片耳難聴の男の話

えすえるです。

暇なので平安貴族のように文章でも書いてみようと思い、ひとまず自分の持つ1番人にはない部分について触れてみることにしました。

僕は生まれつき(正確にはいつか分かっていないが物心つく前から)右耳だけ聞こえない、いわゆる片耳難聴ってやつらしいです。

生まれつきのものだということもあり、この歳になるまで自分のこの特性を大して気にもしていなかったのですが、どうやら片耳が聞こえないのはなかなかなことなのだとようやく気づき始めたところです(遅い)。

ということで、自分なりに片耳難聴で困ったことを挙げていくことにします。


・シンプルに聴こえないサイドの音が拾いづらい。

これは当たり前。自分の場合右耳が聞こえないので、自分に対して右側の音は聞こえづらくなる。自明の理ってやつですね。

しかし、全く聞こえないのかというとそんなことはない。音ってのは空気の振動なので、右から来たとしてもなんとかして元気な左耳の鼓膜にたどり着いてくれます。

だから聞こえないからといって右耳の側で思い切り叫んだりしないで欲しい。普通にうるさい。

ただ、小さな音になると少し話が変わってきます。

例えば友達と2人並んで歩いているとしましょう。その友達が自分の左にいるか右にいるかで、聞き取り難易度はマリオの1-1とラスボスくらい差があるのです。

ぶっちゃけ声が小さい人が自分の右にいる時、半分くらい聞こえてません。じゃあどうするのかというと、なんとかリポジションを図るか諦めて愛想笑いするかの2択です。

実際、聞き取れない→聞き返す→もう一度聞き返す→愛想笑い(結局聞こえてない)というムーブを数えきれないほど繰り返してきました。自分とよく話す人はそんなシーンに心当たりがあるのではないでしょうか。

本当にごめんね。次からは僕の左に立ってくれると嬉しいな。


・音の方向感覚が無い(ステレオ音声が分からない)

これは高校生あたりで気づき始めたことです。いつものように当時好きだった歌い手の歌ってみたをイヤホンで聴いていました。するとラスサビ前の台詞パートみたいなところで何故か音が途切れ途切れになる。スピーカーにしてみるとちゃんと聴こえるのでイヤホンが壊れたのかと最初は思ったがそうではありませんでした。

なんのことはない、その歌い手さんが台詞のキャラ分けごとに声を左右に分けて編集していただけのことだったのです。

これ、そんなんすぐ気づけよって思われるかもしれないけれど、当時の僕はマジで半年くらいずっと原因に気づくことが出来なかったんです。そもそも音が左右それぞれから聞こえてくるって感覚のない自分からすると、音を左右それぞれ別のものにするなんて発想出るわけがないんですよ。

このことに気づいた時の衝撃はすごかった。なんでイヤホンで聴くとオケが薄っぺらく感じるのか問題も解決した。楽器が半分になってんだから薄っぺらいに決まってるわな。

気づいてすぐは謎が解けた喜びがあったけれど、すぐに残酷な現実に直面しました。自分はイヤホンやヘッドホンでは普通の人と同じように音楽を楽しむことは出来ないと理解してしまったわけです。YouTubeでおすすめに出てくる立体音響系の音楽が他となにが違うのか自分には一生理解できないこともそのとき悟りました。

お年玉をはたいて買ったちょっといいイヤホンは、豚に真珠だったわけです。もったいないから捨てたりはしなかったけど。

あと最近になって、apexというFPSゲームにハマっているんですが、ここでも自分の抱えるハンデを強く感じるようになりました。

こういう類のゲームでは、敵の出す音から大体の位置や動きを予測するのが普通なんですが、それは自分にとって簡単なことではありません。スピーカーだと鳴っている音の方向が分からないし、せっかくいいヘッドホンを使ったって半分は聞こえていないのだからお金の無駄なのである。

少しずつ上達を感じるたびに、サウンドプレイのできないもどかしさを拭いきれずにいます。(なのでサウンドプレイ要素の少ないスプラ3待ってます!)


・カミングアウトのタイミングが難しい。

これは個人的なことかもしれないのですが、片耳難聴というなんとも微妙な障害は本当に扱いに困るのです。

というのも、基本的には問題なく過ごせるので、わざわざ初対面で言うようなことでもない。しかし、細かい部分で問題が起こってしまうとやはりちゃんと説明しておきたい気持ちも出てくる。

自分だって会話をしていて何度も何度も聞き返されるのはいい気はしない。

かといって、「実は片耳難聴なんですよ」なんていきなり言われても困ってしまうと思う。

大事にしたいわけではないのだ。ただ自分には、人よりも少し苦手な事があるんだと知っていてくれるだけでいい。

もし、誰かから片耳難聴なんだとカミングアウトされたとしても、そんなに大袈裟な話にせずに、少し大きな声で喋るとか、ちょっとした気遣いをしてくれると嬉しいです。そんなことなかなかないと思うけどね。




とまぁ、長々と駄文を書き連ねましたが、自分が片耳難聴で24年間生きて感じた事はこんな感じです。

人によっては大きなハンデなのかもしれないけれど、自分は音楽で食っていこうとかしてるわけでもないし、そこまで気にしてはいなかったりもします。

でもやっぱり憧れもあるので、将来医療が発達してもし右耳が聞こえるようになったら、メガネをかけて初めて色を見た色弱の人のリアクションみたいな感動的な動画を撮ってみようと思います。

その時はみんな周りで盛り上げてね。今からオーマイガーの練習をしておきます。



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