ガジェット:会社の壊れたPCを直そうとマザボを買ったら、微妙に間違えたので力技で修正して流用できた(した)話。
どうもお久しぶりです。にわかストリートジャンカーの素浪汰 狩人です。
今回も、貧乏会社の倉庫に眠っていた予備PCをリフレッシュするために、安い部品と手業をチマチマと効かせるそんな奮闘記であります。
過去記事
結論と教訓
まずはこの記事で分かる結論と教訓を先に言っておきます。
結論:メーカー製PCのハンダは結合力クソ強い。ヒートガンで焙るなら、基盤を焼き尽くす覚悟で最高火力をぶつけ、力技で部品を引っこ抜け。
教訓:基板から実装部品を抜く時は、盛りハンダを必ずやろう。道具類を揃えるのが面倒だけど、結局ハンダを盛った方が手っ取り早く片付く。
当然ですが、熱したくない部品は必ずテープで養生しておきましょうね。
前回、スマートフォンのマイクロUSB端子を素人工事で交換した時には、DIYコーナーで買った耐熱アルミテープのみで養生を行いましたが、今回は電子工作で多用される耐熱・耐薬・高耐久のカプトンテープも併用します。
どういう風に使うかは、後で実例を写真にてお見せしますね。
取り敢えず、一言だけ言わせてくれ。
疲れた。
猛烈に疲れた……。
だってもう、マザーボード(以下マザボと記す)のハンダ、これが全っ然溶けねえんだよ……焙っても焙ってもカッチカチでやんの。銀ロウ(※)か何かでくっつけてんのか? って聞きたくなる。信じ難いほど溶けない。
(※銀ロウ……ナイフの刃と柄を固定する時などに使われる接着剤の一種)
皆さんも想像できると思いますが、精密機械に高熱はよろしくないです。部品の脱着のために一部分を焙るとしても、板状の基盤に連なっているなら高熱は伝播するため、養生したとしても焙りには悪影響があるはずです。
熱の何が駄目なのか? ですね。勿論、実装部品の合成樹脂や金属部分がダイレクトに壊れる可能性も排除できませんが、ヤバいのはハンダですね。
ハンダ。つまり、実装する部品と基盤の電子回路を繋ぐために使われる、溶けやすい金属ですね。要らない部品を除去するためには、ハンダを溶かす必要があるのですが、そのために要る部品のハンダに異常を来したら困る。
ハンダクラックなどと言って、必要な部品のハンダがヒビ割れたりするとそこから先に電気が流れなくなる。機械の動作が不安定になるわけです。
直すための作業で壊しているようでは、どうしようもありません。
だから「養生」と言って、高耐久のテープで大事な部品を覆うのですね。
で、熱の被害を最小限にした上で、焙ってる時間も最小限に抑えたい……ワケなんですが、そんなヤワなことを言っていたら作業が進まない!
どうすりゃいいんだかねえ。
結局、最後は……まあ3,000円で買った中古部品だし、壊してもええかw てなもんで開き直り、部品がぶっこ抜けるまで焙り続けることに。
焙りにはヒートガンという工業用ドライヤーを用いて、素手では触れない温度まで部品を加熱しますが、慣れてない身には壊してないか心配ですね。
まあ何事も経験だな。
経緯
会社のPCが古すぎ性能悪すぎでオワコン! ついでに耐久年数も近づいてやばたにえんの無理茶漬け!(死語) でも買い換えるお金は無いよ!
だったらどうする? 節約して延命するしかないっしょ。
そういや、倉庫に使ってないPCが眠っていたよな。確かCPU不良だとかで放置されたIntel 第4世代の富士通ESPRIMO(我が会社は富士通派なのだ)。
そのPCも実を言うと、捨て値で仕入れた中古PCだったのだ。結局のところ動かなかったから死蔵してたんだけどね。だから格安の中古PCはやめとけとあれほど。私がそいつのCPUを変えて生き返らせようと思ったワケよ。
イェィイェィ、てなわけで買ってきましたCore i7-4770。Passmarkスコア7,000後半と、第12~13世代ローエンドの半分ほどではありますが、実用は何とかこなせる程度の性能です。そのお値段、5,478円(4,980円税別)。
この世代のi7、ネットオークションで買うと地味に高いねんな……。
が、しかし……残念! 彼はマザボに取り付けても動かないのであった!
何でや(何でもクソも無い)。
Core i7の故障が疑われる石は、3770でも一回当たっているので今更という感じではあるが……だが私の中のケチクサ根性が負けを認めないのですね。
「ヘイ、待てよ。そもそも大元のマザボはCore i3-4160で故障だったよな。だが待ってほしい。i7ならともかく、オーバークロックもしてないi3程度の負荷でCPUが壊れるか? 考え難いだろ。まだマザボ故障のが在り得る」
ということで、メルカリへGO。互換品のマザボが3,000円(送料込)。
安い! 安い! ジッサイ安い! ああもう購入だ!
届いた、組み替えた、動いた。やっぱマザボ故障だったじゃんね。
とホクホク顔で腕組みして頷いていたのも束の間。別の問題が……。
なんかこのマザボ、部品多くね?(笑) USBは一部3.0だし、よく見りゃPCIスロットもついてるので、Xeonとグラボの組み合わせもできる(けれど消費電力が……こいつの電源は230Wしか出せないから無理はさせられん)。
しかし、型番は同じ「JIB85Y 12058-1M」で、第4世代 Intel製CPUが使えてちゃんと動作もしたじゃないか。何で実装部品が同一じゃないんだ?
こちらが故障したマザーボード。バックプレートが外れることに気付く。
交換用に買った中古マザボ。ま、部品が多いからバックプレート流用など出来るわきゃありませんな。……うっわ、やっべ私やらかしたかも知らん。
慌てて型番を確かめる。
購入したマザボ、富士通ESPRIMO D583/J(2014年5月発表のモデル)
直すべきマザボ、富士通ESPRIMO D552/KX(2016年1月発表のモデル)
草ァ! 1年以上世代が古いPCのマザボやったやんけ! 動くけど!
マザボの型番しか見てなかったからガチで気が付かんかった。こんなんで逆によー動いたな。びっくりするで。余談だが、ESPRIMOの電源ユニットは第3世代以前と第4世代以降でプラグ形状が変更され、部品が使い回しにくくなっているため、マザボの選定には熟考を重ねたはずだったのだが……。
型番ミスとかいう初歩中の初歩のポカミス、やっちゃうんだよなあ。
こりゃ買いなおすべか? 再びメルカリ、そしてヤフオク。
D853/KX用の中古マザボは……6,000円台か……2倍の出費……正確に言うと、ハズレ部品の3,000円も加えて3倍の出費なんだけど。あと送料は別だし。
いやーキツイっす(素)
ここで私の脳内のドケチ回路が、ある一つの仮定を導き出した。
その邪魔な実装部品……ヒートガンで焙ったら取れるかも知れませんよ?
何という最高の着想。部品配列はほぼ同じなので、バックプレート換装の邪魔をしているRS-232(シリアルポート)9ピンと25ピン端子を外したら、上手いことバックプレートを流用して、PCに装着できるかもしれんなと。
そうそう。どうしてバックプレートを流用したいのか……なんだけど。
PCの背面を被覆しないと、ガバガバどころかスカスカ、PCの末路みたいな見た目になってしまい、コーヒーでもぶっかけた時は終わるんですね。中で作動している電子部品に、水分を直でぶっかけて即ぶっ壊してしまうのだ。
さすがに、電子部品に覆いを付けないなんて安全上ありえないからね。
それ以上に問題なのは、CPUクーラーを締める四隅のネジ、これがバックプレートに直付けされる構造になっており、マザボだけを強引に組み込むとCPUの冷却が追い付かないのでは疑惑が生じるのだ。TDP 85Wといえども、腐ってもCore i7……必要最低限の動作中の冷却ぐらいはやらないとなあ。
でも、そのままじゃ流用は効かん。じゃあ、やるか? やるか……。
やるしかねえか(諦め)
作業
やった。とはいえ、先にも述べた通り、精密機械の繊細な基盤をいきなり熱風で焙るわけにもいかない。熱の影響を和らげる小さな工夫を凝らす。
この黄色いのがカプトンテープですね。YOUTUBEの電子工作動画で頻繁に出てくるセロテープみたいなやつ。一巻きで2,000~3,000円とクソ高価。
アメリカ人の大好きなダクトテープ……の親戚っぽいアルミテープ。一応3Mか何かの、耐熱性が高いタイプを選んでいる。1,300円ぐらいしたかな。
必要な端子には全部アルミの被覆で養生し、絶対に熱で溶かさない意志。つーか2014年や2016年にもなってシリアルポートなんか……私の高校時代にワープロ部で使ってた古いプリンタが、辛うじてシリアルポートだったのを思い出すな。転送速度はクソ遅く、印刷速度もクソ遅い。競技会ではうちの学校だけ入力原稿の印刷に時間がかかり、恥ずかしかった記憶がある。
こんなクソ端子、今の時代に必要ねえよ。YOU ARE FIRED!
見た目は完全にドライヤー。でも300度ぐらいまで加熱できる優れもの。それがヒートガン。当然、人体にはバリバリ悪影響があるので、間違っても髪を乾かすために使ってはいけない。黒焦げの天然パーマになっちまうぞ。
何だこいつ、全然ハンダが溶けねえぞ。でもハンダごてを取りに行くのは面倒臭いからヤダ(笑) 業を煮やし、基板上に直接ハンダをぶちまけるとヒートガンで熱するという荒業に。だが全然、追いハンダ盛りハンダの量が足りない! 一回冷やすか。もっと、もっとだ、ハンダを盛りまくれ!
クールダウンするとハンダを盛り直し、再加熱。力づくで引っぺがす! この際だ、基盤のパターンが剥がれるとか気にするな! ぶっ壊すつもりでヤッチマエー! ブッチ、ブチブチッ! ブリュリュリュリュ!(迫真)
……成し遂げたぜ。シリアルポート2つを、何とか除去に成功した。
な? 無くなっとるやろ? 一番左で見切れた空きパターン(9ピン)とDVI-D デジタル(白)・D-SUB アナログ(青)の背後に隠れた空きパターン(25ピン)の2つ。これでD583/Jのマザボを、D552/KXのバックプレートに組み込むことが可能になっているハズだ。ハズね……いや本当に頼んます。
USBポートの、ヨコ3列に並んでる左の1列は、バックプレートでピッタリ覆われる配置になると思われるため、敢えて加工せずに残しておいた。多分問題は無いと思うのだが。これ以上ヒートガン作業はしたくないのである。
多分OKっすね。後はバックプレートとマザボをネジ込んで完成かな。
旧世代の遺産が、手こずらせやがってクソがよ。
というわけで、何とか不要部品を外すことには成功したが、正直に言うとこのマザボがまともに動くかかなーり心配なんですね……。形にはなったが動きません、ではイカンわけで。上手くいけば、これが一番安上がりかなとポジティブに考えることにしました。動くかな……また明日試さないと。
今日は疲れたからもう寝ます。さようなら、さようなら、さようなら。
読者諸兄諸姉の電子工作ライフの何かご参考になれば幸いですた。
最後に一言。補修部品を買うときは、使いたいモデルと詳細な型番までを厳密に確かめようね! 最悪、流用が効かないで買い直す羽目になるぞ!
ていうか、良い子のみんなはお金をためて、大人しく新型を買おうね!
私から言いたいことはそれだけだ。以上、ごきげんよう!
【ガジェット:会社の壊れたPCを直そうとマザボを買ったら、微妙に間違えたので力技で修正して流用できた(した)話。 おわり】