらす
故国喪失空港に星流れ
監督の顔を外して夜食かな
実存や酢豚に入れるパイナップル
秋蝶の影を栞として挟む
赤味噌を溶かす秋思のおたまかな
悴めるてのひらへ消しゴムの滓
花八手数の掠れる風呂屋錠
白浜の化石漣痕星月夜
銭湯の最後の客となる夜長
12月 21句
未来変えたしみんなに渡す櫟の実
魚の目のくりぬかれたる秋の暮
アルバムのみな横顔や寝酒酌む
火恋しソドム・ゴモラの裔なれば
仏性は牡丹焚火の鳩羽色
タクシーを急かし氷霧の大通り
チーズとワイン雪の夜に書く返信
鳥渡る退職の日のフランスパン
削蹄を終へ木枯の芯に入る
大根サラダ同棲まではいかぬ恋
蕪おいしい誰からも愛されずとも
餅花の揺れる松の間楓の間
恐竜の糞てふ石や冬あたたか
立秋のキリンの首ののばしかた
ドアベルのからんと処暑の珈琲店
鳩の死の肉見えてゐる寒露かな
めんつゆに溶かす白露のわさびかな
霜降の記念切手を少し舐め
パートナーシップ三年目の聖菓
十七条憲法正倉院曝涼
弱冷房車字画の太き吊り広告
下半期自選10句
夕涼やベンチに残る木の記憶
NHK俳句「涼し」特選
原爆忌塩を荒々しく使ふ
おウチde俳句くらぶ「ニースの塩」地選
夏休み海は未完の物理学
俳句ポスト365「夏休」佳作
炉心棒めく八月のバナナかな
俳句ポスト365「八月」特選
セロハンの黄ばむ白露の文庫本
夏井いつきの一句一遊「白露」金曜日
仏性は牡丹焚火の鳩羽色
夏井いつきの一句一遊「牡丹焚火」銀曜日
松山の冬青空の無縫かな
道後温泉 いよぎん句会ライブ 入選
大根サラダ同棲まではいかぬ恋
青嵐俳談 入選
双六の同性婚といふ権利
青嵐俳談 嵐を呼ぶ一句
総括
１６１句
俳句ポスト365
並３ 佳作７ 秀作１ 特選１ の大躍進
俳句生活
人１１ 地１
俳句道場
佳作２ 秀作８
夏井いつきの一句一遊
獣交む 金曜日
ラ 銀曜日
夏の鴨 水曜日
俳句甲子園 金曜日
白露 金曜日
牡丹焚火 銀曜日
寝酒 水曜日
条 虎の巻
おウチde俳句くらぶ
モンゴルのいぬぞり ハシ坊→人、並
松山の路面電車 ハシ坊→人、人
蚤の市 人、人
お腹がすいてましたので 人、人
降車ボタン 人、人
花屋さんのなかのカフェ 人、人
京都の屋台 ハシ坊→人、人
ニースの塩 人、地
深夜のドライブイン 人、人
コスモスと浅間山 人、人
鍋一杯の柚子ジャム 人、人
ブルガリアの道路 人、人
青嵐俳談
天１ 人１（＋同時紹介１） 嵐２ 入選２３ 計２８