JOKERを観た
ようやくタイミングが合ったので、レンタルビデオ屋であるバイト先で映画「ジョーカー」を借りて、観ました(変換が面倒なのでカタカナで記します)。かなり話題になっていた映画なので、他人の考察や解説をじっくり読む前にその感想というか、思ったことや分からないことをメモしておこうと思います。まあすでに少し調べちゃったのですが…
この記事ではネタバレを配慮しませんのでお気をつけ下さい。
ジョーカーが公開されていた時にかなり話題になっていたのは記憶に新しいです。その中でも印象的だったのは「誰しもがジョーカーになる可能性がある」「自分もジョーカーになるかもしれない」という文言。先に言いますが私はこの意見に全く同意できませんでした。というか、そういうことを言う人はジョーカーにならないと思います。
私はこの映画にわりと期待していたので肩透かしを食らった気分になりました。これがいい映画?と。面白いとか面白くないではありません。そういう物差しで評価するような内容ではないと思います。「面白かった」も「面白くなかった」も感想として適切じゃない。私が映画を見終わってまず思ったのは「これがいい映画だと言われる社会ってまずいんじゃないか」ということです。
話の内容を整理したいと思います。あらすじは記憶力に自信がないので、「主人公の抱える不幸」に着目してまとめます。
まず先天的なものとして
・貧困にあえぐ母子家庭であること
・なんらかの精神病に罹患していること
・識字能力が劣っていること
・人との感覚がずれていること
・脳の障害があること
・友人がいないこと
そして、映画内で語られたものとして
・仕事をクビになったこと
・自分の父親だと思った男に拒絶されたこと
・母親もまた精神病だったこと
・かつて自分が被虐待児だったこと
・母親と血が繋がっていないこと
・隣人との関係が妄想であることに気づいたこと
・憧れの人にテレビで笑い者にされたこと
他にもまだあるでしょうが、思いついたものを並べるとこんな感じです。不幸のオンパレードですね。
きっと、この映画に心を動かされた人はこれらの不幸のうち何かしら自分の身に覚えがあるものがあったのだと思います。そして、そこでアーサーに感情移入して「自分も追い詰められたら人を殺してしまうかもしれない」と恐怖したのでしょう。私には身に覚えがないとは言いませんが、今更そういうことを感じませんでした。元々残忍なニュースなどを見るたびに私も加害者になる可能性があるよなって思う人なので…
アーサーはよく耐えたと思います。よくあるヴィランものなら仕事クビになった時点で悪逆の限りを尽くす方にチェンジしそうなものですし、かっとなって3人殺した後にピエロが英雄だなんて持て囃されてるのを見たら「自分こそがピエロだ」と暴れる民草を扇動したりしそうなものです。ですが、アーサーはあくまで「市民」であろうとしていました。そこが嫌にリアルだったのかもしれません。テレビに出るまでの彼はあくまで一市民として幸せになろうとしていたように見えます。というか、ステージに立ってからもしばらくは「コメディアンという夢が叶うかもしれない」と希望を抱いてたようにも見えます。
私の観る前のイメージでは、前半で社会的弱者へとなる道のりを描いて後半には悪逆のかぎりを尽くして、嫌な奴はみんな殺したり倫理観の疑われるようなことをする話だと思っていました。DC映画スーサイドスクワッドしか見たことがなかったので…でも実際は、じわじわとアーサーがジョーカーになる道のりを描き、最後は「ジョーク」だったのかもしれないと思わせるようなエンドでした。この映画は啓蒙映画で、貧困問題や福祉の問題に一石を投じているのだろうなと思いますが、でも、なんとも不明瞭です。
「私がジョーカーになるかもしれない」とは思いません。でも、今の社会(私が身を置いているのは日本社会なのでここでは日本に限定します)で、こういうことは起こり得ることだとは思いました。社会学を多少嗜んだ身として「貧困層が救いを求めても誰も助けてくれないこと」「予算の都合で福祉サービスが行われないこと」「貧困層と富裕層の格差」に関して嫌なリアリティがあるなと思いました。デモが起こってる中の施設で富裕層がチャップリンの映画を観てるシーンなんて、風刺が効きすぎてて嫌だな〜って思いました。
ーー
ここまで書いて数ヶ月放置していたので蔵出しします。
このあと私が書こうと思っていたことを端的にまとめると、社会情勢に一石投じる映画ならばジョーク落ちは適切じゃないということです。それ以外の点では概ね好きな映画でした。嫌な映画だなーとは思ったけども。
でもそういう反発心を抱くという点でも、事実として私はこの映画に深く考えさせられたと言えるでしょう。
貧困を他人事だと思っている人こそ見る価値のある映画だと思います。
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