想いの価値は
大切なことは「何をするか」とか「何を作り出すか」とかではなく、
「何を想うか」とか「誰のためにあるか」なのだと思う。
幸いなことに、小学校と中学校では、まあまあ合唱のレベルが高い合唱部に所属することができた。
お陰様で一度だけ全国大会に進み、NHKホールに立つこともできた。
「紅白歌合戦をやってるステージに立つぞ!」と当時の私はウキウキしたこともあった。
まあ…それは置いといて…
同じように中学校でも歌うことを続けて。
ある時、岩手県の県大会に出たときのことだった。
まあ、思春期の少年にあることだろうけど…
ちょっと偉そうに、参加してる他の学校の歌を聴いて「あの学校はあーだな、こーだな」なんて評論家気取りで友達と話をしていた。
そんな中で。
ある学校の合唱部の歌を聴いた時だった。
ちなみに、その学校は最大規定人数に満たない人数で、非常にこじんまりとした印象で参加していた。
でも、そこから聴こえる歌は胸を震えさせるものだった。
なんだろう、良い表現が見つからないだけど…歌の歌詞ひとつひとつが、頭に響いてきたのだ。
その合唱部は、本当に真剣だった。
指揮者に向かって、熱い眼差しを配りながらも全力で息を吸い、吐いてきた。
その時聴いた、谷川俊太郎さん作詞の「春に」は生涯忘れることはないと思う。
きっと、人生の「いいもの」ってそういうものなのだ。
もちろん、気持ちだけでは乗り越えられないものもあるから、練習は必要だけど…
持っているものをどう扱えるかは、気持ち次第な部分もある。
真剣なこと、真面目なことは、本当に大切なものだと私はそのとき改めて思ったのだった。