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煙草:理想の煙草を求めて。ギリシャのオリエント・ブレンド+レアな輸入煙草

おことわり:この記事はタバコについて書いてある。未成年向けの記事ではないのでご注意されたし。

(注意:記事の一部に、気分を害する画像が含まれています)

まえがき

心身健全なる非喫煙者の皆様方、そして親愛なる不健康な喫煙者の皆様方、いかがお過ごしでしょうか。どうも、slaughtercult(喫煙者)です。

大晦日にギリシャのネットショップで爆買いした舶来タバコがそろそろ底を尽きそうな頃合いなので、忘れる前に感想を書き残しておく備忘録です。

海外から個人輸入してまでタバコを手に入れたい奇矯な方には、この記事が何らかの参考になる可能性が微粒子レベルで存在します。余り期待せぬよう予め断ってはおきますが、真似する人など居ないでしょうから心配無用か。

つーか、注文したのって大晦日か。コロナ騒動の配送遅延で、実際到着した日付は2月初旬だったのですが。それでも今は4月ですぜ。光陰矢の如し。

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明細書は部分的にギリシャ語が入り混じり、胡散臭い雰囲気だが気にしてはいけない。しかもうち二種類は頼んだ物と違う物が入っていたのが面白い。

因みに送料込みの総額で、76.10 EUR(×130円)=およそ9,893円

・KARELIA ΧΡΥΣΗ ΚΑΣΕΤΙΝΑ ΣΚΕΤΟ(4.80 EUR)⇒入っていたのは4.30 EURの『KARELIA Χρυσή Κασετίνα』(※GEORGE KARELIAS AND SONS)か?

・ROTHMANS ROYALS(5.10 EUR)⇒入っていたのは4.80 EURの『ROTHMANS ΜΠΛΕ』(※ROTHMANS KING SIZE)だった。

在庫が足りなかったのか、ちょっと安い銘柄を無断で突っ込んで来る辺りにラテン的な能天気さとビミョーなセコさを感じるのだが、その割には出荷の遅延を詫びるメールと共に、ポールモールをオマケでつけたくれたり。

もう何なんだよ。いや本当に面白ェな。田舎の雑貨屋レベルの適当さ。


1.キャメル(CAMEL CIGARETTES)※画像無し

オススメ度・★★☆☆☆ 『Not bad. But no surprises.』

まず皆さん『両切り』って知ってる? フィルター無しの紙巻きタバコね。

英単語『CIGARETTE』は現在、紙巻きタバコ全般を示すが、厳密な意味ではフィルター無しの紙巻きタバコのみを指す。紙巻きには元々フィルターなど付いていなかったから当然だ。フィルター付きのシガレットの呼び方ならば読んで字のごとく『FILTER CIGARETTE』だ。以上、どうでもいい予備知識。

てなわけで、日本では流通していない両切りのキャメル。製造国は不明だがJTI製で、国内で流通するフィルター版と同様、トルコ製なのではないか。

(註:キャメルは元々、米国RJレイノルズ製。現在は米国外の市場において日本のJTインターナショナルが、国外工場にて製造を請け負っている)

これは我が家に到着すると、いの一番に開封して吸ってみたが、予想以上に期待外れな味で残念だった。ていうか期待し過ぎだった。私が知らぬ時代のキャメルのオリエントブレンド神話のせいで、ハードルが爆上げした感。

よいか……製造会社が変わり……製造国が変わり……パッケージが変わった……そんなタバコは最早、今までの物とは全く別物なのじゃ……努々忘れるな。

余りに残念過ぎて、包装紙すら残す気にならずに捨てたので、個別の写真は残っていなくて済まない。まあ端的に説明すると、現状わが国でも流通するフィルター版を両切りにしただけの、しかも両切りのくせに煙がやけに薄いただのアメリカンブレンド。これならわざわざ両切りを買うまでもない。

あとJTには申し訳ないが、現行のトルコ製キャメル、低価格路線に変更した反動なのか味わいが凄く安っぽい。トルコ製ということでターキッシュ葉を使ってるんじゃないかと一瞬覚えた期待も吹き飛ばすくらい。そういう物と理解した上で吸うなら決して悪く無いが、でも私ならウン十円か多く払ってウィンストン・フィルターの赤箱、ソフトパックを買うと思うけど。

残念だが、ただのアメリカンブレンドなら代わりは幾らでもあるからなあ。だが、残念ついでにラッキーストライクの両切りもいつかは味わってみたいものである。勿論、得体の知れないフィリピン製をね(全く懲りてない)。


2.ダンヒル・インターナショナル
(DUNHILL INTERNATIONAL)

オススメ度・★★★★☆ 『Great! Thumbs up!』

この銘柄は私が煙草を吸い始めた10年前(その時代はまだ5chが2chで、私は煙草スレ『間違いだらけのタバコ選び』にハマって色々なタバコを試したり廃止された峰やチェリーに想いを馳せたりしていた)から、試してみたいとずっと考えていた物だ。実を言うと、アジア圏からの海外通販では韓国製を購入することが出来たわけだが、どうせ吸うならヨーロッパ製が欲しい。

このダンヒルというブランドのタバコは、紆余曲折ありつつ現行ラインでのヨーロッパ製はスイスで製造しているはずである。アジア圏に供給する物は前述の通り、韓国で製造した物だ。日本国内で流通している物に関しては、韓国製とスイス製と二種類が混ざっている。これも情報が古いので、現在はどちらか片方に統一されたかもしれん。通常モデルと『ファインカット』と別れていた時代は、通常が韓国製でファインがスイス製だったけどね。

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「たばこくちゃい!」なマザー&ガールの画像。子供が居るところで煙草を吸ってはいけない(真顔) ギリシャもまた写真付き警告文の国なのだ。

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銀紙で10本ずつ、左右で20本に分かれた正方形の箱。これは輸出向けである『インターナショナル』版のタバコの一般的な包装スタイル。日本において一般的なスタイルとは言い難いけれどね。この形状、私は結構スキである。

味は何とも素晴らしい。原則的には、1項の『キャメル』と同様のいわゆる一般的な『アメリカンブレンド』だが、ハッキリ言ってJTI製の現キャメルを比較の対象に出すのも申し訳ないくらいに、風味に成熟を感じられる。

いやな……現行のJTI製のキャメル、吸ったことある人、分かるでしょ?
数年前に流通していた『キャメル・ブラック(&ホワイト)』を始めとするドイツ製シリーズじゃないですよ。あれは箱のデザインがお洒落であるのは言うまでもなく、味の方も割と良く出来たブレンドであり、このダンヒルと比較する価値のある銘柄である……あった。もう消滅した銘柄だかんな。

キャメルの愚痴とかどーでもいいんだ。ダンヒルね。日本でも流通している低タール版の銘柄は、昔吸った感じ巻紙の匂いがキツく、低タールのせいで味わいもペラく低評価だったが、このインターナショナル版はGOODだ。

恐らくユーロのタバコ規制で、この銘柄もタール1.0mg/ニコチン0.8mgに弱体化されているはず(ほぼ間違いない)なのだが、予想される薄っぺらい煙の感触を一回り飛び越える、上品さと外連味を兼ね備えた香味がある。

これにはさしもの煙草にウルサイ私も、さすがは王道と認めざるを得ない。何を偉そうに。だが事実である。5.10 EUR(663円)の値段はやはり高いが韓国製を輸入するなら、もう少し安価に手に入る可能性もある。ユーロ製と味が同じという保証は無いが。惰弱な輸入タバコの中で、頭一つ飛び抜けた優秀な味を今なお有する、他人にも充分に勧める価値のある物の一つだ。


3.ロスマンズ・キングサイズ
(ROTHMANS KING SIZE)

オススメ度・★★★★★ 『Silky like the velvet! Magnificent!』

ロスマンズ・ロイヤルと間違えて送られてきた分ね(苦笑)。しかし結論を言ってしまえば、これが想定以上にドハマり。いやータバコ吸ってて久々に脳天直撃のクリティカルヒットを受けたでござる。大丈夫? これT/N値の設定を間違えて規制値以上にしてない? そう思えるほど風味に不足なし。

このロスマンズという銘柄、実に曲者であり、日本で手軽にアクセスできるアジア圏からの個人輸入では軒並み扱っていない銘柄なのだ。欲しい場合はユーロ/アメリカ圏から取り寄せる必要がある。ダンヒルと同じBAT系列の煙草なのだが、韓国でライセンス生産されていないのだ。何でだろうな?
北の将軍様が欲しがって、南に浸透工作してゲリラ戦しちゃうからかな?

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ロダンの『考える人』バリに変なポーズ。股間は隠れているのでご安心だ。上記のダンヒルと似た獅子と縦の紋章がカッコイイね。ダンヒルやJPSなどイギリス起源の煙草ブランドは、みんなデザインに気品が感じられる。

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何の変哲も無いキングサイズのタバコ。オサーンの裸体は見ないふりをして火を点ける。どうせ惰弱なユーロ煙草なんでしょ? とか思っていると……思った以上に味がする!(軽いけど)しかもミルクティーみたいに甘い!

ロスマンズという銘柄、キングサイズは廃止されて久しいが、私がタバコを吸い始めた頃は、120Sという超ロングサイズの『ロイヤルズ』という代物がギリギリ存在していた。私が模型屋の店頭で見かけて、タバコを吸い始める切欠にもなった思い出深い銘柄だ。それから暫くして廃止になったけどね。

2chの煙草板で、その『ロスマンズ・ロイヤルズ』を称える謳い文句として言われていたのが『ミルクティーのようなまろやかな香味』なのである。

しかしそのロイヤルズも、末期にはユーロ規制の煽りでT/N値を減らされ、生産地も変更となって味が変わってしまった。同時期に吸っていた他銘柄のダヴィドフ・クラシックなんかも、割と顕著に味が変わって驚いたものだ。

それからロイヤルズが廃版となってロスマンズ難民となった私は、有志からロイヤルズの在庫を購入したり、ロスマンズ欲しさに個人輸入に手を出してインターナショナルを買ったりと悪あがきしてはいたのだが、記憶に残ったあの味と再開することは叶わなかった。単に記憶が美化されていただけか。

しかしこれは……よもや7~8年ごしに、この味に再開することになるとは。ていうか、記憶のロスマンズ・ロイヤルズよりもずっと味が濃い。それだけ香料が露骨に効いている証左であるわけだが、それにしても掲示板で読んだあのミルクティーの味が、このタバコから感じられる。素直な驚きである。

朗報・ロスマンズは死んでいなかった。少なくとも今のところはだけれど。マルボロやラークのような国内で一般的なアメリカンブレンド、それ以外のウィンストンやキャメルみたいなコテコテの舶来銘柄とも異なる、お上品なブリティッシュ気質を漂わせる独特な風味、これが私は好きなのである。


4.ロスマンズ・インターナショナル
(ROTHMANS INTERNATIONAL)

オススメ度・★★★☆☆ 『Something is different …… feeling.』

3項の『ロスマンズ・キングサイズ』で語った通り、ずっと前に個人輸入で買ったことがある思い出の銘柄。記憶を掘り起こしがてら買い直した。

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女の人が吐血! ストレートにエグイ警告写真である。下にはロスマンズの金縁に紺色の背景と、輝く獅子に盾の紋章。ダンヒルは紋章の盾に1907年と記されていたが、ロスマンズは1890年とある。やはり由緒ある銘柄なのだ。

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これもダンヒル同様、10本ずつに分けられたインターナショナルの包装だ。ダンヒルは銀、ロスマンズは金紙の包装。私はロスマンズの方が好きかな。ダンヒルはフィルターチップ上に銘柄を示していたが、ロスマンズは巻紙に直接、王冠の金と銘柄の青を刻印してある。キングサイズも同じだったね。

吸ってみると……うーん、キングサイズの後になれば、コレジャナイ感だ。正直言ってキングサイズの後でなくとも、どことなくケミカル感と言うか、紙臭いというのか、煙草や香料以外の変な味がするような気がしてならん。ダンヒル・ファインカットを吸ってる時みたく、わざとらしい香ばしさネ。

やはり通常のキングサイズとは異なる豪華仕様ということもあり、通常とは異なるブレンドにしているということなのか。キングサイズのようなある種お下品でもある駄菓子感、分かり易いミルクティーぽさが無いのは残念だ。

余談ながら、ここまでダンヒル・ロスマンズと紹介してきた銘柄に共通する素晴らしい特徴、『チャコール(活性炭)フィルター』を使っていない点は良好である。世間一般の喫煙者諸君はチャコールフィルターありありのありなのかもしれないが、私個人的な見解としてはチャコフィルは絶対にナシ。

チャコールフィルター絶滅すべし、慈悲は無い(過激派) あれ使ってると気のせいか煙の味がいがらっぽくなるというか、とにかく解釈違いなのよ。ダヴィドフ・クラシックもパケ変でチャコール入れるようになって、風味も変わってガッカリしたもんなあ。チャコールフィルターなんて害悪だ害悪。

私はピース(10)&ピース(20)からタバコを始めた、フィルターなど無くても問題ない民であるので、味に差し障るフィルターがあると素直にムカつく。どーせタバコなんて吸ってる時点で百害あって一利なし、身体に悪いのだ。国内流通のアメリカンブレンドでは、私が『ウィンストン・フィルター』を好むのも、チャコール入りでないフィルターを使っているのが理由の一つ。あれはあれで……歴史ある銘柄ですからね。JTよ、末永く改悪してくれるな。


5.カレリア・フィルター(ΚΑΡΕΙΛΑ Φίλτρο)

オススメ度・★★☆☆☆ 『That’s strange. Elusive like mist.』

ギリシャの『ジョージ・カレリア・アンド・ソンズ』が製造する煙草たちの一つで、ようやくギリシャらしい煙草の登場だ。日本で入手するのが困難なユーロ圏のメーカーの煙草の一つ。今回買った中で一番評価に困るタバコ。

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今日一エグイ警告写真ですな。足腐っとるやん。てかそれ、本当にタバコの害悪って関係あります? タバコ由来の害悪とは主に、呼吸器とか目鼻口の粘膜周辺のはずなのだが。後は精々ニコチン由来の精神の変調とかかな。

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ギリシャ語! いいねえ。『ジョージ・カレリア・アンド・ソンズ』系列のいかにも輸出を意識したお洒落志向とは違う、ギリシャ国内向けって感じがビンビンするよ。巻紙が白ければ、フィルターまで真っ白。ピースみたい。

ちなフィルターは勿論プレーンでチャコールじゃない! さすが歴史のあるカレリア社、分かってらっしゃる! といいいつつ、メンソールタバコとか女性向けのスリムサイズとか、色んな商品も抜け目なく作ってますがね。

肝心の味なのだが……私のショッボイ感性では何とも表現に困る、不思議なもわわんとする煙なのだ(語彙力5歳児)。マジで何だこれ。以前に3種類の手巻き葉をトルコから輸入した時、このメーカー何かおかしいと感じたが。

写真が残ってなかったから動画を直で張る。長いから別に見なくていいよ。

マルボロやラッキーストライクのような、一般的なアメリカンブレンドでの焦げ臭い香料+バーレーキックでガツンと来る、分かり易い風味ではない。

まろーんとする煙の中に、美味しいようなそうでないような、何か未分化の色々な感情を呼び起こす物体が点在しているのだ。上の手巻き葉はそれでも甘く上品な香りとか、オリエント葉の良さを引き出したい感じとか、大体の方向性は薄らと感じ取れるのだ(薄いけどね)。でもこの紙巻きは違う。

一体、どの方向を見てこの味を設計したのか、私にはサッパリ分からん。

何て言えばいいんでしょ? 特筆して記憶に残る味ではないが、解釈不能な何かを口にしたという記憶だけは強烈に残っている。やっぱ訳わからんな。付け足すなら、この銘柄は割と紙臭さが鼻につく。当然オススメはしない。


6.ジョージ・カレリア・アンド・ソンズ?
GEORGE KARELIAS AND SONS)

オススメ度・★★★★☆ 『It's noble. This is Virginia Cigarette.』

でたわね。何らかの何かのカレリア製品と間違って送られてきたヤツ。まあ外れでないことは知っているので、一先ず安心といったところか(苦笑)。

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灰のように真っ白に燃え尽きるのさ……これを吸ってるお前さんの命もな。

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蓋を開けたら……あら豪華。この銘柄、プラ包装を切って蓋を開けた瞬間、ラムレーズンのような甘い香りがフワ~っと漂ってくるのが凄くノブレス。私見では、世界の紙巻きタバコで5本指に入る逸品の1つと評価している。

火を点けてみると、脳髄に訴えるような強烈な個性……は無いが、とにかく馴染む~ッ! のである。ふんわり甘く、包み込まれるような煙である。

こんなシチュエーションは万に一つもないだろうが、今まで喫煙した経験が無い人間にもしタバコを勧めるなら、私であれば無難にコレを出すだろう。まあそんなファンタジーなシチュエーション、万に一つも無いだろうがね。

ヴァージニア葉の甘みと香りを売りにするタバコにも、幾つか種類がある。

JTの『ピース』系列は外せないな。個人的にはピース(10)や(20)の、ガツンと高タール高ニコチンでゴリ押す感じが好きだが、1箱1,000円(今は値上がりしてるのか?)『ザ・ピース』の上品なプリンみたいな甘い香りも面白い。

イギリスのチャンセラーが作る高級タバコ『トレジャラー』も、ピース同様ヴァージニア葉を前面に押し出したブレンドである。一番高級なアルミ缶に入った(ザ・ピースも多分これを意識している)モデルを吸ったことあるが感想は微妙……余り記憶に残らん味……所詮は金持ちのひけらかしアイテム?

それらに比べて、この『ジョージ・カレリア・アンド・ソンズ』の味わいは興味深い。煙草葉以外に香料も利かせているはずだし、煙の重さはユーロの惰弱な規制タバコなのだが、香りと風味の総合的なバランスはピカイチだ。

ピースほど野暮ったい感じではなく、トレジャラーみたく外見のハッタリでどうこうってわけでもなく(外見のハッタリも利いてるけど)。しっかりと中身が伴っている製品で好感が持てるんだな。おまけにこのタバコ、普通は日本で買えないが、日本語が使える個人輸入サイトで実は買えちゃったり。

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(撮影日:2017年1月14日)Blackberry Bold 9900の写真で解像度が荒い。

これ見てると、人生の無駄遣いをひしひしと感じて心にクルものがあるな。


7.カレリア・アグリニオ(ΚΑΡΕΙΛΑ ΑΓΡΙΝΙΟΥ)

オススメ度・☆☆☆☆☆ or ★★★★★★★★★★ 『All or nothing.』

これだ。正直、今回のギリシャ爆買いでの本命は全く持ってコレジャナイ、全くの当て馬とゆーかダークホースなのだが、思わぬところでとんでもない大穴を引き当てた感じだ。何気なくショッピングカートにこれをブチ込んだ数か月前の私を自分で褒めたい。これを掘り当てたのは正直よくやった。

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横長の扁平な箱ね。口というか鼻というか、どっちかというと目玉から煙が出ているようなミョーな警告分。箱のデザインはシンプルで割と安っぽい。

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……が! 開けてビックリ! いやネットショップで見た時まさかと思って念のためについで買いしたが、まさかまさかのオーバルシガレットである!

オーバルシガレットなる物は、唇に沿うような楕円形に成型された煙草で、特にターキッシュ/オリエント葉を使うタバコでしばしば使われた形式だ。

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(撮影日:2016年1月22日)何と、カズベックを買った写真が残っていた。右の白い手巻き葉ではなく、左の黒い箱だぞ。柘植タバコがロシアの業者に日本仕様を作らせた、あの因縁のタバコである。私もどハマりして、一時期カートンで買って吸いまくってた。いやぁコレはマジで上手かったなァ。

既に輸入停止となって久しく、右の『スタッド・オートマールスム』というオランダ製のパイプ/手巻き用のタバコともども、日本市場からはすっかり姿を消してしまった。まあスタッドはほら……味が強烈で個性的だから。

箱にも書いてあるが『KAZBEK OVAL』、カズベック・オーバルという名前。オーバルというのが名前にもついているな。中央の包装紙を縦に貫く青帯にロシア語と『Special Turkish Blend Without Filter/Made In Russia』の文字。ターキッシュ/オリエント葉75%にヴァージニア葉25%のブレンドだった。

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(撮影日:2016年1月23日)……が、紙巻自体の写真は無かった! 粋がって手巻き用の巻紙に巻きなおしたヤツがあるだけ。あー勿体ないなァ(汗)

ともかくアゲアゲである。咥えて火を点けて……うんむ? 何か違う気配を察知する。コレ本当にターキッシュブレンドでは? 疑問に思いつつ黙々と灰にして、ノーパソで『グッバイ・ブルーバード』を淡々と執筆する合間にもくもくこのタバコを吹かしながら、たまらずネットで情報を検索した。

まあ英語での検索では当然、情報は出ねーわな。それでギリシャ語で名前を入力して検索すると、それらしい記事がヒットして裏が取れたわけだ。

(ギリシャ語のサイトである。読む時はGoogle翻訳などするように)

嘘か真か知らないが、デンマークの女王も吸った銘柄だと、上記のページの末尾には記されている。安っぽい包装箱だがそれなりに由緒はあるらしい。

肝心の味だがまあまあ安っぽい。巻紙が割と臭うかな。3.7 EUR(481円)の割と安い煙草だからね。しかし驚くなかれ、今の日本のメインストリームの紙巻きタバコ製品よりも安いのだ。それもオーバルのターキッシュ煙草が!

黒タバコほど顕著では無いが、独特の堆肥のような発酵感というか、単純に甘いだけではない酸味も帯びた複雑な香りは、独特で好みが分かれる。

いやあ思い出すなあ。狂ったようにカズベックを吸っていたあの日々を。

今度はこのタバコを箱買いしようと強く心に誓ったslaughtercultであった。


8.ジョージ・カレリア・アンド・ソンズ・オリエンタルミスト
(GEORGE KARELIAS AND SONS Oriental Mist HAND ROLLING TOBACCO)

オススメ度・★☆☆☆☆ or ★★★★☆ 『Not to easy. Grumpy like a cat.』

私としては真打ち……のつもりで買った手巻きタバコだ。上に張った動画で紹介した3種類の他に、カレリア社が作っている、オリエンタルブレンドを公称する銘柄だな。しかしまあこれもまた、一筋縄ではいかない奴で。

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喉に空いた穴と、オサーンの死顔。警告写真がヤバし。だからエグイって。

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開けたら、ちゃんとターキッシュ/オリエンタルな香りはするんですよな。オレンジ包装のリズラの巻紙は、リコリス味の付いた物らしい。外人は割とリコリス味のペーパーで煙草を巻くのが好きな人も居るんだとか。一般的な何の変哲も無いシャグならともかく、オリエンタル×リコリスはどーなの。

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文句垂れつつも、一応巻いては見ましたけれど。リコリス味のヤツ、封する糊を舐めたら甘味がベロッときて「おうっ」ってなったわ。インドネシアのクレテック煙草『ガラム』の、蜜が塗られた甘い吸い口みたいな感じね。

彷徨えるスモーカーたるこの私も、理想のオリエンタル煙草を探す道すがら幾つかのタバコを試してきたわけですが……例えば『アクロポリス』とか。

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(撮影日:2017年3月22日)机が汚いのは仕様なのでスルーするように。

ドイツのプランタが製造していたパイプ・手巻き兼用のタバコで、無添加はさすがに嘘だろという甘い果実香マシマシの、そこそこ旨い煙草であった。まあこれも廃版なんだけどな! 私の好きなタバコ、大体廃版になる説。

この『オリエンタル・ミスト』はショージキ言って、着香の甘味ウェーイな上記の『アクロポリス』ほど分かり易い味ではない。いや製造しているのがカレリアの時点で、分かり易い味でないことは百も承知であるわけだが。

ていうか、薄いんだよ。味が。煙が。ほんとこれ。カレリアの通常ラインの手巻き葉の3種類も全部「あじうっす!」なのだよ。まあオリエント基調のブレンドの時点で喫味が軽いのは自明であるし、ヴァージニア葉の単品でも同じ傾向だ。バーレー葉はほぼ入っていないと考えて間違いないだろう。

今まで幾つかの銘柄を試してきた経験上、カレリアというメーカーは喫味の刺激を入念に避け、香料をベタベタに利かせることもせず、あくまでうちはタバコ本来の香りと質で勝負するんだぜ! という設計思想を感じる。

まあ、だから市販の香料ベタベタのバーレーが入ったアメリカンブレンドに慣れ親しんだバカ舌で味わうと、薄く感じるんだけどね。低タールタバコの中身の無い薄さとは違うマイルドで上品な香味だが、いかんせん味わう私のスペックがタバコのレベルに追いついていない気がする。つーか薄いわ。

原因の一つに、タバコの刻みの細かさが関わっているのではないか、と私は疑っている。手巻き葉は成型の容易さを向上させるため、ファインカットと称する極細挽きをしばしば行うのだ。やっすい『コルツ』とかまさにそれ。

上記のアクロポリスだと、パイプ喫煙も念頭に置いて、カットをまだ幾分は大きめにしているのだ。『スタッド・オートマールスム』の白パケになると完全にパイプ用なので、手巻きにすると燃え辛くて吸えたもんじゃないが。

要するに、煙草って細かく刻むほど、味の感じ方がマイルドになるんだな。確かなソースを上げることはできないが、前にそんな話を見たことがある。ガッツリ骨太のオリエントを感じたい私にとっては、全くいい迷惑である。

オリエントを楽しみたければパイプを吸え、が最適解なのだが……パイプは私のような隙間時間喫煙のせっかちライトスモーカーには合わんでな。

ともかくこのタバコ、開封した時は湿気充分で、それ自体は及第点というか寧ろ加点対象であるのだが、余り湿度が高すぎると燃えが悪い。巻いてから少し時間を置いた、乾燥気味のタバコの方がもう少し風味を感じるかな?

クールスモーキング? もう一度その単語を言ったら口を縫い合わすぞ。

それとパウチ入りタバコの欠点だが、ギッチギチに詰まっているというか、部分的に変に押し固められ、横着して解さずに詰めるとやはり燃えが悪い。

手巻きタバコを作ったことが無い人は(喫煙者を含む世間一般の99%以上の人だ)は分からんと思うが、これは適当に葉っぱを入れて巻けばOK、という簡単なモンじゃないのである。ドローと言って、タバコには葉っぱの密度で空気の抜けの良さがあり、それはタバコの燃やし易さを決定するわけだが、変にタバコが密集していると、空気がうまく通らず燃え難くなるわけだ。

あー、葉っぱ解すのマンドクセ。ギチギチ詰めると燃えねーしよ。手巻きはかくのごとく面倒だ。面倒なのが楽しくもあるが、面倒を書けた結果ウマイ思いが返ってこなければ、徒労感ばかりが募ってアホ臭くなってくるのだ。

いや寧ろ、徒労が臭いだけに『トロ臭い』ってか? ヤンナルネ……。


おわりに

親愛なる喫煙者の皆様の参考になっただろうか。全くもってならなかったに違いない。その上note読者層とも壊滅的に食い合いの悪い、全く需要の無い記事になったとは思うが私は気にしない。好き勝手に書かせてもらう。

結論として何が言いたいかというと、タバコというものも掘り下げてみれば意外と奥が深いし、好きな物を採算度外視で探求するのは楽しいものだ。

まあお金はね……かかりますよそれは。私は1日数本吸ったら満足してしまう超絶ライトスモーカーなので、1箱吸う人よりも相対的にはタバコにかかる出費は少ない”はず”なのだけれど……今まで色々買ってきたからなァ。全部を合計すれば、同年代のヘビースモーカーと相対的に出費はイーブンかしら。

去年から2度目の個人輸入トライにして、理想に近いタバコを幸運にも一つ見つけられたので、また財布と折り合いをつけて箱買いしてみたいものだ。

個人輸入に抵抗の無い方で、珍しい煙草を探している方。ギリシャは割かし穴場だったりするかもしれませんよ? 他にもユーロ圏には歴史ある銘柄が色々とあるので、アジア圏の個人輸入でケチケチせずに、日本に発送できるユーロ圏の業者を探してみるのも面白いだろう。送料は高くつくけれどね。

つーか……ロシアのタバコが今一番買ってみたいのよな。次いでエジプト。エジプトもかつては、オリエント葉を使う優良銘柄を作っていた土地柄だ。だがロシアは法規制で国外にタバコを輸出できないらしいし、良く調べるとエジプトもタバコを輸出できないのでは疑惑があるのよな。向こうの言葉はキリル語の比じゃないレベルで読めないけど。うーん止め時が分からん。

止め時って、買い物の? それともタバコの? どっちもだよ!

割りと真剣に考えている最終手段は、煙草葉そのものを個人輸入して自分でカットし、巻きタバコにしちゃうとゆー荒業ね。リーフを売ってるサイトを見つけちゃったんだなあ、これが。オリエント葉もトルコ産にギリシャ産、ブルガリア産にイスラエル産(品切れだったけど)と選り取り見取りだぜ。

行きつくとこまで行っちまうか、カレリア・アグリニオで妥協しちゃうかは今のところ分からん。つかターキッシュ/オリエント葉の紙巻きタバコって世界各国でポコジャカ廃版を食らう伝統芸能があるから、ギリシャのこれもいつまで市場に流通するか分かったもんじゃない。手に入る内に手に入れて思う存分に愛でてあげねば。それが、これまでの私の経験から来る結論だ。

いいか? タバコは健康のために止めるモンじゃない。吸いたいと思う物が大人の事情で物理的に世界から抹殺された結果、吸えなくなる物だ。本当に私が気に入った銘柄は次から次に、どうしてこう消滅していくのかねぇ。

最後の生命線は日の丸日本のJTにかかっていると言っても過言ではないぞ。愛しのピース(10)と(20)が、鬼畜欧米の規制圧力に屈してT/N値を改悪され、万に一つこの世から消滅してしまう未来が来たら……その時は禁煙だな!

あーあ、グローバリズムって最高だなァ!


From: slaughtercult
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