【創業5周年記念座談会:前編】「3K職場を4Kにしたい」。ドローンを何機落としてもリモートセンシングの可能性を信じて走り続けた
スカイマティクスは2021年10月、創業から5周年を迎えました。
16年に社内ベンチャーからスタートし、19年にMBO(マネジメント・バイアウト)、22年3月には約13億円の資金調達を実施し、新たなフェーズを歩み始めています。
ただここに至るまでにはドローンを何機も墜落させたり、2万個ものキャベツを数えたり、日本全国を駆け回ったりした、泥臭い日々があったんです。
そこで今回は創業5周年記念企画として、スカイマティクスCEOの渡邉とCTOの倉本にこれまでを振り返ってもらいました。
プロフィール
研究室選びで失敗したことで起業に興味。3桁億円を稼いだ!?最強ペアで創業
信原:善さん(渡邉)とやすさん(倉本)はスカイマティクスの創業メンバーですよね。僕はジョインしたのは2020年なので、今回は二人に創業からの5年間を振り返ってもらいたいなと。そもそもですが、二人はどういう経緯で知り合ったんですか?
渡邉:僕が三菱商事、やすさんが日立製作所のときからの付き合いですね。会社は違うけどいくつも一緒にプロジェクトをやって、ほぼ全部が成功しました。自分で言うのもなんだけど、まさに“向かうところ敵なし”の最強ペアだったと思う(笑)。
信原:ほぼ成功って、総額いくらくらいですか?
渡邉:全部合わせると3桁億円はいきますよね、やすさん?
倉本:たぶんそれくらいはありますね。善さんは魅力的なアイディアを思いつく「0→1」の部分が得意で、僕はそれを実現させるのが得意。うまく補い合ったから、いい結果が出たんだと思います。
信原:3桁億円って……。それは最強ペアかも。善さんから「一緒に会社をやろう」という話をされたとき、やすさんは正直どう思いました?
倉本:純粋に面白そうだからやりたいと思いましたね。社内ベンチャーとして立ち上げるという話だったからリスクも少ないし、迷わなかった。それに大学院時代からずっと取り組んできた人口衛星の画像解析を続けられるのは本望でした。
渡邉:でも創業するときに「絶対防衛省の仕事はやらない」って決めたんですよね。
信原:え、それはどうしてですか???
渡邉:二人で防衛省のプロジェクトをたくさんやったんですよ。でも当時はお金を稼ぐことばかり考えていて、世の中をいい方に変えられなかった。得意分野でやれば創業してすぐに稼げるようになったんでしょうけど、リモートセンシングで社会を変えたいという思いがあったから、この分野はあえて避けることにしたんです。
信原:なるほど。善さんは昔から起業はしようと思っていたんですか?
渡邉:もともと自動車のエンジン開発をやりたかったんですよ。でも大学で希望する研究室に入れなくて……。たまたま履修した授業で有名企業家の話を聞いて、ビジネスの内容というより、その方たちが生き生きと楽しそうに話す姿が印象的で、起業に興味を持ちました。それでビジネスを学ぼうと商社に入って、宇宙部門でリモートセンシングやGISという、スカイマティクスの核となる技術に出会ったというワケです。
倉本:もし自動車のエンジン開発の道に進んでいたら、今どうなっていたんでしょうね……。
渡邉:特にガソリン車の内燃機関が好きだったから「電気自動車じゃ役に立たないじゃん!」って相当焦ってたかもしれないですね。
「きつい、汚い、危険」な仕事を「快適、効率的、かっこいい、稼げる」にしたい
信原:宇宙部門でリモートセンシングに出会ったという話ですが、この分野で創業しようと思ったのはどうしてですか?
渡邉:2014年ごろに初めて自分でドローンを飛ばしてデータを取得したんですが、衛星画像に比べて細かいところまで鮮明に撮影できるし、費用も安くすむから、今後普及すると確信したんです。そのときに必ずデータ管理や画像の判読が課題になると考えて、そこに役立つプラットフォームをつくることを思いついたという流れです。
倉本:リモートセンシングって、衛星やドローンを使って遠く離れた場所にあるものでも見えるようにする、いわば「人の目の代わりになる」技術なんですよね。人口が減少している日本にとって、この先絶対必要になると思います。
渡邉:あと少し熱い話なんですが、僕は社会インフラを支えているのはスーパーや建設会社といった表に立つ会社だけでなく、そこに卸す野菜を作っている農家や建設現場で働いている作業員の方だと思っているんです。そういった現場って3K(きつい、汚い、危険)のことが多くて大変だし、就職先としても避けられがちですが、その人たちがいなければ、社会は成り立たないんですよ。
だから3Kを「快適、効率的、かっこいい、稼げる」という、僕は4Kと呼んでいるんだけど、この状態にしたかった。リモートセンシングを使えば、それが実現できると思ったんです。
倉本:実際、僕たちが新しくプロダクトを投入する業界を選ぶときは、3Kの業界であるかどうかを基準にしていますよね。「AIで農業やってる/建設やってる」ってすごいクールだし、それで稼げるようになれば、そっちの仕事を選ぶ人も増えてくると思います。
ドローンの機体の開発から始めるも、墜落に次ぐ墜落で、1年で撤退を決断
信原:熱い思いを持って創業に至ったわけですが、ざっくりとどんな5年間でしたか?
倉本:プロダクトづくりに没頭した5年間だったと思います。でも社内ベンチャーとして創業してからMBOするまでの3年間と、MBO後の2年間は結構違うかも。
渡邉:確かにそうですね。最初の3年間は楽しかったけど本当につらかったなぁ。当時はまだドローン自体がほとんど販売されていなくて、ドローンの機体開発から始めたんですよね。
倉本:本当に大変だった。僕たちはもともとリモートセンシングは得意だけど、機体というハードの部分をつくる技術は持っていない。だから外部の企業に協力してもらって開発したんですが、自分たちの力ではどうにもならない面も多くて歯がゆかった。「やりたいのはこっち(ハード)じゃないんだよな」という思いは常にあった気がします。
渡邉:しかも最初に売れた機体がニーズを満たせなくて返却されて……。それが僕の知人だったんですよ。あれはさすがに堪えたなぁ。その後も開発した農薬散布ドローンが落ちまくって、墜落したと連絡がある度に代替機を持って現場に急行して。
倉本:あの時は善さんもみんなも、疲労を通り越して疲弊してましたね。それで結局1年でドローンの機体開発からは撤退することを決めたと。株主からはいろいろ言われたけど、あの判断は正しかったと思っています。
<後編に続きます!>
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