銃器・算数/物理エネルギー?意味不明
前置き
全回の投稿で、盛んに用いた物理エネルギー(ft-lbs、J)単位ですが。
馴染みの無い方には、数値の意味が全く想定できないですよね?
そんな貴方のために! 今回は、分かり易い例えをご用意しました。
題して『○○に当たったらどうなの?』選手権~!
例1.プロ野球選手の投じる、硬式野球ボール!
例2.長距離マラソンで疾走する、男子陸上選手!
例3.成人男性を乗せた、50cc原付スクーター!
例4.大人2人、子供2人、合計4人乗りの、660cc軽自動車!
例5.運転手1人と、貨物を満載した、10tダンプカー!
以上の5本立てに、現実の銃弾との対比を添えてお送りいたします!
衝撃力はfl-lbs(フットパウンド)とJ(ジュール)を併記してみますね!
例1.プロ野球選手のボールに当たったら……
もう考えるまでも無く、痛いに決まってますよね☆
でも、その衝撃力を数値化しないと、客観的に比較できないというもの。
というわけで、実際にやってみましょう!
【数値1.重量】
硬式野球ボールの重量は、141.7~148.8gの間で規定されているそうです。
ここでは、仮に重量を142gとしましょう。
【数値2.速度】
プロ野球選手のトップ投手は、球速160km/hを超える、超絶剛速球!
ですが……ここは一般的な最低値を考慮し、130km/hとしましょう。
【数値3.換算】
1.重量……142g=2,191.35gr
2.速度……130km/h=36.11……*mps=118.79fps
*註『……』はこの場合『循環小数』を示すものとする。
【数値4.物理エネルギー換算!】
1.J……142g × 36.11……mps ^2 / 2,000 =『93J』
2.ft-lbs……2,191.35gr × 118.79fps ^2 / 450,240 =『69ft-lbs』
うげッ……初っ端からいきなり『キッツイ数字』でましたよ、コレ。
デリンジャー拳銃から撃った.41ショート弾(52ft-lbs)より強力なんです。
さっき間違って160km/hで試算したら、何と100ft-lbsを超えました(!)
ゴメンナサイ。私、正直言って、野球ボールの威力を舐めてました。
トップ選手の剛速球は、.22LR口径の競技銃並みに威力があるんですね……。
”表面積から単純には比較できません”が、これは侮れない衝撃力です。
例2.長距離ランナーと衝突したら……
1月14日! 小雨に雪混じる悪天候、アップダウンの過酷な42.195km!
その名は……『いぶすき菜の花マラソン』!(笑)
長距離ランナー走る! 道路上に、唐突に現れる全裸中年男性!
「何が”マラソン”じゃ! それより儂の”魔羅SON”を見るんじゃ!」
ランナーたちに跳ね飛ばされ、クローラめいて轢き潰される全裸中年男性!
【数値1.重量】
身長170cmの場合、大体50~55kgが適正体重だそうですね。
ここでは、仮に50kgとしましょう。
【数値2.速度】
長距離走のトップランナーは、時速20km/hで駆け抜ける!
らしいですが……一般的な最低値を考慮し、15km/h程度に抑えましょう。
【数値3.換算】
1.重量……50kg=50,000g=771,604.94gr
2.速度……15km/h=4.16……mps=13.71fps
【数値4.物理エネルギー換算!】
1.J……50,000g × 4.16……mps ^2 / 2,000 = 『434J』
2.ft-lbs……771,604.94gr × 13.71fps ^2 / 450,240=『322ft-lbs』
人間(全裸中年男性を含む)が、身一つで持ち得る運動エネルギーです。
時速15km(秒速4.16……m)は、50m走に換算して12秒というもの。
興味深いことにこちらも、思ったより強力な結果になりましたね。
軍用拳銃弾薬の代表格、9mm×19弾(362ft-lbs)にやや劣る程度。
ですが、鵜呑みにしないで。”物体の断面積が銃弾とは異なる”のです!
上記の衝撃力を”直径9mm/重量8gの銃弾に凝縮したもの”とも言えます。
例3.50cc原付スクーターと衝突したら……
見通しの良い十字路交差点! 対面する歩行者用信号は青!
母親が鼻歌を歌いながら、ベビーカーを押して歩き出す!
危うし! そこに信号無視の猛スピードで突っ込む原付バイク!
「何が原付バイクじゃ! 儂がゲン担ぎFUCK YOU!」
全裸中年男性が中指を立て、母親たちの盾となって立ちはだかる!
【数値1.重量】
私が高校時代に乗っていた2stスクーター『H※NDA D※o』。
1990年式『AF27』型の車両重量は、68kgとあります。
ここに私の体重55kgを加算し、123kgと仮定しましょう。
【数値2.速度】
原付バイクのスペック上、時速60kmを出すのはかなり厳しいですね。
仕方ないので、50km/h(スピード違反!)としましょう。
【数値3.換算】
1.重量……123kg=123,000g=1,898,148.15gr
2.速度……50km/h=13.88……mps=45.69fps
【数値4.物理エネルギー換算!】
1.J……123,000g × 13.88……mps ^2 / 2,000=『11,864J』
2.ft-lbs……1,898,148.15gr × 45.69fps ^2 / 450,240=『8,801ft-lbs』
単なる数字遊びとはいえ、一気に数値が跳ね上がりましたね。
凄いですね……想像を絶するエネルギー……正に内燃機関の暴力。
狩猟用ライフルの.460 W.マグナム弾(8,100ft-lbs)すら凌ぎます。
例によって例の如く、鵜呑みにできない数字であることは念押しします。
ですが、生身の人間に直撃すれば、死に至るエネルギーであることは確か。
スピード違反も対人事故もダメ、絶対! 皆様、安全運転をお願いします!
例4.660cc軽自動車と衝突したら……
本邦最南端! 岬へ至る湾岸道路! WRブルーの軽自動車が駆け抜ける!
窓から手を出しはしゃぐ子供たち! 運転席と助手席で微笑む夫婦!
数珠つなぎの車列上で対峙する、魔山神平と全裸中年ル※ン三世!
「何が『魔神』じゃ! 儂のマチ※ガーZを喰らえッ!」
魔神の一撃! 全裸中年ル※ン三世が軽自動車の前方に落下!
【数値1.重量】
私が現在乗っている660cc軽自動車『ス※ル ス※ラ(第1世代)』。
ス※ル時代の『RN1』型は、車両重量870kgとあります。
体重60kgの成人2名と体重30kgの子供2名を加え、1,050kgと仮定します。
【数値2.速度】
原付バイクに合わせて、50km/hで走っているとしましょう。
殆どの道路では法定速度内、自動車としては比較的安全運転です。
【数値3.換算】
1.重量……1,050kg=1,050,000g=16,203,703.7gr
2.速度……50km/h=13.88……mps=45.69fps
【数値4.物理エネルギー換算!】
1.J……1,050,000g × 13,88……mps ^2 / 2,000=『101,273J』
2.ft-lbs……16,203,703.7gr × 45.69fps ^2 / 450,240=『75,130ft-lbs』
穏やかではありません。段々、シャレにならない数字になってきましたね。
ボンネットで跳ね飛ばされ、質量の5%のみに接触したと仮定しても……。
『5,063.65J/3,756.5ft-lbs』と、殆ど致命傷レベルの衝撃を受けます。
上記で、車両がどれほどの殺傷力を持つかがお分かり頂けると思います。
物理エネルギーには作用反作用の法則があることはご存知ですよね?
打ち出した衝撃力は、そのまま自分にも返ってくることを、お忘れなく。
例5.10tダンプカーと衝突したら……
大都会! 往来する無数の車両! その中に混じる、紫色の10tダンプカー!
毎日が戦場! 資材置き場と現場を往復し、荷物を積み下ろす過酷な日々!
疲れ顔の運転手! 彼の眼前、道路上に躍り出る全裸中年男性!
「何が仕事じゃ! 世界は儂のチ※ポで回っとるんじゃ!」
運転手は涙目で急ブレーキ! 全裸中年男性にダンプカーが迫る!
【数値1.重量】
10tダンプの定番と言えば……ご存じ!『三菱ふ※う スーパーグ※ート』!
総排気量7,697ccエンジンを積載した最新型は、車体重量10,050kg(!)
最大積載量は9,800kgなので……貨物満載で19,850kg!
更に更に、乗員成人男性1名60kgを加え、重量総合計は19,910kg(!?)
【数値2.速度】
原付バイク、軽自動車に合わせて、50km/hで走っているとしましょう。
ダンプカーは法定速度順守が基本なので、安全運転は当然のこと。
【数値3.換算】
1.重量……19,910kg=19,910,000g=307,253,086.42gr
2.速度……50km/h=13.88……mps=45.69fps
【数値4.物理エネルギー換算!】
1.J……19,910,000g × 13,88……mps ^2 / 2,000=『1,920,332J』
2.ft-lbs……307,253,086.42gr × 45.69fps ^2 / 450,240=『1,424,605ft-lbs』
はい。もう言わなくても分かりますよね? 相手は死ぬ。以上!
今回は更に目方を甘くして、質量の0.5%のみに接触したと仮定しましょう。
『9,601.66J/7,123.03ft-lbs』……諦めてください。生きては帰れません。
ダンプカーに轢かれたら、ミンチになるとは良く言われることですが。
今回、物理エネルギーに換算して、その恐ろしさが如実に現れましたね。
全裸中年男性の皆様は、ダンプカーの前に飛び出してはいけませんよ!
総括:物理エネルギー量まとめ
現実に遭遇しうる実例(!?)
1.野球ボール 142g(130km/h)……93J/69ft-lbs
2.長距離走者 50kg(15km/h)……434J/322ft-lbs
3.原付バイク 123kg(50km/h)……11,864J/8,801ft-lbs
4.軽自動車 1,050kg(50km/h)……101,273J/75,130ft-lbs
5.ダンプカー 19,910kg(50km/h)……1,920,332J/1,424,605ft-lbs
対して、代表的な銃器の物理エネルギー
1..22LR競技弾薬 2.592g(1,174km/h)……138J/102ft-lbs
2.9mm×19拳銃弾薬 8g(1,260km/h)……490J/363ft-lbs
3.5.56mm×45軍用弾薬 4.018g(3,283km/h)……1,671J/1,239ft-lbs
4.12ga. スラッグ弾薬 28.35g(1,707km/h)……3,188J/2,365ft-lbs
5.7.62mm×51軍用弾薬 9.655g(2,993km/h)3,337J/2,475ft-lbs
6..50BMG重機関銃弾薬 42.768g(3,185km/h)16,735J/12,413ft-lbs
極めて大雑把な対比ですが、これでお分かり頂けると思います。
現実例の3~5項目……車両が絡むと、衝撃力が飛躍的に上昇します。
特に車両! 例え軽自動車でかすっただけでも、凄まじい衝撃なのです!
正直言って、私は最初の内、数字遊びと高を括っていました……。
しかし原付バイク以降の数値を試算し、余りの凄惨さに笑いが消えました。
皆様、この剥き出しの暴力が、あなた方の周りにも走り回っているのです。
私も軽自動車を持つドライバーであり、身の引き締まる思いになりました。
最後に、全ての交通事故と銃弾によって命を落とした方の冥福を祈ります。
と言うワケで、今回はこれで終了といたします……STAY SAFE!
From: slaughtercult
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