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スノードーム~小さな白い街~第二夜🎄【Xmas連載小説】


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次に目を開けた時、スノードームは私の手の中にあった。

落としたと思っていた。

いや、絶対落としていたのだ。
なのにヒビ一つない。

呆然としている私の手から彼はスノードームを取ると、まじまじと眺めながら

「そんなに気に入った?買おうか?」

そう聞いてきた。

「……ううん」

「そっか」

私は思わず首を振っていた。

不思議な一瞬の出来事に、しばらく心臓の音は鳴り止まなかった。


さっきのあの瞬間は何?



日が暮れ、イルミネーションが輝き出す。

だんだん口数が減っていく。
白い息を風がさらっていった。


今日は約束の日だった。

最後なのに、約束の日だった。

いつも通り待ち合わせして、ご飯食べて、買い物して、夕暮れは手を繋いで…。

約束も最後も決めたのは私の方だった。

そのくせ、どうしてこんなにも胸が苦しいのだろう。


勝手だ。

自分勝手。

反芻する度に涙が込み上げてくる。

隣を歩くあなたは何も言わない。


ひとひら、雪が舞う。


降り出した雪はとても静かで、スノードームの世界のように二人を包み込んでいく。

閉じ込められた世界は、きっと傷がつかない。
痛みを知らなくて済むだろう。

そう、永遠に。

言葉もないままに、繋がれた手の温もりだけが唯一の存在を感じていた。

彼の手は私より少しだけ温かい。


手を離したその後もずっと消えることはなかった。





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みぐ
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